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117話

みんなで話した次の日、俺と愛と桐生さんは3人で先日いった楽器屋さんにもう一度来店した。


「おや、君たちは先日の」


お店に入ると前と同じようにおじちゃんが椅子に座って出迎えてくれた


「はい、先日はありがとうございました」


「こちらこそありがとうね。それで今日はどうしたの?」


「それは...」


いざおじちゃんを目の前にすると桐生さんは人見知りを発揮し、少し口ごもってしまっている


「前に店長さんが言われていた店長さんが主催するライブっていつかなと思って聞きに来ました」


口下手な桐生さんの代わりに用件を伝える。

隣の桐生さんをみるとすごく申し訳なさそうな顔をしていた


「なるほど。ライブのことを聞きにきたんだね。うちが主催するライブは頻繁にやっているんだけどジャンルがあるかなら」


「ジャンル?」


「ロックから、アコースティックなものやパンク系みたいにその日のライブによってジャンルは統一しておかないとアコースティックのライブを聴きにきたのにハードロックのアーティストでてきたらびっくりするだろ?」


「確かに」


そもそもライブハウスのライブにはいったことがないからイメージしにくかったけど、確かにジャンルは統一してもらわないとギャップにいたたまれなくなりそうだ。


「桐生さんどうする?」


俺は桐生さんに話をふる


「今回はfreedomででるわけではないからアコースティックのライブがいいかなと」


「アコースティックね。ちょっと待ってね」


そういって店長さんはパソコンでライブのスケジュールを確認する


「これがいいかもな。アマチュアの子が多く出演する予定のライブ」


「いいと思います」


店長さんの言葉を聞いて納得する


「ただ...」


「ただ?」


「このライブは来週の月曜日の夜にあるんだよ。枠はあるんだが準備時間が足りなくないかな?」


「大丈夫です」


「えっ」


なぜかはわからない。

今「大丈夫です」といったのは桐生さんではなく愛だった。


「なんで愛が大丈夫っていうの」


「桐生さんなら大丈夫。大丈夫だよね?」


なんか桐生産に対する圧が強いな


「う、うん。大丈夫だと思う」


「それなら出演でいいかな?」


「はい」


その後店長さんにライブの詳しい詳細と時間などを聞いてお店を後にした


「なんであそこで愛が返事しちゃうの?」


「私もびっくりしたよ」


「だって桐生さんなら大丈夫だと思ったから。違うの?」


愛が桐生さんの目を見る


「違わなくないです...」


「そうだよね」


「最近桐生さん愛に弱くなってない?」


「あの目で言われたら無理じゃないかな?」


「それは確かに...あの目は圧がある+説得力もあるんだよね」


「松岡くんの言っていることがなんとなく理解できるよ」


「気を付けてね」


「気を付ける」


「なんかさっきから私の存在が危険人物みたいに聞こえるんだけど」


「「大丈夫」」


「もう。二人で仲良くするのずるい」


そっちかい!!

って突っ込みたくなったが二人で「ごめんね」といったらまた3人で手を繋がされた

桐生さんの顔は真っ赤に茹で上がっていた。


「あとはチケットを売らないといけないんだよね」


店長さんに最後に言われたのが「チケットノルマ」だった

ライブハウスでライブするときにチケットを枚数のことだ。

文化祭のライブとは違って今回はライブハウスでのライブになるから、当然お客さんはお金を払ってチケットを購入して入場しないといけない。

だた、アマチュアのライブでお客さんが集まることはよほどなく、お客さんが集まらないと赤字になってしまうから売り上げの最低保証をするためのチケットノルマなのかなと認識した。

ライブハウスの運営も今のご時世では大変だからと店長さんは投げていた


「何枚だったかな?」


「私はギリギリの出演になったから10枚売ってくれればすごく嬉しいとはいわれたけど、もし無理そうだったら5枚でもいいよといってくれた」


「なるほど。それなら10枚売ったら桐生さんの評価あがるかもね」


愛がそんなことをいう。

でも実際問題2500円のチケットを10枚売るのは簡単なようで簡単ではない


「評価はあがるかもしれないけど10枚は簡単じゃないなよね」


「じゃぁ聞いてみよう」


「誰に?」


愛は携帯を取り出すとすぐにメッセージを送る

すぐに斎藤さんも入った8人のグループにメッセージが届く


嶋野愛

【来週の月曜日の18時桐生さんがアコースティックライブに出演決定。チケットが一枚2500円行く人いますか?】


そんなストレートに聞いちゃって大丈夫?と思っているとすぐにみんなから返事が届く

しかもみんな【参加】の返事だった


「これで私とみっちゃんも合わせたら7枚が売れたから、あとの2枚は桐生さんのお母さんとお父さんの分で9枚。あと1枚は真紀ちゃん誘おうかな」


愛がすぐに真紀にメッセージを送る

するとすぐに返事が届くが、真紀は参加できないとうことだった


「それならあと一人いける人探さないとだね」


「誰かいるかな」


元々3人とも友達が少ない上にコミュ障だからこんなときに誘える人がいない。

愛がうちの両親を呼んでみたらといってみたが、おそらく2人は仕事だからこれない


ピコン

3人の携帯の通知がなる


苑田冬樹

【まだチケットの予備って2枚ぐらいありますか?】


桐生天音

【2枚あります】


苑田冬樹

【よかった。うちの姉さんたちが二人いきたいっていっているんですがどうでしょうか?」


なるほど冬くんのお姉さんたちか。


桐生天音

【逆に来てもらって大丈夫かな?】


苑田冬樹

【全然大丈夫。by姉1 むしろみんなに会いたい。by姉2 らしいです】


最高のお姉さんたちだった


「これでチケットノルマは達成した」


「うん。早すぎてびっくりしているよ」


「俺たち個性的だけど団結力あるよね」


「間違いない」


「あとは桐生さんがご両親に話すだけだね。これが一番難易度高そうだけど」


全否定されたような状態から「自分のライブに来てください」と説得するのは難しいだろう


「大丈夫。みんなが協力してくれているから私だけ頑張らないは論外だ」


桐生さんの表情は昨日のファミレスにいくときの不安な表情から完全に前を向いている人の表情になっていた。

愛が桐生さんの手を握り


「大丈夫」


桐生さんが愛を目を見る


「ありがとう」


桐生さんは俺たちに感謝を伝えてから帰宅した。

多分桐生さんの人生の中でもとびきりに緊張する時間だと思う。

でも今の桐生さんの表情を見ていると、大丈夫なような気がした


「みっちゃん帰ろう」


「そうだね」


俺たちも家に帰宅する



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