145話
愛はお母さんの指示のもと携帯を取り出して一つの音声を流し出す
「でもあれはやりすぎじゃないの?」
「やりすぎなんて全然だよ。むしろ天王寺くんを傷つけたのだからもっと罰を受けてもいいと私は思っているよ」
「まぁ確かにあのくらい罰を受けてもいいのかもね」
「それに私が天王寺くんに仕返ししようと持ち掛けたときに漫画の知識っていって仕返しの内容を考えてくれたのは天王寺くんでしょ」
「そうそう。最近読んだ漫画で同じようなシチュエーションがあったから過激すぎないやつを選んだつもりだったけど」
「私からしたら生易しいぐらいだよ」
「まぁ松岡が俺の告白あんな無下にするとは思わなかったな」
「私は前々から松岡のことは気に入らなかったからちょうどよかったよ。最後にトイレで上からホースで水をかけたときに出てきたときの泣き顔は忘れないよね」
「柳沢さんそんなことまでしたの?」
「だってあいつ昼休みになると毎回トイレに行ってひきこもっていたから私の善意で外に出してあげたんだよ」
「ははは。流石柳沢さん!!最高かよ」
「でも今週に入ってあいつ学校に来ていないんだよ。つまんないよね」
「柳沢さんがやりすぎたから不登校になったんじゃない?」
「それはあいつの自業自得だからいいんじゃないかな」
「それもそうか。確か松岡の父親って俺の父さんの病院と繋がっている的な話をしていたような気がするから父さんに話してみようかな」
「いいんじゃない。家族ともども不幸になればいいさ」
「いっそあいつ〇ねばいいのに」
「ははは。確かに」
愛が流した音声は俺と愛が路地裏で天王寺たちと遭遇した時のものだった。
確かにあの時愛は地図アプリを開いて道をみていたが、もしかするとすぐさま録音に切り替えていたのかもしれない。
でもどうして愛はこの音声があったことを黙っていたのだろう
「これは私とみっちゃんが目の前で聞いたときの音声です。最初からこれを出して解決するならよかったんですが、そちらのみなさんはこの動画を提出したぐらいでは罪を認めなさそうだったので今日まで残していました」
そういって愛は一度こっちをみて頷いた。
確かにこの音声だけを学校に提出してもこの大人たちは絶対に認めなかったのだろう。
全員が揃った場で、愛のお母さんの登場、そしてこの音声。
これは潮目が完全に変える切り札だった。
そして当の本人たちにも影響はでており、柳沢は少し顔色に焦りが見えるが、天王寺の方は顔が真っ青になっている
「さて、これでもそちらの陣営は認めないってことでいいのかな?」
愛は天王寺の父親に尋ねる
流石にこの証拠をこの場で握りつぶすのは難しいと判断したのか
「私はこれは知らない。この馬鹿息子が私に嘘をついていただけです」
責任を全部自分の息子に押し付けた
「そ、そんな....」
父親すら自分の味方をしてくれない現実に天王寺は絶望した
だが、柳沢と亀井は負けずに反抗してくる
「その音声は本当にうちの娘のものなんですか?声が違うと思うんですが」
「今時AI使えばこんな音声簡単に偽装できるだろう」
「はいはい。時間の無駄だからお前らから先に終わらせる」
「何を言っているの?」
「何を言っているんだ」
「だからさっき言ったでしょ。黙れクズって。聞こえなかった?」
「だから何を...」
すぐに隣から愛が柳沢の母親のと亀井に写真を手渡す
そしてその写真をみた二人の顔色は一気に焦りに変わる
「柳沢?といったっけ?あんた不倫するならもう少し上手くやったほうがいいわよ。そんな変装もなしにホテルにいくなんて馬鹿なの?この写真と同じものをあんたの旦那の会社と家のポストにいれるように手配しているから今更焦っても遅いわよ」
柳沢の母親は膝から崩れ落ちる
その時に床に落ちた写真をみて柳沢もかなり動揺していた
俺もチラッとみえたが若い男とキスしている女性がみえたから中学生の女の子にはショックが大きいだろう
「そして亀井?って言ったかな。あんたはもっとクズね。未成年の卒業生と交際しているしギャンブルで借金した金をそこの天王寺に借りているでしょ。だから今回のこともあんたは一切真紀ちゃんに寄り添うことをせずに天王寺の味方をした。違う?」
「そ、それは...」
そして柳沢が一言愛のお母さんに向かって言葉を投げる
「どうしてこんなことを」
その声は少し泣きそうになっていた
「どうしてこんなことを?なんであんたらが被害者みたいなツラしているの?あんたら2人は首謀者でそこの後ろにいる大人は全員共犯者でしょ。人を傷つけて自分は傷つけられるのは嫌?人の命はたった一つしかないのよ。もしあんたら全員の行動で真紀ちゃんが自分で命を絶つ選択をとったとしたらどう責任とるの?生半可な気持ちで人のこと傷つけるな。わかったか小娘」
柳沢は完全に黙り込んだ
「柳沢さんと亀井さんのことが事実だったとしてもこの件に関しては関係のないことです。校長先生、本人たちがやっていなことをやったとするのは筋が通りません」
天王寺の父親はここにきてまだ抗った
「確かに本人たちは認めているわけではありませんね」
「ここにきてまだ真紀ちゃんが嘘をついていると」
「それは...」
流石の校長もこの状況で真紀が嘘をついているとは言えなくなっているのだろう
あと一手決めてがあればと思っていると
「僕たちがやりました」
「天王寺くん?」
柳沢も含めた全員が天王寺をみる