149話
みっちゃんたちを見送った後私は急いで空港に向かった
空港に着くと緊張感が高まっていた
電話では前よりは話せたけど、実際に会ってみるとどうなるのか少し怖かった
それぐらい私とお母さんの距離は開いてしまっているんだと思う
「愛!!」
私は名前を呼ばれた方に振り返ると
久しぶりに会うお母さんが立っていた
私は少し小走りで近づいていお母さんの前に立った
「ひ、ひさしぶり」
「そうね」
.......
「時間がないんでしょ。話はタクシーの中で」
「うん」
私たちは急いでタクシーに乗り込む
「間に合えばいいけど」
「大丈夫。運転手さん、法定速度ギリギリで急いで頂戴。超えても警察にばれない程度だったら許すわ。今日は私の娘の将来の旦那の一世一代の日なのよ」
「は、はい」
お母さんってこんなことを言うんだとちょっと私の緊張もほぐれた
「この前の電話でどうにかなるって言っていたけど、本当にどうにかなるの?」
私は疑問をそのまま伝える
「絶対にどうにかなるかはわからない。でもちゃんと手札は用意できた」
「手札とは?」
お母さんが私に2枚の写真を見せる
そこには40代ぐらいの女性と若い男性がキスしている写真と
30代ぐらいの男性と女子高生らしき子が手を繋いでいる写真があった
「これは???」
「今日あなたたちが戦おうとしている柳沢の母親と亀井って担任のスキャンダル写真よ」
「これをどうやって」
「それは私のつてで探偵を3人雇って数日調べさせたら運よく撮れたって感じよ」
なるほど。
確かにこれは見た感じでもやばそうな写真だなと思った
「正直子供たちの中で起きたことに大人が介入するのは善し悪しがあると思う。でも今回のことは子供の中で起きたことの範疇を超えていると私は判断したわ。それに天王寺の馬鹿もかなり深く関わっているみたいだし。なら大人の対処はい大人がするのが道理でしょ。あなたたちは第一前提が間違っている。愛もみっちゃんも大人と真正面から戦うことはしなくていいの。あなたが私に電話をかけてきてくれたから私はこうやって力になることができる。だからありがとう。そしてごめんなさい」
「お母さん....」
「私は今まであなたに何も母親らしいことはやってきていない。この前松岡さんに言われた言葉で頭を殴られたような気持になった。そして改めてあなたとちゃんと向き合いたいと思った」
「私も逃げていたんだよ。でもみっちゃんと出会って松岡家と出会って、人と人は寄り添わないと距離は縮まらないということに気づけたんだと思う。だからお母さんに電話することができた。私もお母さんも逃げて逃げて逃げてここまで来ちゃったんだと思う。だから私もお母さんともっと向き合いたい!!」
「愛...」
「お母さん泣いているの?意外に涙脆いんだね」
「あんたは私の思っていた以上に成長していて生意気になっているわ」
「だって私はお母さんの子供だから」
「この件が終わったらちゃんと説教してやるから覚悟しておきなさい」
「はぁい」
これが普通の親子の会話なのかはわからない。
でも今まで止まっていた私たちの時間がまた動き出したような気がした
「それに、私の将来の息子になるかもしれない子に会うのも楽しみ」
「みっちゃんはかっこいいよ。渡さないからね」
「ふふふ。まさか愛とこんな話をするときがくるなんて思わなかったわ。みっちゃんに感謝しないとね」
「それは本当にそうだよ。私が変われたのはみっちゃんのおかげだから」
「そう。なら私からもお礼を言わないとね」
学校に到着するとすぐに入口に向かう
「あなたたちなんですか!!???」
事務室から一人の男性が出てくる
「今日話し合いをしている松岡さんの関係者だから通して」
「正式な手続きを踏んでもらわないと」
「うるさい。こっちは時間がないんだから通しなさい。いくわよ」
男性の言葉を無視してお母さんは教室に向かう。
学校の地図をみて会議室に直行した
会議室が近づいてくると一人の男の子の声が響いていた
「俺もそうです。退学にするなりご勝手にどうぞ。絶対におまえらふたりのことは許さない。何があってもお前らのやったことを証明して絶対に罪を償ってもらう」
それは感情を表にむき出しにしているみっちゃんだった。
お母さんは私を見て微笑む
「あなたがベタ惚れするだけあるわね。ちゃんとかっこいいじゃない」
ノックもせずにお母さんは教室の中に入っていく
私は急なお母さんの行動に驚きながらも教室になかに入る
教室の中ではお母さんの登場で皆が固まっていた
私はこちらをみているみっちゃんに笑った
「もう大丈夫だよ」って意味を込めて。