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153話

「黒崎さん、今日からあなたと同じ保健室登校になる松岡真紀さんよ。よろしくね」


黒髪ロングの美人な黒崎さんは私をみて一礼した

私も頭を下げる

そして何も言葉を話さず保健室の隣の部屋にはいっていく。

この学校の作りは珍しく、保健室の隣に少し狭めの空き教室のようば部屋がある。

私と黒崎さんにとっての教室になる場所だ。

最初保健室登校となったときに他の生徒が保健室を利用するときに必ず顔を合わせるのは嫌だなと思っていると、この教室の存在を教えてもらった。

ちゃんとドアもついていて保健室からは見えない構造になっているから安心できると思った。

まぁどこかのタイミングでは鉢合わせしてしまうこともあるかもしれないが、それは同じ学校にいれば必然的に起こることだから仕方がない


「全くあの子は」


「私黒崎さんを初めてみたかもしれません」


「そうね。黒崎さんは中学1年生の時はほとんど学校にきていなくて、2年生になってからは少しずつ保健室登校を初めていまになるって 感じかな。だからみんなの前に顔を合わせることはほとんどなかったから松岡さんが知らないの普通かもしれないね」


「そうなんですね」


「あの子もいろいろ事情があって保健室登校になっているからよかったら松岡さんと話したりしてくれれば先生も嬉しいけど」


さっきの感じだと普通に話すのも難しいかもしれないとは思ったけど。

でも少し黒崎さんに興味があった。

私と違って堂々としていて「自分」をもっているような感じだった


その後先生に細かい話を聞き終わると

一旦教室の中にはいる

黒崎さんは端っこでイヤホンで音楽を聴きながら自習課題をやっていた

教室の中で普通にイヤホンつけるっていいんだと聞きたくなったけど、先に保健室に登校していた黒崎さんがやっているならいいのだろう


私が教室に入ると黒崎さんと目が合う

何を話せばいいのかわからなくてまた頭を下げて黒崎さんが座っている席とは反対側の席に座る

教室の中に2人だけ空間....これはこれで落ち着かない


「ねぇ」


教室の中に2人しかいないから片方の声は反対側にいても聞こえてくる


「はい」


黒崎さんの方をみるとイヤホンを外してこっちをみていて

やっぱり綺麗な黒髪に大きい目、少し化粧をしているのか高校生といっても過言ではない


「遠くない?」


「遠い?」


「席」


「黒崎さんのパーソナルスペースに入るのは申し訳ないなと」


「なにそれ。大丈夫だからこっちに座りなよ」


「はい」


私は言われるがまま黒崎さんの隣の席に移動する


「あなたどうしてこのタイミングで保健室登校になったの」


すごく直球に質問を投げてきた

逆に変に気を遣われるよりもいいのかなと思ってしまう


「いじめられてクラスに戻りたくないからかな....」


すごくざっくりと伝えてみた


「そう。いいじゃない。所詮中学のクラスメイトなんて高校にいけばバラバラになるんだし」


確かにその通りだ

中学までは地元の小学校からそのまま上がるから半分ぐらいは顔見知りだったりするが

高校になるとここからさらにバラバラになっていって、他の中学から人が集まるから同じ中学でずっと仲のいい人なんて少ないのかもしれない


「確かに言われてみたらそうかも」


「そうでしょう。私昔からあの歌が嫌いなの?」


「歌?」


黒崎さんは歌い出す

すこぐ綺麗な声だ


いちねんせいになったら いちねんせいになったら

ともだちひゃくにんできるかな

ひゃくにんでたべたいな

ふじさんのうえで おにぎりを

ぱっくんぱっくんぱっくんと


「どうして100人も友達を作らないといけないの。友達って100人もいらないでしょ」


なんか黒崎さんの考え方って愛ちゃんに似ているところがあるかもと思った

愛ちゃんも同じようなことをいってそう


「ふふっ」


「面白い要素あった?」


「ごめんなさい。なんか思っていた印象と違って」


「私の印象とは?」


「クールビューティー」


「なにそれ。私はただ現実主義なだけよ。だって夢とか妄想は口で語るのは自由だけど、結局現実はそんな甘くないと思ってしまうから」


「確かにそうだね」


黒崎さんの言う通り、人生はそんなに甘くない

思っていた通りに事を運ぶことができればもっと楽しく生きていけるのかもしれない


「特に大人の言葉には気をつけなさい。あの人たちはいい感じの言葉で物事を運ぶけど全部信用しちゃだめ。熊谷先生はまだましだけど」


「ありがとう」


私も熊谷先生は信用していいような気がしていた

最近みていた教師が亀井みたいなクズだったから熊谷先生がめちゃくちゃいい先生にみえているのもあるかもしれないけど


「ごめんごめん遅くなりました」


熊谷先生が教室に入ってくる


「あれ、2人とももう話しているの?」


黒崎さんは何もいわない


「はい」


とりあえず私は返事をする


「そっかぁ。それじぁ今週の分の自習課題を配るね。松岡さんは初めてだから説明するけど、この教室では1週間ごとに5教科の自習課題がでて、それを学校と自宅でやるというのがおおまかな流れで、わからないところは私を通して担当の先生に聞いたり、直接話を聞く時間を設けることもできます。それで直近だと今年の期末試験と来年の学年末試験を学校での試験で、あなたたち2人にとっては大きな入試に向けて勉強していく感じになります。私たちは全面的にサポートはしていくけど、実際教室で毎日授業を聞いている生徒に比べると自分の頑張り次第になってしまうからそのことだけでは頭に置いておいてください」


「わかりました」


隣の黒崎さんは先生の言うところを気にもせずに自習課題に取り組んでいた

先生はその様子を気にすることもなく私に今後の流れを説明してくれた



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