交際継続
昼休みに入り、鈴香はご飯を食べたあと、ロッカールームに行った。
プルルル……
『鈴香? どうした?』
「ごめん。今大丈夫?」
『うん』
鈴香は小さく息を吐く。
「あの……謹慎のこと……」
『あー、今日仕事行けた?』
「うん。今昼休み」
『そっか。良かった』
鈴香は視線を落とす。
「交渉してくれたって聞いたけど、大丈夫だった……?」
『軽く脅しといたから大丈夫だろ』
「えっ、お、おど……!? ちょっと!」
『ハハハ! でも、これで隠さなくていい。気が楽だ』
鈴香は頬を緩ませた。
「そうだね」
『堂々と声かけれるな』
「うん」
『明後日行くからよろしくな』
鈴香はうなずいた。
「待ってるね」
『あぁ。……じゃ』
「うん。仕事頑張って」
『……あんまそういうこと言わないで』
鈴香は首を傾げた。
『ちょっと……仕事集中できなくなりそ、だから』
「ごめん……」
『あ〜ヤバイ。鈴香に触れてぇ』
鈴香は顔を赤くした。
『切るわ。これ以上鈴香の声聴いてたら、いよいよヤバイから』
「えっ、う、うん」
電話が切れ、鈴香は顔を手で仰いだ。
(すごいこと、言われた……?)
『鈴香に触れてぇ』
(直紀くん、そんなふうに思っててくれてるんだ。恥ずかしいけど、嬉しい)
鈴香は嬉しそうに笑みを浮かべた。
2日後ーー
「ふぅ……」
鈴香は深く息を吐いた。
「どした?」
「わ!」
鈴香は驚いた顔で、声のした方を見た。
直紀が顔をのぞきこんでいた。
「大丈夫?鈴香」
「直紀くん、来てたの。びっくりした」
「行くって言ったろ?」
「そうだったね」
直紀は手を鈴香のひたいに当てた。
「熱はないみたいだな」
「直紀くん、あの、席……」
「あぁ、そうだ」
直紀は案内された席に向かう。
鈴香はゆっくり追いかけた。
「あっ」
「?」
「今日もご指名いい?」
直紀は笑みを浮かべて、鈴香を見た。
「わたしで良ければ」
「良かった」
直紀はあくびをした。
「仕事だったの?」
「昨日当直だった」
「大丈夫?」
直紀はあくびをしながらうなずく。
「寝ちゃうかも」
「いいよ。たまに寝ちゃう患者さんいるし」
「わかった」
鈴香は目を細めた。
「終わったら起こすね」
「うん」
「……くん。……紀くん。直紀くん」
直紀は目をゆっくり開けた。
「終わったよ」
「ん……」
「次回は予防歯科の方で予約取ってください。お疲れ様でした」
直紀は伸びをした。
「大丈夫?動ける?」
「うん」
直紀は眠そうに立ち上がった。
「鈴香」
「ん?」
「またデート行きませんか」
鈴香は目を見開いた。
「行きたいとこ考えといて。どこでもいいから」
「うん」
「じゃあね」
直紀は去っていく。
「白崎さん!ちょっと!いつの間にそんな関係になってたの!」
「えっ、あっ、えっとー……」
「絡むな、そっとしといてあげてよ」
鈴香の顔が赤くなる。
直紀は待合室のドアを開け、振り返った。
こちらに小さく手を振る。
鈴香は笑みを浮かべて、手を振り返した。
(よし、仕事頑張ろ!)
鈴香は嬉しそうに笑みを浮かべたーー
おわり




