161話
あの路上ライブがきっかけになったのかはわからないが、真紀と黒崎さんの距離は縮まったような気がした。詳しい内容は知らないが、あのあと二人で何かを話したらしく、真紀が黒崎さんのことを話すときに「黒崎さん」から「雫ちゃん」に変わっていた。
それから真紀の保健室登校も黒崎さんとの関係性も問題なく冬休みを迎えようとして。
「お兄ちゃん」
晩御飯を食べてソファーに座っていると真紀から話しかけれる
「どうした?」
「今度お兄ちゃんの高校でオープンキャンパスがあるでしょ?」
確かにさくらさんたちがいっていたかもしれない
ちなみに桐生さんに真紀のことを話した後、さくらさんたちには今回の出来事は話した。
みんなからかなり怒られたが。
内容が内容だったのでもし今後なにかあったら頼るという条件で納得してもらった
本当に頼りになる友達たちだ。
「さくらさんがいっていたかもしれない。俺たちは役員とかではないから詳しくは知らないけど」
「それに私たちもいきたいんだけどどうかな?」
真紀が俺たちの高校に興味があるなんて知らなかったから素直に驚いた
俺が返事をしようとすると隣にいた自称将来の姉が口を挟む
「私たちの高校に真紀ちゃん興味あるの?いいじゃん!!!私が案内してあげる」
「ありがとう愛ちゃん。でも今回は私だけじゃなくて黒崎さんも一緒になの」
「黒崎さんも俺たちの高校に興味があるの?」
「高校に興味があるというか...」
真紀は黒崎さんとの会話を教えてくれた
あのライブの後ふたりで話した帰り道
「そういえば、真紀のお兄ちゃんの友達が音さんなんだよね?」
「詳しくは知らないけど多分そうだと思う。愛ちゃんも知っているみたいだったし、あの二人が他校の生徒と交流するほどのコミュ力はないと思う」
「それじゃぁ冬休みに入ったら真紀のお兄ちゃんの高校のオープンキャンパスに一緒に行こう」
「それはいいけど、雫ちゃんはお兄ちゃんたちの高校に興味があるの?」
「全然」
「ないのにいくの?」
「正直私は高校はどこでもいいと思っているし、おじさんたちも私がいきたい高校にいってくれている。もちろん迷惑をかける気なんてないけど、どうせいくなら楽しいところのいきたいじゃん」
「本当は?」
「音さんがいるかもしれない高校にいってみたいが本音8割」
「音さんに会いたい比率が大きいな。でもお兄ちゃんに聞いてみるね」
「ありがとう」
ということがあったらしい。
なるほど。黒崎さんは桐生さんに会いたいのか
当日桐生さんは学校にくるのかな。
オープンキャンパスに関しては完全に他人事だったからきにしていなかった
「いいんじゃないか。正直オープンキャンパスのことは知らないからちょっと聞いておく」
「ありがとう」
さくらさんに明日聞いてみようかなと思っていると
「もしもしさくら」
となりをみると既に電話を耳に当て話し出している自称将来の真紀の姉が電話をしていた
最近愛の行動力がすごすぎてついていけない
愛はさくらさんに状況を話すと
スピーカーにする
「もしもし真紀ちゃん」
「は、はい。こんにちはさくらさん」
「オープンキャンパスの当日は私が真紀ちゃんたちを案内するから安心して。そこの二人に任せておけないから」
「えっなんで急にディスられたの俺」
「どうして私もなのかな」
俺と愛が二人でさくらさんに反論する
「だって瑞樹は他人事と思ってオープンキャンパスのことなんて眼中になかったでしょ。それに愛ちゃんは学校の中を案内できるほど学校に詳しくないでしょ」
「2年も学校にいるのに?」
真紀が驚きの声をあげる
「真紀ちゃん。最近しっかりしてきた部分はあるけど、移動教室は一人で移動したら迷子になるし、先生の名前は基本覚えていないし。勉強や運動はできるけど愛ちゃんの能力値は完全に偏っていることを覚えておいてね。そんな愛ちゃんに真紀ちゃんたちを学校案内できるわけがないの」
「それはさくらさんに全面的にお任せします」
「みっちゃん。私めっちゃ引かれている」
「うん。先生の名前を覚えていないは百歩譲ってわかるけど、移動教室で迷子になるは本領発揮していて若干引いてます」
「ひどい」
「そうゆうことなので、当日は私と冬くんが二人を案内するね。敬都も学校に呼んでおくから。この二人は敬都に見張らせておこう。真紀ちゃんは知らないと思うけど、愛ちゃんは学校でも目立つ存在なのはなんとなくわかるかもしれないけど、その愛ちゃんと付き合っている瑞樹もかなり有名だからね。だからこの二人を一緒にいるところ見られたら真紀ちゃんたちが変に目立つ可能性があると思うの。だから敬都と朱里ちゃんにこの二人を見張っててもらうことにしよう」
うん。もうすでにさくらさんの中の俺たちの扱いがどんな感じなのか理解できた。
完全にヤバい奴になっている...
確かに愛は目立つが、俺はそんな目立たないと思うんだけどな。
それにしてもさっきの「瑞樹は他人事だと思ってオープンキャンパスなんて眼中にない」は完全に当たっていてびっくりだ。
さくらさんの人を見る目はずば抜けている
「ちなみに桐生さんは当日来る?」
黒崎さんの一番の目的である桐生さんのことは聞いておかないと思った
「天音ちゃんは当日来るよ。ただちょっと忙しいかもね」
「そうなんだ。わかった」
それからちょっと話して電話を終えた
「真紀ちゃん当日楽しみにしているね」
「ありがとうございます」




