5 隠れ家②
蓮月が右奥に向かって「花道!」というと、
その方向に道が開け、花が咲き乱れる。
――蓮月のスキル、一気に開花したって感じだな。
月光に照らされた、薄紫の花の上を周囲を警戒しながら軽快なサンバのリズムに乗せて踊り歩いて行く。
サンバとかうるさいかなと思ったけど、私が(碧衣からもらった)風のスキルで音を遮断しているから問題ない。
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*ここで、「風のスキル」について少しだけ解説しよう。
「風」と名称がついているが、実際には「空気」である。
空気が移動することで風が生じる。
嵐も、空気が激しく移動して巻き起こるものである。
音は空気の振動が耳に伝わるものであり、空気がなければ音は伝わらない。
(ほかの物質(例えば水や金属)を振動させて直接鼓膜に響かせれば別だが)
したがって、風のスキルを使い、音を無くすのは比較的容易であったので、「音無し!」で消音できる。
空気の振動を無くし、無音にすることは気配を無くすことにも通じるのだ。
(と、作者は思いつきで創作した。)
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蓮月の「花道!」とともに碧衣が「風花!」を使って通り道に花を巻き上げていく。
音楽(笛や太鼓)が衣装と花にマッチして乙女たちはとても楽しそうだ。
” ピーピピピピーピピピーピー、ドンドンッドドンドン ”
「オーレ~オーレー、サンバ、サンバ~♪ 」
と 楽しく歌い踊っていると、あっという間に30分が過ぎ、獣道に出た。
獣や魔物と出会わないように、今度は静かに歩いて行く。
ここで、魔物たちと戦うのは得策ではない。
でも、この衣装はかなり目立つ。
しばらく道に沿って、ジャングルの獣道を登って行く。
さらに1時間ほど歩くと、明かりのついた小屋が見えた。
「STOP! トラップ魔法陣が仕掛けてあるかもしれない」
なんとなく、そう感じた。
魔断を刀に付与し、切っ先に紫紺の炎を纏わせ、先を進む。
! 紫紺の炎が揺らだ。
何らかのトラップが仕掛けられていたのかもしれない。
魔断により、トラップは解除されたはずなので、クロに「音無」を付与し、黒猫に変身して小屋の様子を見てきてもらう。
――★☪★――
クロがシュシュシュっと暗闇に紛れて戻ってくる。
「いたにゃ! 縛られて鉄の檻に入ってるにゃ。まだ、生きてるけどかなり弱ってるにゃ」
「マフィアは、何人くらいいた?」
「15人くらいにゃ。みんな機関銃をもってるにゃ。それに魔女っぽいのが3人いたにゃ」
――もしかして念波で話しかけられるかな。
(この世界に来た時点で、話しかけられるはずだったが、ここにくるまでそのことをコロッと忘れていた)
「ハクビ。聞こえるか? 父さんだ。分かるか?」
「えっ! お父さん? 九尾の? 今どこ?」
(マフィアに気づかれないよう、念波で会話中)
「すぐ傍にいる。今助けてやるからな」
「ダメ! 絶対きちゃだめ。
ここの魔女、魔力や霊力を押さえ込める力を持ってるの。
近寄ると、魔力を抑えられて、拳銃で打たれちゃうから――きちゃダメ!
……逃げて!」
「分かった。それだけ教えてもらえば十分だ。静かに待ってろ」
「――お父様。……無理しないで!」




