プロローグ
新しいお話はじめました。
はじめましての方も、お久しぶりですの方も、どうぞよろしくお願いします(*^^*)
とりあえず今日は二話投稿します!
ああ、わたくしは死んだのですね。
そう遠くない未来に命を落とすと覚悟をしておりましたけれど、まさか今日がその時になるなんて。
幸いだったのは、先のある幼子を守ることができたことでしょうか。
ボールを追いかけて道路に飛び出した坊やと、猛スピードで坊やに向かう赤い車。
危ないと叫び、咄嗟に前に出たのですが、愚鈍なわたくしにしてはよく間に合ったものです。
薄れゆく意識の中、飛び出し注意ですよととぎれとぎれに伝えた坊やは、泣いてこそいましたが、大きな怪我はなさそうでした。
坊やの名前を呼ぶ母親の声もしましたし、きっと無事だったことでしょう。
心残りがないわけではありませんが、わたくしが自分でやったことです、後悔はありません。
ですが。
もし神様がいらっしゃったなら。
母上様に、伝えたい。
幼い頃に儚くなってしまった父上様の分までたくさん愛してくれて、ありがとうございました。
たった十七年の命でしたが、確かにわたくしは幸せでした。
こんな風に先立つわたくしを、許して下さいませね。
ああ、こうなると分かっていたなら、お手紙をしたためておきましたのに。
本当にわたくしは、至らない娘です。
でも、きっとこんなわたくしでも、母上様は受け入れて下さいますわね。
偉かったわねって、褒めてくださいますわ、きっと。
わたくし、空の星になっても、ずっと母上様の幸せを願い続けますね。
父上様と一緒に。
……そうですわね、できれば、わたくしも父上様と母上様のように、唯一無二の存在に出会って、恋をしたかったですわ。
それが、心残りといえば心残りです。
ひょっとしたら、心の広い神様がわたくしの陳腐な願いを聞いて下さるかもしれませんわね。
もし、生まれ変わる、そんなことができたなら。
もしもまたわたくしに、新たな命を頂けたなら。
今度は――――。