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106話

「」の部分は普通に会話の部分で

【】の部分は携帯の文字と思って読んでください。

桐生さんが「斎藤さん?」と言っていたから知り合いなんだろう。

でもわざわざスケッチブックに文字を書いてくるとは、少し変わったコミュニケーションの取り方だなと思ったが、それは人それぞれだと思うから特に気にならない

桐生さんは斎藤さん?のところに向かい少し話した

途中二人とも携帯を出して何かを話しているような感じだったが話が終わり桐生さんが戻ってくる


「2人ともこの後は予定とかある?」


「いや特にないよ」


「私もないよ」


「そっか。それなら今からもう一軒付き合ってくれないかな?」


桐生さんが一気に会社員みたいになっていたのが少し面白かったが

流石に桐生さんに「会社員か」と突っ込む勇気はなかった


「桐生さんもう一軒って会社員の飲み会みたい」


愛さんは突っ込むよね

桐生さんはちょっと恥ずかしそうにする

別におかしいところはないんだけどね。

でも桐生さんが言うからちょっと面白いんだよ

恥ずかしがっている桐生さんに助け舟を出してやる


「俺たちは予定はないけど、もう一軒ってどこにいくの?」


「それはそこのファミレスに。彼女も一緒に」


桐生さんが指さした先に斎藤さん?が立っている


「俺たちはいいけど」


「みっちゃん狙いなら許さないけど?」


「それは大丈夫」


「ならいいよ」


「わかった」


愛はたまに過剰すぎると思う。俺はモテない。

今まで愛と付き合うまで誰かに告白された経験はないはず。。。

もしかすると漫画みたいに幼稚園の時に告白されたみたいなイベントはあるかもしれないが、小学校にあがってからは告白された経験はない

妹の真紀は結構告白されるらしい。この前も愛と恋バナしてクラスで人気の高い男の子に告白されたみたいな話をしていた。振ったらしいが。

確かに真紀はみんな可愛いとは言っていたが、俺にとってはあくまで「妹」でしかない。

ラノベでは「妹」を恋愛対象としてみる作品もあるが、流石にあれば物語の世界の話である。

真紀が生まれた時から俺は「兄」で真紀は「妹」だ。これは揺らぐことがないだろう

逆に妹と恋に落ちるって怖いけどな。。。

妹好きのオタクのみなさんすいません。俺にはその気持ちは理解できないみたいです。


桐生さんが店の外に出て了承を得たことを報告する

斎藤さん?は俺たちに微笑みかけて桐生さんと一緒に歩き出した

俺と愛はそれに続く

にしても桐生さんの隣を歩いてもまったく違和感がないぐらい綺麗な人だなと思った

少し大人びているような気がするけど年齢はいくつぐらいだろうか

そんなことを考えていると横から頭を掴まれて無理やり横を向かせられる


「えっなんでしょうか?」


向かされた先には愛の綺麗な顔が待っていた


「みっちゃんが私以外の人をみている。こっちをみて」


こっちを見てと言っている顔が可愛すぎて愛しかみていませんよ


「今は愛しか見えていません」


「よろしい」


「2人ともイチャイチャするのは後にしていくよ」


「はい」


桐生さんも最近俺たちに言うようになってきた

最初はあんなに遠慮気味な接し方だったのに、俺たちの周りはみんなさくらさんに触発されていっている

ファミレスに入って俺と愛が一緒に座って向かいに桐生さんと斎藤さん?が座る

そしてなぜか俺たちの方をみてすごく微笑んでいる

なにかいいたいことがあるならいってほしい

ここでも俺は注意をそらすために桐生さんに話けかける


「それで桐生さん、この方は」


「この方は斎藤乙羽さんで、この前路上ライブをしていたときに知り合った友人なんだ」


桐生さんの友人というのは初めて聞いた


「なるほど、初めまして松岡瑞樹です」


「嶋野愛です」


「......」


斎藤さんはニコっと微笑む


「斎藤さんは耳が聴こえないんだ」


「えっ」


桐生さんの口からでた言葉は予想外だった

確かに斎藤さんをみてみると耳にはイヤホンらしきものをつけている

てっきりイヤホンと思っていたが、あれは補聴器なのだろう

そしてお店の外からスケッチブックで尋ねていたこと、桐生さんと話すときに携帯を使っていたのは文字で会話をしていたのかもしれない。

先ほどからの違和感が解決した


「さっき、君たちは私の友達なのかと聞かれて、私もお話ししてみたいといってくれたからここに来た感じです」


「そうなんだね。ちなみに斎藤さんはどのくらい聴こえていないの」


「ほとんど聴こえていないと思ってもらっていいといっていたよ」


「なるほど。桐生さんはどうやってコミュニケーションとっているの?」


「口の動きで会話する口話や携帯の文字などを使って会話しているかな。私は元々口数が多くないし会話の店舗も早くないから意外に違和感なくコミュニケーション取れているんだと思う」


それだった俺たちも同じだと思う。

隣の愛をみるとすかさず斎藤さんに向かって携帯を差し出していた


【連絡先を交換しよう】


打っている文字を除いてみると早速携帯でコミュニケーションをとろうとしていた

普段自分からあまりコミュニケーションをとるわけではない愛にしては珍しい行動である

桐生さんも愛の行動には驚いているようだ


【ばい。ありがとうございます】


斎藤さんも文字を打ってにこっと微笑んだ


「みっちゃんも一緒に」


「はい」


そして俺も一緒に斎藤さんと連絡先を交換させてもらった

交換するとすぐに愛はグループを作成して3人を招待した


【これでみんなで話せるね】


愛が率先して話を回す


【嶋野さんありがとうございます。嶋野さんは見た目だけじゃなくて中身も素敵なんですね】


【斎藤さん、愛がこんな行動をとるのはすごく珍しいよ】


【そうなんですか?私の耳が聴こえないと分かった途端すぐに動いたから、学校では話の中心にいるような存在なのかなと思いました】


【桐生さん、どう思う?】


【うん。正直全然違うね】


【二人ともなんかひどくない?だって一人だけ話に入れないのは嫌だと思ったから...】


【うんうん。愛の優しいところだよね。愛がやってなかったら俺がやろうとしていたから大丈夫だよ】


【みっちゃん!!!ぎゅーして】


そして俺の腕にしがみつく

ぎゅーしては文字で打つ必要はないよね

斎藤さんの方をみると弾いているわけではなくにこっとしてくれている。よかった...


【嶋野さんは松岡くんの前では可愛い甘えん坊さんなんですね】


【意外でしょ。私も最初に見た時は驚いたけど】


【まぁみんな表と裏の顔があるってことだよ。斎藤さんもすぐに慣れるよ】


【はい。楽しみです】


こういった会話が繰り広げられているわけだが、実際はみんな携帯に向かって文字を打っている絵図だ。

だから店員さんは話しかけていいのか少し困っている様子だった


「あの~。ご注文はどうされますか?」


少し気まずそうに話しかけてくれた


「すいません。実は彼女は耳が聴こえてないなくて文字で会話しているだけで、決して雰囲気が悪いとかではないのでお気遣いしていただかなくて大丈夫です。何かあれば自分が注文させてもらいます」


店員さんは少し驚きながら、斎藤さんの耳についている補聴器を見つけたのかすぐに理解してくれた


「なるほど。わかりました。何かあればお声かけてください」


「ありがとうございます」


店員さんが去って携帯をみてみると


【松岡さんありがとうございます。今は私のことを話してくれたんですよね?】


【どうしてわかったの?】


【雰囲気と口の動きでなんとなくです】


【なるほど!!斎藤さんは口の動きでどのくらいわかるんですか?】


【ため口でいいですよ!正面からみればだいたいは理解できます。マスクは天敵ですね。ww】


コロナが流行してからマスク着用が日常化して俺たちもはただ感染予防としてマスクをつけていたが、斎藤さんたちにみたいに口の動きでコミュニケーションをとろうとしていた方からしたら大変だったんだなと考えさせられる


【そうですよね。俺たちは普段から話が得意な方じゃないから口の動きが読みにくいとか大丈夫ですか?】


これがさくらさんみたいに話し上手でハキハキ話す子だったら読み取りやすいのかもしれないと思った

俺もできるだけ口の動きを大きく動かすように意識する


【大丈夫ですよ。わからないことはこうやって文字で聞けますし、3人とも私のテンポに併せてくれるので】


【それは合わせているというより、元々私は話すのが得意じゃないからこっちが合っているみたい】


【私も同じ】


確かに愛も桐生さんも話が得意なわけではないからこのテンポがあっているのかもしれない。


【それならよかった】


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