表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/14

決断


直紀は休日、友達ひとりと会っていた。


「直紀さー、彼女と別れてどれくらいだっけ?」

「ん〜、半年はたってるかな」

「えっ!? ヤバくね!? どうしたんだよ!」

「たまたまだよ」

「彼女作らないと! 今誰かいねぇの?」

「まぁ……いる。好きな人」


直紀は友達から目をそらす。


「どんな人? またギャルだろ?」


直紀は首を横に振った。


「えっ!? 地味子!? マジかよ!」

「地味子って言うなよ。……だから遊ぶの控えようかなって」

「え〜それとこれは別だろ?」

「これを機に控える」

「つまんねぇの。じゃあ、ガツンといけよ。連絡先は?」

「まだ……」

「何やってんだよ! 今度会うとき絶対渡せよ」


直紀は溜め息をつくと、小さくうなずいた。


「当たって砕けろだ」


友達は直紀の肩を抱く。


「そうだな」


直紀はうつむいた。




直紀は診察室に入ると、案内された席に座る。


「あのさ……」

「どうしました?」

「あー……何でもない」


鈴香は首を傾げた。


(かわいいな)


「何かあったら言ってくださいね」

「はい」


直紀は視線を落とした。


(ケー番書いたメモ、渡せなかった……。何やってんだ俺。こんなヘタレだったか?ダッセー)


直紀は溜め息をついた。



「お疲れ様でした。本日これで終了です」

「白崎さん、これ……」


直紀はメモを渡す。


「これは……?」

「連絡待ってる」


直紀は小声で言った。


「えっ」


直紀は逃げるように診察室を出た。

鈴香はそれを隠すように胸ポケットに入れた。


(どうしよう……)


鈴香は困惑した表情をした。



夕方ーー


鈴香はロッカールームでメモを見た。


『連絡待ってる』


仕事中悩んで、今もまだ悩んでいる。


(登録だけでもした方がいいのかな)


メッセージアプリを開くと、友達追加の画面を出す。

メモに書かれた電話番号を入れると、彼のアカウントが出てきた。

深呼吸しながら追加を押す。


(登録しちゃった!ど、どうしたらいいのかな)


とりあえず退勤時間なので、カバンを持ってロッカールームを出る。


「お疲れ様〜」

「お疲れ様です」


他のスタッフに挨拶しながら、医院を出る。

スマホを握りしめ、連絡しようか迷いながら、家へ歩いた。



ガチャ


家に着き、登録だけして連絡するのは良くないかもという考えに至った。


『白崎です

登録しました』


一言送った。

すると、すぐに返信が来た。


『ありがとう

連絡くれるとは思わなかった』

『連絡した方がいいのかなって……』

『したくなかったら無視していいんだよ

マジメだなぁ』


嫌じゃなかった

その言葉は飲み込んだ。


『空気読んじゃうというか、その方がいいのかなって』

『俺には気遣わなくていいよ

というかタメでごめん』

『いえいえ。全然大丈夫です』


あんな爽やかな今どきな人がわたしなんかとやり取りしてくれるなんて。

夢なのかななんて思ってしまう。


『たまに構ってくれる?』

『わたしなんかでいいなら……』

『良かった』


鈴香は目を細めた。



「よっしゃー!」


直紀はベッドで横になった。

喜びの溜め息が漏れる。


(たまに構ってくれる?ってキモかったかな……)


直紀は深く息を吐く。


(でも、これで仕事忙しくなっても、大丈夫だな。連絡取れるから)


直紀は嬉しそうに笑みを浮かべた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ