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10話

「ねぇ松岡くん」


「何?」


「一つだけ聞いていいかな」


「仕方ない。一つだけだぞ」


「なんで嶋野さんがここにいるのかな?」


「やっぱそこ気になる?」


「気になりすぎるし、最初入ってきたときにびっくりしすぎて言葉失ったから」


「まぁそうなるよな。ここにいる嶋野愛さんは松岡瑞樹の彼女でございます」


「ええええええええええーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!


「そんなリアクションになるわな」


「ねぇみっちゃん。この人誰」


「愛さんや。それはいくらなんでも中村が可哀そうだろ」


「だってみっちゃんとさくら以外のクラスメイトの名前なんて覚えてないもん」


「俺としては喜んでいいようわからんが」


ちなみにさくらは春乃桜という女子生徒のことだ


「喜んでいいし、私のことをほめてほめて」


「はいはい。よしよし」


「へへへへへへ」


会って数分で中村の嶋野愛に対する印象が180度変わりつつあるのがわかる


「嶋野さんって本当はこんな感じの女の子だったんだね」


「そうそう。俺も最初はびっくりしたんだけどな。なんたってクラスでNO1の才色兼備の完璧な女の子ってイメージもたれているからな」


「そうだね。でも学校にいる嶋野さんよりこっちの嶋野さんの方が親近感が湧いていいけどな。ただ、学校では賛否がありそうだけど」


「そこなんだよ。だから俺たちは交際していることを隠しているんだ」


「私はいってもいいんだけど」


「愛のために言っているんだけどな」


「みっちゃんが私のことを考えてくれているだけで嬉しいよ」


「ならずっと考えておくね」


「へへへっ」


「中村にはこれからこんな感じになってもらうかなって思ってる」


「こんな感じ?」


「単純な質問なんだが、今のここにいる愛と学校にいる嶋野愛に感じることはなんだ?」


「ギャップ?」


「そう!!流石。中村はギャップ萌えとかするタイプだろ?」


「そ、そんなことないし」


「隠さなくていいから。中村がブックカバーつけてライトノベル読んでるの知ってるんだから。ラノベ読んでいる奴にギャップ萌えが嫌いな奴はいない」


「断言するな」


「それは置いといて、今から10分ぐらい待っててくれないか?」


「10分?わかった」


「みっちゃんが部屋に行くなら私も行く」


「なら一緒にいこうか」



2人とも部屋にいってしまった。

松岡くんと嶋野さん部屋に行ってなにしているのかな?

も、もしかしてラノベ的なえっちぃことをしてたりするのかな?

あ~だめだ。オタクはすぐにえっちぃことを想像してしまう。

それにしても同級生の家に初めて来たな。

学校での松岡くんの印象は俺と同じおとなしい性格の男の子っていう印象ぐらいしかなくて、今日体育のときもたまたまお互い一人だったから組むことになって、ちゃんと話をしたのも今日が初めてだ。

初めて話した日に家に呼ばれて彼女を紹介されて、すでに僕の頭と緊張感はキャパオーバーになってた。


「中村お待たせ。待たせてごめんな。ちょっと時間かかってしまった」


「いいよって松岡くんなの?」


「やっぱそんなに違うだな」


「みっちゃんかっこいいよ」


そこにいたのはいつも僕がみている同じジャンルの男の子ではなくてイケイケの嶋野さんの隣にいても遜色がないイケメンだった。


「なんか別人みたいだね」


「俺も最初は妹がちゃんとすればかっこいいって言っていたんだが、髪の毛セットしたりするのもめんどくさいから普段はしないんだが、愛と遊びに行くときかはちゃんとしないとと思って髪の毛も洋服もちゃんとしたら愛からも好評だったから妹の言っていたことは本当だったんだなと思えたんだ」


「みっちゃんはどっちもいいけど、そのかっこいいモードは私といるだけにしてね」


「うん?なんで?」


「な・ん・で・で・も」


「それでこれをみせて僕に何を伝えたかったの?」


「俺は中村にもギャップを作れないかなと思っているんだ。これみたらわかるように髪の毛と洋服をちゃんとするだけで人間は印象も見た目もガラッと変わることができるんだ。幸いここには髪の毛のセットが得意な俺とファッションセンスが抜群な愛がいるから。中村にギャップを作ってもらう」


「なんでギャップ?」


「今日行ったように3人組に対して俺がやめてやれっていってもなんて効力はないし。むしろ仲間を連れてきたことで状況が悪化する可能性すらあると思う。あくまでこれは中村の問題であって第三者が解決できる問題ではないと思うんだ。もし第三者に頼むとしたら先生や警察などに介入してもらうことになるかもしれないが、俺たちみたいな陰キャはそういった大ごとは嫌いだろ?」


「確かに大ごとにはしたくないかな」


「なら中村の問題は中村が解決するしかないんだ」


「それがギャップ?」


「そう!!いきなり性格は変えることができないし、体系もマッチョにはなれないけど見た目は変えることができるだろ。まずは今の弱そうな雰囲気を変えるところから始めようと思う」


「なるほど」


「これが解決に繋がるかはわからない。まず弱い見た目を変えてみないか」


これが解決につながるのかは実際わからない。ただ、俺も経験があるんだが見た目が変われば自身がつく。

そして何よりも強いやつは弱いやつをいじめる傾向がある。

強いやつが強いやつをいじめることはないし、弱いやつが弱いやつをいじめることはない。

だから中村が少しでも強くなって強者の差をできるだけ小さくしてやることが今の俺にできることだ。

俺の言葉を聞き終えるとは中村は少し考え込むとすぐに顔をあげた。


「うん。頑張ってみるよ」


中村の目が少し輝いたように見えた。

やっぱり中村と俺は同じ人種なんだ。

殻は分厚いけど、本当はその殻を破りたいと思っているところがある。

あとは誰かが背中を押すだけ。

今回はその役目をおれがこなすだけだ。

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