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151話

人生には無限の選択肢があるってテレビで頭のいい人がいっていたのを覚えている。

でも実際のところ無限にある選択肢の中で私が選べる選択肢は指で片手で数えれる程度だと思う。

これは単に想像力や希望が乏しい私だからの話で、もっと道を選ぶことができる人はたくさんいるだろう。

あの日私にとって人生の中で大きなターニングポイントになったのは間違いない。

人生で初めて「いじめ」の被害者になり、最終的には逃げて家族に助けてもらって支えてもらって大事にしたくないと思っていたはずなのに結果的には大事になってしまって最後は愛ちゃんのお母さんの奈央さんの登場で全て私たち有利な形で終わった。


あの話し合いから3日が経って今日から学校は始まるわけだが、正直行きたいという気持ちよりも「怖い」という気持ちの方が大きい。

元々友達はそれなりにいたけどあの件の間私の隣には誰もいてくれなかった。

もちろんみんなも被害者になりたくはないし、面倒ごとに巻き込まれたくないから近づかないは選択肢の一つとしては悪くない。

ただ私としては学校に行って今更気を遣われて話しかけられたとしても逆に怖いと思ってしまう。

だからいつまでかはわからないけど保健室登校から始めようと思う。

学校に行かないという選択肢もあるのかもしれないけど、もしここで家からでなくなってしまったら出れなくなってしまうかもしれないと考えたら怖い。


「怖い」という気持ちに対して前よりも過敏になってしまっていると思う。

私ってこんなにも臆病だったかなと思う...

久しぶりに制服をきて鏡をみて自分の顔をみると、前よりも少し表情が暗くなっている松岡真紀がいた。

このままベッドに戻って寝ておきたい気持ちと、ここでいかなかったら明日はもっといきたくないんだろうなと思ったら勇気を出して部屋のドアを開ける。


「おはよう」


下にいくとお母さんが朝ご飯を作って待ってくれていた


「おはよう。朝ご飯食べれる?」


お母さんもあれ以来ずっと私に気をつかってくれている

私も頑張って「普通」を装っているけどきっとばれているのだろう

だから私は今やれる普通で向き合う


「今日は大丈夫」


「そう?ならおにぎりだけもっていったら?」


「そうする」


お母さんは急いでおにぎりを作って包んでくれた


「ありがとう」


「真紀、無理しなくていいからね。なんかあったらいつでも連絡して。迎えにいくから」


「大丈夫だよ。保健室登校だし、クラスの子たちに会う機会も多くないだろうし」


「それでもよ」


お母さんは私に念を押す。

1人で抱え込んであんななってしまったのだから心配をかけてしまう。

それが申し訳ないと思ってしまう


「わかったよ」


「ならよし。いってらっしゃい」


「いってきます」


お母さんに手を振り玄関のドアに手をあてると少し踏みとどまる。

これをあけたら学校に行くんだと考えたら身体が重く感じる


「真紀?」


お母さんが心配そうに話かけてくる


「大丈夫。いってきます」


私は勇気をだし玄関をあける

空は快晴で青空が広がっていた

そして玄関をあけると家の前にはお兄ちゃんと愛ちゃんが立っていた


「どうして?早くいったんじゃないの?」


「真紀ちゃんを待っていたんだよ。今日は中学まで一緒にいこう」


「中学3年生でお兄ちゃんと一緒に行くのは恥ずかしいかな?」


そんなの恥ずかしいに決まっている。

でも二人を顔をみるとさっきまでの不安は嘘みたいになくなっていた


「うるさい。いつまでも子供扱いするなし」


「はいはい。なんなら手を繋いでやろうか?」


「キモイ無理」


「辛辣!!」


「真紀ちゃん私と手を繋ごう」


「愛ちゃんとならいいよ」


「格差がすごいな」


「当たり前でしょ。15歳になって兄と手を繋ぐとか、それこそ同じ中学の子たちにみられたらそっちが理由で不登校になるし」


「みっちゃん泣かないの。私と手を繋ごう」


「えっなんで?」


「ダメ...?」


「いいけど」


この兄はとにかく愛ちゃんに甘すぎると思う。

愛ちゃんを中心に両サイドに松岡兄妹。

これはこれで違った意味で恥ずかしい。

むしろお兄ちゃんと手を繋ぐぐらい恥ずかしいかもしれない

愛ちゃんの顔をみると満足そうにニコニコしている。

この義姉になるかもれないひとのメンタルが最強すぎる

まず陰キャお兄ちゃんの性格がちょっとましになったのは、確実に愛ちゃんと付き合ってからである

詳しい理由は聞いていないが、中学の途中から極力他の人との絡みは最小限にしていたし、友達を家につれてきたこともほとんどないだろう。

それが愛ちゃんと付き合ってからは美人のさくらさんや桐生さん。可愛い鏡さんや冬くんや敬都くんも。いつの間にか陰キャの兄は陽キャの兄になっていた。

まぁそれはあくまで周りからみたお兄ちゃんであって、話していると普通に陰キャなんだけど。

話し合いの時はかっこよかったけど...


愛ちゃんは才色兼備という言葉が本当にあてはまる普通だったらお兄ちゃんと付き合っているのが信じられないような存在だ。

そんな愛ちゃんがここまでベタ惚れになる魅力がどこにあるのか逆に教えてほしい

前に「愛ちゃんお兄ちゃんのこと好きすぎるよね」といったら


「うん。全部が好きだよ。みっちゃんいがいありえない」って返事がきたから私は苦笑いだった


お兄ちゃんも愛ちゃんと付き合いはじめて変わったんだと思う。

本人がどう思っているのかはわからないけど、私から見たらすごく変わっている

私も変われるかな。




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