6 救出②
「あの魔女め許さん!」とLip Magic Generationsのメンバーは熱り立った。しかし、幸いなことにギルド支部の研究室で作った「世界樹の葉」の原液がある。
ハクビは体重30kgぐらいだったので、3mLで蘇生できるはずだ。
早速、その液を注射器で投与してみると、ハクビがパチッと目を開けた。
グッタリしていたのに生き生きしている。
…… 世界樹の葉ってすごいな。
ハクビが「お父様。ありがとうございます」としっかり声を出して頭を擦りつけ懐いてくる。
とりあえず、用件は済んだので、落ちている魔核と杖、そしてマフィアの魔核5個と機関銃8丁を回収し、撤退することにする。
機関銃は15丁あったが、重いので変わった機関銃5丁と、ありきたりな機関銃3丁を持ち帰ることにした。
「ハクビ、少し狭いだろうけど、この中に入ってておくれ」といって
『ひょっこり瓢箪』を取り出し、「ハクビ」と呼ぶと、瓢箪の中にヒョッと吸い込まれていった。
小屋から出て、天使(悪魔)の翼を装着し、空へ羽ばたく。
小屋から100mくらいの高さまで来たら、今度は魔女のカルト集団が箒に乗って追いかけてきた。
ハクビをまた攫うためだろう。
カルト集団は100人はいるかもしれない。
それでも美夜や瑠璃が本気を出して戦えば勝てるかもしれないが、魔神世界に来て1日も経っていないこともあり、相手はどのような魔法を使ってくるのかまったく分からない。
しかも多勢に無勢だ。――今日は逃げるが勝ちだ――
瑠璃が 「ゲリラ豪雨!」
そしてクロの 「黒霧!」
で視界の悪い黒い雨雲を発生させる。
さらに日葵の 「雷おこし!」 で雲の中に縦横無尽に落ちる雷を発生させた。
* 「雷おこし」は雲の中に雷を発生させる術である。
ダダダダッ……
試しに機関銃で雲の中に撃ってみたら、魔女が数人落ちていった。
雨雲は雷雲となり、感電した魔女が更に数十人落ちていく。
しかし、雲の中から我々を追いかけるように、炎や氷の矢が無数に飛んでくる。魔女側は視界が悪いためか、狙ったようには飛んでこないが、10本に1本くらい私たちの羽を掠めていった。
またアトランティスのように羽を燃やしたくはない。
美夜は炎炎に後ろ向きになって乗り、火や氷の矢を最後尾で長刀を回しながら防いでくれている。
「碧衣、頼む! 」碧衣は頷き、 「天っ風!」 を発生させた。
*「天っ風」は後方からこちら側に風を起こす術である。
我々は風に乗り急加速する。
このスピードなら、追っては来れないだろう。
もしあの雲から出てきて追いついてくるようなら、そのときは対峙しよう。
――風よ! 我々を守ってくれ!――
ジャングルの上空を飛んでいると、一人の魔女がものすごい速さで迫ってきた。他にその速さに付いてこれる魔女はいないようだ
……あの箒、速いな。きっとコンパス2000GTか サンダーボルトだな。ほしいな……
なんて、思っていると美夜と闘い始めた。
クロが翻って加勢に回る。
まず、魔女の目を 「漆黒!」 で視界を遮る。
魔女の杖で繰り出す氷の刃を、美夜が長刀で次々叩き折り、時に長刀で魔女に突きをいれる。
クロはその隙に、箒の穂体(掃く部分)を短刀でスパッと切り落とした。
魔女の箒は推進力を失い、回転しながら落ちていった。
これ以上、追ってくるものはいないはずだ。
少し安心したためだろうか、意識が遠のいていく。
――かなり魔力使ってしまったからな。魔ダウン状態だ。
私は知らなうちに、落下していたようだ。
気が付くと瑠璃と傍にいた紅々李が私に肩を回し支えてくれていた。
…… これも比翼の鳥というのだろうか、両肩だから双肩の鳥だな。
驟雨の匂いを嗅ぎながら、二人に支えられグライダーのように飛んで行く。
私の前には蓮月が周りを警戒しながら飛んでいる。
瑠璃の右脇には日葵
紅々李の左脇には碧衣
後方に 炎炎に乗った美夜とクロがいる。
私は皆に守られるように飛んで行った。
蓮月
紅々李 ショウ 瑠璃
碧衣 日葵
クロ 美夜
ジャングルを飛び超え、海岸沿いに海の上を波しぶきを浴びながら暫し低空飛行を続ける。
雨で灰色に陰った先に街の灯りがぼんやりと見えてきた。
無事、街まで戻ってこれたようだ。
ギルド支部に不時着する。
――魔力も使い果たし、さすがに息切れがする。
呼吸が、ハァハァと、口の外で喘いでいた。
皆も肩で息をしている。
でも皆、無事だ。
流石にギルド支部までは魔女も簡単には入ってこれないだろう。
「ここまでくれば、安心だ。皆、ありがとう」
「うん。これでショウも一安心だね」
なんとか娘ハクビを救出できたようだ。




