33話
小宮の妹 過去編
「大丈夫??なんか機嫌悪そうだけど」
「うるさい!死ね馬鹿アニキ!!」
私はあれから素直になれずにいる。
まさかの兄に彼女が出来たのだ。
私は複雑だった。私が兄への気持ちを諦める良い機会だし、兄が幸せになれるなら良いかなと思った。
「クソアニキに彼女、良い人な訳ないじゃん。」
そう本当にそうだったのだ。
兄が嫌いで有名な私に、すぐに彼女の浮気の噂が入って来た。怒りが湧いた。同時に素直になれずに強い暴言ばかり言ってしまう私は、人のことが言えないと思った。
私は兄にこの事実を伝えようと思った。けど、同時にそうなったら私の思いはどうなるのだろうか??
ただでさえ、あの日から兄への思いは複雑にかつ重くなり、結果兄を傷つけるような行動を起こしてしまう。
自分の兄への愛が怖かった。
そして私は彼女さんと仲良くなった。とは言え表面上はだが。
彼女の妹さんは完全に兄が嫌いだった。
兄にたまに直接悪口を言っている。
兄は気にしてないようだ。
だがこのあいだ家に来たとき、
【あの、私は正直アナタがキモいと思うので出来れば近寄らないでください】
と言っていた。自分から来た癖に失礼だと思った。
私は彼女さんと会っているうちに、少しずつ兄のことを好きになっていることが分かる。
別れを決意したと同時に私はノートを預かった。
「これ、隠して待っといてくれないかな??」
「なぜですか??」
彼女さんは唇を強く噛み、辛そうな悔しそうな顔をする。
「・・・私はそのノートを捨てようと思ったの。」
「・・・」
「そのノートは私にとって変えられない罪なのに、それを私は消そうとしてしまった。」
そして彼女さんは涙を流す
「そうそのノートは私の罪なの、ショウくん隠れて傷つけたノートなの。分かってるの、本当は全てしっかり話して謝るのが一番だって。でも言えなくて、別れるのが怖くて。」
彼女さんは本気で言っている。
隠してたのは私も同じだった。
「良いですよ」
私の複雑な心と彼女さんへの同情が許した。
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