仲直り
デートした日から1週間後ーー
鈴香はメッセージアプリのトーク画面を見つめていた。
この1週間、一度も直紀とやり取りをしていなかった。
「……」
鈴香は深く息を吐く。
『この前はごめんなさい!
頭が混乱してあんな態度
取ってしまいました……』
勇気を出してメッセージを送る。
3分くらいして返事が来た。
『俺の方こそごめん
警察官だったこととか元カノのこととか』
『いえ、びっくりはしましたけど……』
『あのさ……
鈴香さえ良ければなんだけど……
リベンジさせて欲しい』
鈴香は目を丸くした。
『この前の続き、させてほしい
もちろん断ってもいい』
鈴香は目を泳がせた。
(どうしよう……)
5分くらいして鈴香はメッセージを送った。
『わかりました
今度の木金土空いてます』
『じゃあ、金曜で』
『はい』
(次は上手くいくといいな)
鈴香は小さく息を吐いた。
金曜日ーー
駅で直紀が待っていた。
「お待たせ」
「ありがとう、来てくれて」
「ううん」
鈴香は助手席に乗った。
運転席に乗る直紀をチラッと見る。
黒い5分丈のカーディガンの下に白いシャツを着て、ジーパンを履いている。
コインモチーフのネックレスをしていて、左手中指にはシンプルな指輪を付けていた。
彼からはかすかに香水の匂いがする。
(ヤバい、緊張してきたよ〜。すごいオシャレしてきてくれてるし)
「今日もかわいい格好してきてくれたな」
「えっ」
「今日のロングスカートも似合ってる」
ブルーのロングスカートに水色の無地のカットソー、デニムのカバン、ブルーのウェッジサンダルと青系で統一したコーデにした。
褒められてちょっと嬉しい。
「オシャレ、少し頑張ってみた」
「うん、かわいい」
直紀はチラッと鈴香を見た。
右手人差し指が青く光る。
指輪を付けているのだろう。
「今日は警察手帳持ってるの?」
「あぁ、うん。休日でも携帯しとかないとダメなんだ」
「へぇ」
直紀は大きく息を吐いた。
「黙っててごめん。警察官って言ったら怖がらせるかなって」
「びっくりはした。けど、なんか警察官ってかっこいい」
直紀は驚いた顔をした。
「すごい安心できるし」
「……そんなに安心されても困るけど(ボソッ)」
「何か言った?」
「ううん。何でもない」
(煩悩消えろ……!絶対変な気起こすなよ)
直紀は小さく息を吐いた。
ショッピングモールに着き、直紀が「この前のファンシーショップに寄りたい」と言うので、ファンシーショップに入る。
「香水売ってんの見えて、買いたくてさ」
「そうなんだ」
「あっ、好きなとこ見てていいよ。この店の中だったら。他の店に行きたくなったら声かけて」
鈴香はうなずくと、歩き出す。
向かったのはコスメコーナー。
スティック型の練り香水を見つける。
「香水付けてみようかな……」
説明文を読むと、ローズとサンダルウッドの匂いと書いてあった。
(絶対いい匂い)
「それ買う?」
「うん」
「じゃ、レジ行こ」
ふたりはレジに向かった。
直紀は香水をふたつレジに置いた。
「?」
直紀は鈴香が持っている練り香水を取り上げ、レジに置く。
「一緒でいいですか?」
「はい」
「え?」
「ポイントカード出して」
鈴香は戸惑いながらポイントカードを出した。
「直紀くん」
「俺が出すからいいよ」
「あの……」
直紀はショッピングバッグを受け取った。
「この前も財布買ってもらったから……」
「いいの」
「でも……」
「遠慮すんなって」
(うぅ、申し訳ないよ……!)
鈴香は申し訳なさそうに直紀をチラッと見た。




