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【書籍化&コミカライズ】前略母上様 わたくしこの度異世界転生いたしまして、悪役令嬢になりました  作者: 沙夜
本編

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魔法陣?前世では義務教育ですわ1

「ジュリア様、ズルいです!私もセレナ様と同じグループが良かった!」


「本当に素敵でしたのよ。レオ様ととてもお似合いで……。正直、第二王子殿下とブランシャール男爵令嬢のペアなど、おふたりに比べたら大したことなかったです」


「ジュ、ジュリア様。それは褒め過ぎですわ。殿下とミアさんの踊りも、とても素敵でしたわよ」


今日は魔法の実技が行われます。


わたくしはエマ様とジュリア様とともに会場に向かう途中なのですが、ジュリア様が昨日のダンス試験のことをエマ様に説明しています。


というか、昨日の話を聞きつけたエマ様から、私にも詳しく!と説明を求められたからなのですが。


わたくしったら、昨日は悪役令嬢としての役目を忘れてすっかり楽しんでしまいました。


リオネル殿下に相手役を替えられてしまったことで、動揺してしまったのでしょう。


でも、悪役令嬢としての品格はしっかり主張することができましたし、結果的には良かった気がします。


最後に踊ったリオネル殿下とミアさんのダンスも、とてもかわいらしくて素敵でしたしね。


品格VS真実の愛、勝負は引き分けといったところでしょう。


なかなか良い調子ですわと上機嫌でいると、エマ様があれ?となにか疑問が浮かんだようです。


「でも、アングラード様とはいつの間にお知り合いになったんですか?フェリクス殿下の婚約者であるジュリア様はともかく、今までそんなお話聞いたことありませんでしたけど……」


「ああ、それは……」


かくかくしかじかとレオ様とぶつかった時のお話をしました。


よく考えたら、まだ二回しか会ったことのない方なのに、あんなにも打ち解けてお話できたのが不思議ですね。


前世と合わせても、家族以外の男性に免疫があるとは言えないのですが。


ああでも、昨日は少々馴れ馴れしすぎてしまったかもしれません。


今度お会いした時は、もう少し節度を持たなくてはいけませんね。


わたくしがひとりで反省会をしていると、隣を歩くエマさまがほうっとため息をつきました。


「なんだか、物語みたいですね!素敵です……」


「やっぱりそう思いますよね!?私も、昨日のおふたりを見て、悪役にされたお姫様を救う王子様みたいだなって思っちゃいました!」


ジュリア様まで興奮してありえないことを言い始めてしまいました。


「いえ、わたくしは悪役にされたお姫様ではなく、悪役令嬢を目指しておりますので……」


そう口を挟もうとするわたくしの言葉など聞こえないとでもいうかのように、おふたりは試験会場に着くまでの間、その後も延々とレオ様とわたくしの話で盛り上がっていました。


そんなおふたりに、うしろでリュカが小さく笑っていたことに気付いておりましたが、だからといって楽しそうなおふたりになにも言うことができず、ただただ聞くに徹することにしたのでした。





「それでは魔法実技の試験を始めます」


会場に到着してしばらく後、試験官がやって来て内容の説明がありました。


今回の実技試験は、以下の三つ。


一つ目、基本の火・水・土・風の攻撃魔法を一種類ずつ魔法人形に当てる。得意不得意もあるので、魔法の難易度は自由。


二つ目、試験官が指定した魔法を五種類発動させる。


三つ目、今行える最も強力な魔法を使って見せる。


まあ、だいたいいつもの試験と似通った内容です。


どの程度成長したかを見るための試験でもありますので、内容はそれほど変えないようにしているのかもしれませんね。


珍しいのは、三つ目です。


今行える最も強力な魔法……。


これは、どうとでも解釈できるものですね。


そのまま考えるのなら攻撃魔法、治癒力の高い魔法でも良いわけですし、状態異常系でも良い。


いえ、状態異常はまずいですね、誰にかけるんだという話になってしまいますもの。


ちなみにこの世界の魔法とは、呪文を唱えて使うものではありません。


そして映画に出てくる魔法使いのように杖を使うわけでもないのです。


ではどうやって?と思うでしょう、ええ。


実は、指先に魔力を集中させ、空中に魔法陣を描くのです。


呪文も杖も素敵だと思うのですが、魔法陣というのも、なかなか心くすぐられるものですね。


基本の図形を描き、最後に古代文字でその魔法を表す言葉を刻めば発動します。


少々描くのに時間がかかってしまうのは難点ですが、その面倒くささが逆に魅力でもあると思うのですわ!


それに魔法陣にはわたくしに馴染みのあるものが使われていますし。


ひとり浮き足立っていると、隣にいたジュリア様が、試験官の提示した内容に眉を下げて俯いていました。


「はぁ……。私、相変わらず土魔法は苦手なんですよね。簡単なやつでも良いでしょうか?」


「得意不得意があるから難易度は自由って言ってるし、良いと思いますよ。得意の水魔法ですごいの出せば大丈夫ですよ!セレナ様は……なんだか、すごく楽しそうですね……?」


エマ様からご指摘されてしまうくらい、わたくしってば顔が緩んでいたのですね!


「分かってしまわれます!?そうなんです、わたくしとてもわくわくしていますの!」


それでもやはり我慢できませんわ!


特に自由度の高い三つ目の課題、普段の授業でなかなか見ることができない魔法までお目にかかることができるかもしれませんもの!


わたくしも勉強していますが、もっと優秀な方がたくさんいるでしょうし、知らない魔法もあるかもしれません。


自分の試験についは、今できる精一杯の力を出すだけです。


「そういえばセレナ様、最近魔法学の授業を熱心に受けていらっしゃいますよね。魔法陣を覚えるだけでも大変なのに……すごいです」


魔法の発動にはまず魔法陣が必要となるのですが、魔力が低いと適正の高い属性でも高難易度の魔法は使えないし、魔力が高くても適正の低い属性は低難度のものしか使えないことが多いのです。


ジュリア様は魔力はまあまあ、適正が高い属性は水、低い属性が土、あと魔法陣を覚えるのはちょっと苦手という感じですね。


「私は数式とかよりも図形を覚える方が得意なので、割と好きですけど。でも、魔力がイマイチなんですよねぇ……」


そう答えるエマ様は魔力が若干少なめ、適正は大体どの属性もまんべんなく、魔法陣を覚えるのは結構得意という感じです。


そしてわたくしは――――。


「では、試験を始める」


そこで、試験官から開始の合図が出されました。

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