34話 小説家になろう。
小宮の妹視点
私はこのノートの隠す場所に困っている。
そして考えるうちに様々な思いが巡り一つ答えが出る。
あえて見つかるか見つからないかの微妙な位置に隠そう、と。
もし見つからないままならそれで良い。そして兄が見つけたらなら、このノートを見て兄自身が隠されことを自ら暴いた状態で彼女さんへの答えを出して欲しいと思った。これは兄への諦めたくない思いが混じった私の複雑な感情から来た行動だった。
ーーーーーーーーーーーー
そして兄が別れた話を学校で聞いた。
正直・・・私はその答えは分かっていた。ボッチだけど真面目な兄は絶対に振ると分かっていた。
それからは、私は兄に出来るせめてものこととして、元カノさんと兄を会わないようにした。
ーーーーーーーーーー
家でお兄ちゃんは辛そうな顔をしている。
ごめんなさい、お兄ちゃん。私、本当は知っていたの。
「クソアニキ、話しかけるな!!」
だけど、もはや病気の私は普通の対応が出来ない。
むしろ、別れてチャンスかもと思っている今だからこそ、よりそう言う癖が出てるのかも。
私は覚悟する。今度こそもう一度、兄にもう一度思いを伝えよう。
だけど、兄はキスをしていた。新しい人と、だけど私はその新しい人のことをよく知っている。きっとあの元カノの為にしたんだと思った。
家に帰ると兄は一切その事を気にしてない。
その様子から新しい人が仮に本当に兄が好きだったとしても、幸せにすることは出来ないと思った。
私は今朝覚悟を決めていたんだ。
兄は元カノで心に傷を負っている。私にも原因があったんだ。
だから今度こそ、責任もって言わないと。
なのに言えなかった。
ーーーーーーーーーーー
現在
私は誘拐され、大切なものを失った。
失ってから後悔して分かった。
こうなるくらいなら、もっともっと、素直になればよかった。
「面白かったらブックマーク、下の評価よろしくお願いします!」




