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100話

祖父母の家から帰ってきた夜、敬都からラインがきた


「明日空いてる時間ない?」


3連休の最終日はゆっくりしようと思って予定はいれていなかった


「明日は予定ないよ」


そう返事をすると


「それなら少し話せないかな?」


敬都からこのような連絡がくるのは珍しい

何かあったのかなと思い


「いいよ」


「それならいつものファミレスに11時集合でいい?」


「了解」


なんのことかこの場で聞こうかなと思ったけど、明日会うからいいやと思い携帯をベッドに置いた。

そして立ち上がろうとしたタイミングで誰かから連絡がきた

何か言い残していたことでもあったかなと思い携帯を開くと


「明日時間ある?」


次は全く同じ内容のラインがさくらさんから届いた

同じタイミングで明日の予定を聞く2人。

俺の頭の中では敬都とさくらさんに「何か」あったのかもしれないと思った

でも、敬都とさくらさんがそっちの方向にいくのかなとも思ったが、とりあえず返事をした


「今敬都からも同じ内容の連絡がきて空いてるって返事したけど。。。」


すぐに既読がつき返事が返ってくる


「それならちょうどよかった。なら敬都も一緒に4人で集まろう」


「4人?」


「愛ちゃんもね」


「愛も?」


「だって愛ちゃんなしに私と会っていたらなんか怖そうだし」


否定はできない。

愛は結構独占欲が強い。

さくらさん相手にも嫉妬するかもしれないと思ってしまった


「わかった。愛も誘ってみるよ」


「よろしく。私から敬都に連絡しておくね」


「了解」


何かあったのかすごくすごく聞きたかったが何も聞かなかった。

そして忘れないうちに愛に電話をかける

電話をかけるとすぐに愛が出てくれた


「もしもし」


「みっちゃんどうしたの?」


「愛は明日暇?」


「明日?朝から部屋の掃除して昼からみっちゃんの家に行こうかなと思っていたよ。どうして?」


家が隣になってからは愛は頻繁に松岡家にくるようになっている。

俺も愛が家に来るのは全然いいし、うちの家族も大歓迎だ。

最初は愛も遠慮していた部分はあったが、最近では気軽にこれるようになっている。

最初付き合ったときから考えると想像がつかない進歩だ。


「今敬都とさくらさんから明日の予定を聞かれて。集まれないかっていわれて愛も一緒に?」


「なるほど。みっちゃんは行くの?」


「俺は行こうかなと思うよ」


「それなら私も行く」


「了解。二日間慣れないところで疲れたと思うから今日はゆっくり寝てね」


「うん。ありがとう。明日会えるの楽しみ。ねぇみっちゃん」


「どうした?」


「外みて」


そういわれて窓のカーテンを開ける

カーテンを開けると向かい側のアパートから愛が見える


「ふふ。みっちゃんがまたみれた」


「さっきまで一緒にいたけどね」


「ずっとみっちゃんのことみていたから」


「ほどほどにお願いします」


「ふふふふ。じゃぁまた明日ね」


「うん。おやすみ」


「おやすみ」


こちらに向かって手を振っている愛はすごく愛おしかった

いろんなことがあったけど、こうして愛の笑顔をみれるのはやっぱりいい。

その日は俺も疲れていたのかベッドに入るとすぐに熟睡していた。


次の日の朝愛と合流していつものファミレスに向かった


「今日のみっちゃんもかっこいいね」


俺はいつものように髪の毛をセットしていた。

敬都が大事な話をするのかもしれないと思ったらちゃんとしておこうという気持ちになった。


「愛は今日もおしゃれで可愛いね」


「ありがとう。最近みっちゃんに可愛いっていってもらえるようにファッション誌を見るようにしているんです。それで似たような洋服をネットで買ったりするんだけど、サイズ間違ったりするんだよね。」


ネットショッピングではあるあるだけど、前も買った洋服を前と後ろを間違えて着ていたり、ちょっとポンコツなところままだあるのが逆に可愛いと思ってしまう。

まぁあの時の洋服は確かに前と後ろが逆のようなデザインだったから仕方ないかもしれないけど。

女の子のファッションは男よりも難しい。


「じゃぁ今度また一緒に買い物いこうか」


「うん。前にいったEGAOっていうブランドの洋服のお店に行きたい」


「いいよ。俺もあそこのブランド好きだし新作でているみたいだから」


「やったぁ。楽しみが増えた」


あれは付き合った最初の方に行ったデートで立ち寄ったお店だ

有名なファッションデザイナーがやっている一般向けのお店で俺も愛も気に入ったブランドだったりする。

最近もニュースで身長が低いモデルだけを採用したコレクションを世界で成功させたというのを見かけた俺と10歳も変わらないデザイナーが本当にすごい。

10分ぐらい歩いていつものファミレスに到着した

ファミレスの中に入ると


「愛ちゃん、瑞樹こっちこっち」


さくらさんが俺たちに気づいて手を振っていた

やっぱりさくさんも美人である。

そしてファッションはいつもおしゃれ。その隣には最初に出会ったときよりもあか抜けた敬都が座っていた。髪の毛のセットもあれから練習しているらしいし、洋服もさくらさんたちにアドバイスしてもらいながら買っているらしい。確かに今の敬都をみて陰キャラというひとはいないと思う。


愛と俺・さくらさんと敬都という席で座った

敬都は最初からさくらさんの隣に座っていたから自然とこうなるんだが


「瑞、嶋野さん今日はきてくれてありがとう」


「まさか敬都とさくらさんから同時に同じ内容の連絡がくるとは思っていなかったけどね」


「それは僕もびっくりした。瑞樹と連絡が終わった瞬間さくらさんから同じ内容のがきたから」


「タイミングって怖いよね」


「それでなんか話があるのか?」


昨日のラインがきたあとから本当は内容を聞きたくて仕方がなかった

向かいに座る2人は緊張感のある表情をしていた

これは俺の予想通り。。。敬都とさくらさんが付き合ったのかもしれないと予測が確信に変わろうとしていたら


「鏡さんに告白されたんだ」


「へっ」


予測が確信にかわろうとしていたときの唐突な第三の選択肢で俺は変な声がでていた

ちらっと隣の愛をみてみると何も驚いていない様子だった

さくらさんの表情は少し堅い

これはどうゆう状況なんだろう


「瑞樹???」


「あっごめん。鏡さんに告白されたのね。ちょっと予想していたのと違ってびっくりしたから」


「そうだよね。急にこんなこと言われたら誰だってびっくりするよ」


「いや鏡さんが敬都に告白するのは少しそうかなとは思っていたけど」


「そうなの?」


敬都はやっぱり何も気づいていないようだった


「だって海に行ったとき敬都が自然に鏡さんの水着「可愛い」っていたときの鏡さんの顔ゆでだこみたいになっていから」


「私可愛いって言われていないんですけど」


隣からさくらさんが突っ込む


「さくらさんが可愛いのはわかっているかなって」


「それはそうかもだけどいわないとわからないことはあるでしょ」


「ごめんなさい」


今さらっとさくらさんに可愛いって言ったこの男はやっぱりラノベに出てくる鈍感系主人公で決定だなと思った


「それで返事はどうしたの?」


「それが」


そして敬都は昨日のいきさつを話してくれた。

一度告白を断ったが、その理由は嫌いとかではなくて自分に自信がないところから出た言葉で、それを聞いたさくらさんと冬くんから説教されてもう一度話にいって。

もう少し待ってほしいみたいなことを言ったらしい

俺と愛が祖父母のところに行っている間にこんな展開になっていたとは


「なるほど。そんなイベントが起きていたんだ。なんで俺と愛はそこにいなかったんだろう」


「さくらさん、こいつ楽しんでませんか?」


「わかる。私なんかお店から出てからどうなったのかが気になって仕方がなくて。敬都は一切連絡してこないし。普通するよね私と冬くんに」


「それはごめんなさい。なんかやり切った感で満たされていて」


「まぁ敬都と鏡さんの間でいい着地点をみつけれたのなら私はいいかなと思うけどね」


「本当にこの度はお世話になりました」


「いいってことよ。敬都は弟みたいな存在だし」


「それ鏡さんに言われて、確かにさくらさんは僕の姉みたいな存在だなと思った」


「えっなんかそんな言われたらこんな弟がいるの嫌だな」


「僕だって見た目は可愛いのに実は○○みたいなお姉ちゃん嫌です」


「おい、今の○○に入る言葉いってみろや」


「ご想像にお任せします」


いろいろあったみたいだが、2人がいつものようになっていてよかった

話に入ってこない愛はというと


「みっちゃんこのパフェ一緒に食べない?」


「確かにこのイチゴおいしそう」


「だよね。じゃぁ決まりね。あとポテトも頼もう」


「OK」


「瑞樹さんや」


「なんだい敬都さん」


「僕の話に対する嶋野さんの興味が皆無なのは気のせいかな」


「気のせいではないかな。愛は基本的に人の恋愛には興味がないから」


「そうだよ。愛ちゃんは瑞樹バカだから」


「そんな褒めないで」


「あれ、私今褒めたかな。おかしいな」


「さくらさんどんまい」


愛がパフェを注文するときにそれぞれ軽食を注文した


「それにしてもこの4人でファミレスにくるのって球技大会の前以来じゃない?」


確かにそうかもしれない。

あれは球技大会の練習をしようとした帰りのことで

周りからみられないように必死だったな

「釣り合わない」とか「愛に迷惑がかかる」みたいなことをずっと考えていた時期だったけど、今となっては周りの目も多少は気になるが前ほどではない。

自分に自信がついたのかもしれない


「あの時嶋野さんはバスケの練習で僕はサッカーの練習したけど、本番での嶋野さんの活躍みたら練習する必要なかったんじゃないかなと思うぐらい上手だったよね」


「いや、私はあの練習がなかったら活躍できなかったと思うよ」


「そうだよ。愛ちゃんはなんでもできそうで慣れるまでは早いけど基本は不器用なんだから。バスケの練習した初日なんてボードに力加減がわかっていなくてボードに何回当てていたか」


「さくらが器用すぎるんだよ」


「へへへ。私はすごいのだ」


「でも、さくらさんは本当になんでもできるよね」


「どうしたの瑞樹、何も奢ってやらないよ」


「いや、愛は確かになんでもできはするけど裏ではポンコツな部分多めでできないこととか知らないことが多いんだよね。この前自動販売機に一生懸命一万円札いれていて」


「みっちゃんこの自動販売機壊れているよ。お札が戻ってくる」


「愛、自動販売機では一万円札は使えないよ」


「そうなの?私今一万円札しか財布に入っていない」


「大丈夫。俺が出してあげるから。何が飲みたいの?」


「りんごのなっちゃん」


「うん。わかった」


っていうことがあったことを話したら


「愛ちゃんはそれは器用とか不器用の話ではなくて常識的にどうなの?」


「嶋野さんの完璧なイメージがどんどん崩れていく」


「だって、自動販売機で飲み物買う機会なんてなかったから。いつもお祖母ちゃんが水筒用意してくれていたし、家に帰ったら温かいお茶淹れてくれておやつ食べていたし。自動販売機でジュース買うのはご褒美のときって小学校の時は言われていたから」


「そうなんだね。。。」


「なんか私のこと馬鹿にしていない?」


「馬鹿にはしていないよ。ちょっとグラマザコンって思っただけ」


「グラマザコン?」


「お祖母ちゃんが優しかったから仕方ないさ。これから愛が覚えていけばいいと思うよ」


「みっちゃん好き」


「ねぇ敬都さん」


「なんだいさくらさん」


「愛ちゃんがポンコツなのって瑞樹にも責任があるのでは」


「僕もそう思った」


「なんで俺のせい?」


「愛ちゃんに甘すぎる!!」


「普通じゃない?」


「普通だよ」


「ダメだこれは」


なんか敬都とさくらさんの俺を見る目が少し軽蔑感を感じるが

俺が愛に甘い?

そんなことわかっている

だってこんな可愛い彼女の可愛いミスを怒るわけがない

隣の愛をみるとニヤニヤしながらパフェを食べていた


それにしてもあの球技大会の練習は俺たち4人が最初に集まった瞬間だった

それからマラソン大会や職場体験があったり文化祭があったり。

気づけば俺と愛の出会いから敬都・さくらさん・桐生さん・鏡さん・冬くんと仲のいい友達がこんなに増えた。

いつも隅っこにいた男が周りからみたらリア充ポジションにいるのがなんか面白いなと思った



「みっちゃん」


「ん?」


「あーん」


愛はパフェを俺の口に運んでくれた


「ありがとう」


俺はそれを食べる


「美味しい?」


「美味しい」


「よかった」


愛が微笑む


「またイチャイチャしているよこの二人」


「これは病気みたいなものだから」


まだまだ俺たちの高校生活は続いていく。

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― 新着の感想 ―
祝!100話おめでとうございます!(実際は102ですが笑) 連載初期から追ってる身として嬉しいです 今回は久しぶりの4人集合でしたね なんだか懐かしい気分です笑 今後も楽しみにしています\(^o^)/
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