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クラスで一番人気の彼女が裏ではちょっとポンコツで可愛い  作者: Yuu
私が見ている空とあなたが見ている空
138/152

138話

愛に励まされて家に帰った俺たちを2人は笑顔で迎えてくれた。

父さんには改めて謝られたけど、それは素直に受け取った

それから4人で現状のことやこれからのことを少し話した。

解決方法があるわけではないから何もいい答えは出せていないけど先ほどまでのネガティブな気持ちはなくなっていた。

隣をみると愛がいる。前をみると両親がいる。

きっと中学の時も一人ではなかったんだと思う。でも勝手に1人になる道に逃げ込んだんだ。

あの時も父さんと母さんにちゃんと相談してチームメイトにも頼っていれば変わっていたかもしれない

「終わったことに泣くのではなく、起きたことに笑おう」

愛との帰り道ネットで検索するとクロアチアのサッカー選手、ルカモドリッチがレアルマドリードを退団するときに言った言葉らしく、SNSでも話題になっていたらしい。

今の自分にぴったりの言葉だと思った。

泣いている場合じゃない。泣いていても状況は好転しないのだけはわかっている。

起きたことに笑うために前に進もう。


それから2日間は何事もなく過ぎた

3日目の夜に自宅に帰ると母さんが電話で話しているところだった

俺はなんとなくあの件かなと思って身を構えた


「瑞樹、愛ちゃんおかえり」


「ただいま。今の電話って?」


母さんは少し申し訳なさそうな顔をする


「うん...学校からで先方の天王寺さんのお父さんが瑞樹と俊哉君を含めて話し合おうということらしい」


やはりかと思った。

前の俺だったらここでもうじうじ自分のやったことを後悔していたかもしれないけど、隣にいる愛が俺の手を強く握ってくれる


「俺は大丈夫だよ。母さんが申し訳なさそうな顔をすることないから」


「そうよね。当日は私と真紀も一緒にいくことになるから松岡家総出ね」


真紀も一緒か...何もなければいいが。

その日の夜父さんが帰ってきてから学校から電話がかかってきたことを母さんが話した

その時に真紀にも話を伝えた

真紀は初めて俺たちが天王寺と主犯の女にしたことを聞いて申し訳なさに泣いてしまった


「お兄ちゃん、愛ちゃんごめんね。私のせいで巻き込んでしまって」


俺は真紀の頭に手を置いた

「大丈夫だよ。兄ちゃんにも愛にも迷惑をかけていいんだよ。俺たちは兄妹なんだ」


「そうだよ真紀ちゃん。私は真紀ちゃんのお姉ちゃんなんだから。迷惑かけるならどんとこいだよ。むしろ真紀ちゃんの迷惑なら喜んで受け止めるよ」


最近愛の将来設計が口に出ていて俺は愛と結婚することが既定路線みたいになっている。

そしてそれを他の家族が違和感なく受け入れているところがなんとなく嬉しい。


「それに私は私にできることをして真紀ちゃんの助けになるから」


このときの愛のその言葉の意味を俺はわかっていなかった


「本当は真紀にこれ以上負担をかけることなく僕たちが日常に戻してやりたかったけど事が複雑なだけに結局真紀に負担をかけてしまったね。これは僕たちの力不足だよ。ごめん」


「そんなことない。お父さんもお母さんもお兄ちゃんも愛ちゃんも私のために精一杯やってくれている。それなのに私だけ弱いままで何もできていない...」


母さんが真紀を抱きしめる


「自分を責める気持ちはわかる。真紀は弱いままっていったけど私からしたら真紀がされていたことですぐに逃げ出さずちゃんと向き合っていただけでも弱いとは思わない。この件がどうゆう落としどころになるのかは正直私たちにもわからない。でもみんなの顔をみてごらん」


真紀が俺たちの顔をみる


「みんな前を向いているでしょ。だから真紀も下を向かずみんなの背中を見ていて。大丈夫。」


母さんの言葉を聞いて真紀は大きくうなずいた

そして先ほどよりも少し表情が明るくなったような気がした


それから2日後

学校が指定した日がやってきた

むこうの指定でなぜかうちの担任も同席することになっていた。

俺は翌日に担任と話をした


「先生、迷惑かけてすいません」


「まぁ急に中学から電話がかかってきたときは驚いたよ。でもお前はちゃんと考えてから行動したんだろ」


「はい,,,」


「妹さんのことはお母さんに聞いたよ。大変だったな。俺も教師をしていればいじめの現場に遭遇することはある。でもそのたんびに思うんだ」


「何をですか?」


「理不尽だなと」


まさにその通りだと思った。


「俺もそう思います。特に今回の件に関しては妹は何も悪くないんです。ただ告白を断っただけでこの仕打ちを受けるなんて納得できるわけがない」


「俺もそう思う。でもそれはいじめられた側の言い分であって、いじめた側の言い分はきっと違うからこうゆう状況になっているんだと思う。結局は告白を断ったからじゃなくてもっとシンプルに「むかついた」からが発端で、それがエスカレートして今の状況が生まれているんだと思う。俺もどれだけ力になれるかはわからないけど、任せろ。まぁ向こうが天王寺っていうところが難易度高そうだけど」


「そうなんですよね...」


天王寺はこの街に住んでいたら一度は耳にするほどの有名人だ。

新型コロナウイルスが流行した時にはよくテレビにでていたところで有名になっていた

天王寺の一声で会社が潰れるみたいな噂もあるぐらい影響力がすごい人らしい。

それだけを聞いていれば俺たちの状況はよくはないんだろうけど、真紀のあの表情見たら負けてられないと拳を強く握った

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