エピローグ
前のお話と二話同時に投稿しております。
ひとつ前の話から読んで下さい。
あのクリスマスの断罪劇から二年。
わたくしは学園の最終学年となり、最後のクリスマスダンスパーティーの日を迎えました。
「ほらお嬢、そろそろ時間ですよ」
「ま、待って下さいリュカ!わたくし、どこか変なところはありません?というか、やはりこんな素敵なドレス、わたくしなどにはもったいなさすぎると言いますか……」
「レオナール殿下からの贈り物だろ!あんたが着なくて誰が着るんですか!!」
今日もわたくしは、リュカを怒らせております。
てすが、本当にこのドレスはものすごく素敵なんですの。
この二年で少しずつ交流を持つようになったキサラギ皇国の布をふんだんに使い、花衣のデザインを取り入れた特注品。
お値段は恐ろしくて聞けませんわ。
「大丈夫ですよお嬢様!とおっっってもお似合いですから!あの二年前の女魔王様バージョンも素敵でしたが、こちらも素敵すぎです!」
二年前に支度を手伝ってくれた侍女からもそう太鼓判を押され、少し落ち着いてきました。
なにしろ今日は、レオナール様がエスコートして下さるのですもの!
去年はご招待したものの立太子されたばかりで色々と忙しく、ご欠席となってしまったのです。
けれどわたくしの学園生活最後だから!と今年は出席して下さるというのですから、みっともない姿は見せられないと思うのは当然のことです。
それに、もしかしたら王太子妃の座を狙う新たなヒロインが現れるやもしれませんし……!
「もう今や誰からも認められる立派な婚約者なんですから、いい加減その悪役令嬢思考止めたらどうですか?」
リュカのこの呆れ顔も相変わらずです。
「セレナ、第一王子殿下がお越しよ。早く出ていらっしゃい」
「まあ!申し訳ありません、すぐ参りますわ!」
お母様から呼ばれ、慌てて部屋から出てエントランスへと向かいます。
レオナール様はこのドレスを褒めて下さるでしょうか。
お会いする前のこの胸のどきどきは、いつまで経っても変わりません。
階段を早足で降りると、そこには大好きな人の姿が。
「セレナ。久しぶりだな」
そして、わたくしを見つめる彼の眼差しもまた、変わらず優しいままで。
「お待たせいたしました、お会いしたかったですわ!」
はしたなくもそのまま階段を駆け降り、笑顔でレオナール様の元へと向かいます。
わたくしの、彼を愛しいと思うこの気持ちも、この先ずっと変わらずに。
前略 母上様 お元気ですか?
わたくしはこちらの世界にも随分と慣れ、親しい友人もでき、毎日楽しく過ごしております。
この度悪役令嬢になりました……とご報告する予定でしたが、そうは上手くいきませんでしたの。
それどころか、この国の王太子様と恋に落ち、卒業後には王太子妃となることが決まっています。
至らぬことの多いわたくしに、王太子、レオナール様はとても良くして下さっています。
力不足は重々承知しておりますが、わたくしなりに精一杯、レオナール様とお国のために、尽力していくつもりです。
そしていつか、父上様と母上様のような夫婦になれたらと、そう願っております。
どうかこんなわたくしを、これからも見守っていて下さいね。
それではお体に気を付けて下さいませ。
いつまでも、わたくしは母上様を想っております。
かしこ
*fin*
ということで、これで完結です。
ここまでお付き合い頂きまして、ありがとうございました。
最後まで書き続けられたのも、感想や評価やブクマを下さった皆様、いつも読んで下さっている皆様のおかげです!
とりあえず完結とさせて頂きましたが、そのうち書ききれなかった小ネタや設定などを、番外編として投稿するかもです。
その際にはまたセレナ達に会いに来て頂けると嬉しいです。
それでは皆様、本当に本当にありがとうございました(*^^*)




