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107話

斎藤さんも含めて4人で同じテーブルに座り全員が携帯でコミュニケーションをとるという周りから見たら

「なんで全員携帯見ているの?」と見えているだろうが、当の本人たちからしたら有意義な時間を過ごしていた。

意外に携帯での会話は楽しくて普段から口数が多くないメンバーだけだとアリだなと思ってしまった。

それからみんなでご飯を食べてからまた無言の時間ができた。

すると斎藤さんかメッセージが送れる


【みなさんは高校を卒業した後のことは考えているんですか?】


それは進路の質問だった


【俺はまだ具体的には考えていないけど専門学校か大学に進学するのかなとなんとなく思っているかな】


【私はみっちゃんのお嫁さんになることかな】


【私は大学】


1人進路とは別の小学生みたいな夢を語っている女の子がいたけど気のせいかな

隣の愛をみるとにやにやしながらこっちをみている


【嶋野さんは置いといて、松岡くんと天音ちゃんは進学なんだね】


【私の発言置いとかれた】


ガーンというスタンプが送られてくる

なんか普段の愛よりテンションが高く感じるのは文章だからかな


【まぁ愛は置いといて。(笑)俺は具体的にこれっていうのは決まっていないけど就職するってのもなんか違うからあと一年自分の目標を考えようかなって】


【そうだよね。まだ一年あるからね。でも天音ちゃんは音楽続けないの?】


桐生さんはそのメッセージをみながら少し困ったような顔をした気がした...

なんとなくだが。


【私の親は私が音楽をしていることは知らないし、親の頭の中での私は大学進学一択で公務員なんだよ】


親の期待...

前に屋上で話してくれた時のことを思い出した。

愛は親に振り向いてほしくて努力を重ねた

桐生さんは親の期待通りの生き方をしてきた

俺はどちらかというと好きにやらせてもらっていたから気持ちを全部わかってやれない。

でも愛の場合は親が近くにいないのもあるし最近では自分のために生きているような気がするが桐生さんはまだ親の敷いたレールを抜け出させないんだと思う


【天音ちゃんはそれでいいの?】


斎藤さんはそんな桐生さんの気持ちを察したのか質問をする


【仕方ないんだよ】


そう送ってきた桐生さんの顔は全然割り切っているような表情ではなかった


【それならいいけど】


斎藤さんもそれ以上は追求しなかった

それから少し話していると斎藤さんと桐生さんは予定があるということでお開きになった


【またね】


最期は携帯を使わずに口話で挨拶を交わした

初めて聴覚障害の方と接したが俺たちが思っている以上に大変なんだろうなと思った

帰ってからいろいろと調べてみようかな


「斎藤さん明るい子だったね」


「そうだね」


「みっちゃん家に帰ってから調べてみようと思っているでしょ」


「なんでわかったの?」


俺の心読む手段でもあるの???


「なんとなく。みっちゃんならそうするかなって。私ももっと話したいと思ったから調べようと思っていたから」


考えることは愛も同じだった


「うん。ちょっと調べてみようと思ったし、今度斎藤さんと話すときに少しでも気を遣わなくてもすむようにしたいなって」


「ふふふ。みっちゃん優しいね」


「そんなことないよ。ただ自分ができることはしたいなって」


「それを実行できる人は優しいんだよ」


そういって愛は俺の腕にしがみつく

認めるのは照れくさいけど素直に褒めてもらえたらは嬉しかった

自分のことが単純だなとは思うけど


「こんど敬都たちにも斎藤さんを紹介できればいいよね」


「さくらは喋るほうが得意だから斎藤さんは口の動き読むのに忙しくなるかもね」


「確かに....」


なんかさくらさんの会話を少し困ったような顔できいている斎藤さんの顔が浮かんだ


..............................................................................................................................................................


【天音ちゃんは音楽続けないの?】


乙羽さんから聞かれた質問に即答することができなかった。

私の進路は大学以外ありえないのに。

人には表の顔と裏の顔がある。でももし私の裏の顔(音楽していること)を両親が知ったらどうなるのだろう。

絶対に許さないことだけはわかる。

結局私は親から敷かれたレールから抜け出すことができないままでいるんだ。

抜け出したいとは思っているが、実際自分が音楽で生活していくような自信もない。

私の気持ちは宙ぶらりんで着地点を見失っているんだ。

そんな考えていると家に到着する


「天音ちゃんお帰り。遅かったわね」


「ちょっと友達と話していたから」


「そう。ちゃんと宿題はしないとダメよ」


「うん」


「流石天音ちゃんね」


きっと両親の中の桐生天音は理想を具現化したような娘なんだろう

だから宿題をしているのは当たり前で学校に遅刻なんかしない。

友達がいっぱいで勉強もできる。

これが両親の桐生天音なんだろう。

でも実際の桐生天音は違う。

なんかモヤモヤしてきた。ギターが弾きたい。でも両親がいる時間はギターを弾くことができない。

そうだ。こうやって私はギターを逃げる場所に使ってしまう。

こんな私が音楽を続けていっていいのか


「もうすぐ3者面談か」

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