9 エルフ ②
エルフが、苦しそうに転げまわっている。
……どうしたんだろう?
「いや~愉快なものを見せてもらった。笑ったのは200年ぶりくらいかな。アハハハハ(念波)」
エルフが笑いながら、私たちの頭に念波で話しかけてきた。
私も念波で話しかける。
……
……
……
「君ら、口で話さないと分からないぞ(念波)」 とエルフが念波で語りかけてきた。こちらからは念波は届かないようだ。
「こんにちは。エルフ様。お会いしたかったです。私たちの言葉、言語は分かるんですか?」と口で言った。
「言霊の波動でどのような言語でも理解できるんだ。私たちエルフに何かようかい? 面白いものを見せてもらったから少し聞いてあげるよ(念波)」
エルフは口で話すことはないみたいだ。言葉も理解できるらしい。
(なお、エルフの念波はイメージとして入ってくるので、実際は言葉で話すよりかなり短い)
「実は世界樹の下にいるエルフの長老に会いたいのです」
「ん~それは難しいと思うよ。長老って人族が嫌いだから(念波)」
私は、そのエルフにノブからもらった親書を見せた。
親書はエルフ語で書かれており、私らには読むことはできない。
「なんだ、君らノブの友達か。それなら話は別だな。長老に会うまでは私が責任をもとう。私はエルフ族のライトだ。ライトと呼んでくれ(念波)」
「ライトさま」
「ライトでいい(念波)」
「ライト、あまり関係ないことだけど、何であの先住民は喧嘩してたんですか?」
「もう30年も前になるけど、獲物を採ろうと先住民Aが石を投げたんだ。それが先住民Bに当たってな。喧嘩を始めたんだ。
それからその家族、親戚と広がっていって、ついには2つの部族になって戦争まで始めてしまった(念波)」
「石ころ一つで! 最初はそういうものかもしれませんね」
「それが、君らのギャグひとつで収まってしまった。すごいよ君ら(念波)」
瑠璃たちは小首を傾げている。
蓮月が訊ねた。
「エルフさまに会うの初めてなんです。少しエルフのことを教えてもらっていいですか?」
「いいよ。エルフは簡単に言うと植物なんだ。知識を持った植物だと思ってくれ。寿命はだいたい1000年くらいかな。エルフは世界樹から生まれる。
世界樹は100年に1回花を咲かすんだ。その花の実が我々エルフさ。
エルフはこのように最初は歩いたり飛べたりできるんだけど、1000年も過ぎると足が動かなくなって、地に根をはるんだ。
その後約5000年から1万年世界樹として生きることになる(念波)」
紅々李が続けて訊ねた。
「すごい長命なんですね。他の大陸でエルフを見ませんでしたがなぜですか?」
「エルフは自然破壊をすごく嫌うんだ。それは我々の命に関わることだからね。エルフは長命だけど、汚染された土地ではエルフとしても世界樹としても生きていけないんだ。このアトランティスも少し毒されている部分があってね、それを清浄化するために動けるエルフが活動している(念波)」
「私は前世を人神世界で過ごしたんですが、アトランティス大陸がありませんでした。それも自然破壊が原因ですか?」
「そうか、君の前世は人神世界か。長老に聞いた話だけど、あそこのアトランティスは人の力も借りてすごい文明が発達していたんだ。ただ、その見返りに公害がひどくてね。世界樹は枯れ、世界樹がなくなった大陸は支えるものがなくなり、火山の噴火とともに地は割れ、洪水が襲い、跡形もなく消失してしまったと聞いた。
大半のエルフは世界樹が枯れる前に別世界に避難したらしいけど、そこに残った子孫は滅亡したらしい。
人神世界に世界樹があったときは、向こうにも簡単に行けたらしいけど、こちらから行くことはもうできなくなってしまったな(念波)」
「おっと、君ら長老に会いたいんだったな。時間がもったいないから、飛びながら話そう(念波)」といって、羽もないのに飛び上がっていった。
姿かたちといい「ピーターパン」みたいだ。
私は美夜の予備の天使の羽を使って皆と一緒に飛び上がる。
地上には手を振っている先住民がいた。手を振り返してお別れをする。
碧衣が飛びながらライトの傍に行き聞いた。
「さっき、別の世界に行き来できるようなことおっしゃってましたが、人神世界以外のところなら簡単にいけるんですか?」
「長老が認めた者ならばね(念波)」




