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クラスで一番人気の彼女が裏ではちょっとポンコツで可愛い  作者: Yuu
私が見ている空とあなたが見ている空
128/152

128話

家に着いたときに出迎えてくれたお母さんの顔を私は一生忘れることはないと思う。

そのくらいお母さんに心配をかけさせてしまった。

大ごとにしたくないと思い自分なりに耐えて耐えた。でも結局こうなってしまうと、もう少し早くに相談しておくべきだったんではないかと思う。

愛ちゃんと一緒にお風呂に入り、冷めていた身体も少し温まり。身体の血流が回っているのか、先ほどよりも考えることができているような気がする。

正直、トイレに水をかぶってからの記憶は曖昧で無我夢中でその場から逃げてあの公園に辿り着いていた。

もしお兄ちゃんと愛ちゃんが通りかかっていなかったらあの場所から動けていなかったかもしれない。


お風呂から上がりお母さんにミルクティを淹れてもらう。

お母さんが台所で準備をしているとお父さんが私の向かいに座った


「えっ?」


お父さんは私に頭を下げた。

その行動に思わず声が出た


「真紀がこんなになるまで気づいてやれなくてごめん」


気づいてやれなかったわけではない。

私が気づかれないようにしていただけ。

お父さんもお母さんも何も悪くない。


「お父さんもお母さんも何も悪くないの。私が上手にやれなかっただけだから」


そしてお母さんがミルクティをもってきてくれる


「私たちは真紀が器用で何事も上手にこなすことができる子だって知っている。その部分に私たちも助けれれているから。でも今回は違うよ。」


私は上手にできなかった。

だから私が悪いんだよ


「違うくないよ」


私はお母さんに反論していた


「辛いことは上手にやり過ごしたらダメなの。そのモヤモヤはなくならないから」


モヤモヤはなくならない,,,

私の胸には確かに今も消えないモヤモヤが蠢いている


「...」


「真紀に何があってそうゆう状態になっているのかは私たちにはわからない。でも私たちには迷惑をかけていいの。子供の迷惑すら背負えない親だと思われているなら別だけど」


「そんなことはない...」


そんなわけない。

お母さんとお父さんほど頼りになる親はいないと断言できる


「真紀、僕たちはいつだって味方だから」


そのお父さんの一言で少し安心することができた


「うん。ありがとう」


きっとみんな私に何があったのか聞きたいんだと思う。

わかっている。話した方がいい。

でも正直この数週間を思い出しながら話すのが少し怖くなっていた。

本当に情けないと思う。


「真紀ちゃん」


下を向いて少し考えていると愛ちゃんが私の名前を呼ぶ


「愛ちゃん?」


私は愛ちゃんの顔をみる

すごく優しい顔で私をみてくれていた


「みんなの顔をみてみて」


その言葉で私はお母さんとお父さんとお兄ちゃんの顔を見る。

なんて不安そうな顔をしているんだ。

一生懸命普通を保とうとしているけど不安が顔からにじみでている

お兄ちゃんはなんで泣きそうな顔をしているの。

愛ちゃんに背中をポンポンと叩かれた

「大丈夫」と言われたような気がした。

怖いの私だけじゃないんだ

私の目からは涙が零れていた


「私もみんなと同じ気持ち。真紀ちゃんのことが一番大事だからこそ一緒に考えよう」


愛ちゃんの言葉は本当に心にしみる

こんな素敵な人が相手だったら私も恋愛したいと思える。


「愛ちゃん...」


「何があったのか話してくれる?」


私は一度深呼吸をして少し目をつぶって考える

そしてすぐに目を開ける


「わかった」


それから私は天王寺くんの告白から始まったこの騒動を一つずつ話していった

途中具合が悪くなったが休憩を挟みながら

柳沢さんたちのこと担任の教師のこと。

自分の周りから少しづつ人がいなくなっていたこと。

いじめが過激になっていたこと。

昼休みはトイレで過ごしていこと。

そして牧沢さんたちに水をかけられてその場から逃げて公園にいたこと。

自分の身に起きたことをおおよそ話せたと思う。


「これが私に起きたことです」


お母さんは泣いていて

お父さんは何かを考えている

お兄ちゃんも何か考えている

愛ちゃんはかなり怒っているのがわかる

さっきまでの仏みたいな愛ちゃんの顔は見る影もない。


ちょっとトイレに行きたいと思い立ち上がると


「あれ?」


なんか身体に力が入らなくなって私は倒れそうになった


「「真紀!!」」


お母さんとお父さんが急いで私に近づいてくる

それよりも先にお兄ちゃんと愛ちゃんが私を支えてくれていた


「ありがとう」


「今日はもう休もう」


お兄ちゃんの言葉に私は頷いて眠りについた


「あとは俺たちに任せろ」


意識が途絶える途中にお兄ちゃんの言葉が聞こえたような気がした。



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頼むよみっちゃん…(泣)
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