6 アトランティス海峡 ②
今度はタコの魔物が現れた。
おっ 今度はタコ料理か! と少しワクワクしながら片手に箸を持つ。
準備は万端だ。
しかし、船員は一目散に逃げていく。……えっ戦わないの?
どうやら、ただのタコの魔物ではないらしい。
船員は、「クラーケンが出たぞ~!」と言って、船をできるだけクラーケンに近づけないように舵を切っている。
「お前(乗客)らも早く、デッキから中に入れ!」と逃げるように促される。
しかし、美夜はたこ焼きを作るべく、素早く炎駒に乗り移る。
瑠璃は「ここは任せて!」と言って『ポセイドーンの鉾』を手に取り、デッキの中央に構えた。
まぁ確かに、この二人ならなんとかなる気がする。
が、そこはチームだ。
瑠璃を囲むようにフォーメーションOで、デッキに残った。
波しぶきが我々を襲う。
クラーケンが船に追いつき船尾から身を乗り出してきた。さすがに大きい。
たぶん蒸気船の3倍くらいの大きさだ。
このまま何もしなかったら、船は海に引きずり込まれるだろう。
瑠璃が、以前「この笛面白そうだからほしいな」って言われてあげた「βの笛」を吹いた。
ピーーーーッ
それって、羊が集まる笛だよな? 海の上で吹いたって
と思っていたら、遠くから白いものがこちらに向かってくるのが見える。
海の上を羊が泳いできたのか?
そして何かが光った。 ……あれは、歯の反射光だ。
遠いがなんとなく分かる。 ……絶対「歯」だ。
白いものはだんだん大きくなり、二つあることが分かる。
すごい勢いで近づいてくる。
……あれは、ポセイドーンとトリートーンではないか!
ポセイドーンはクロールで泳ぎ、トリートーンはシロナガスクジラに乗っていた。
――~~蛸~~――
瑠璃が「あれ、やっちゃって」
というと、ポセイドーンは歯をキラッと光らせ、笑みを浮かべながらクラーケンをタコ殴りする。
トリートーンは三叉の矛で串刺しにする。
碧衣たちが感心したように見ている。
「へ~これがタコ殴りって言うんだね。タコがサンドバックみたいだぁ」
皆が本物のタコ殴りを見て感動していると、クラーケンが観念して、逃げようとしている。
「たこ焼き食べたいから、足1本置いていって」
瑠璃がそうクラーケンに言うと、泣く泣く足をもぎ取って瑠璃に差し出した。
……瑠璃って、……何も言うまい。我、妹ながら……いや、何も言うまい。
さて、それを上空から見ていた美夜が、「華燭!」と言ってやや優しい炎でタコの足を柔らかく焼いていく。香ばしいタコの焼けた匂いだ。
イメージしていたたこ焼きとは違うが、皆、齧り付く。
やっぱ、タコは美味しいと思う。美味しくタコ焼きを頂いた。
その後は、何事もなく無事アトランティスに到着した。
蒸気船の両脇をポセイドーンとクジラに乗ったトリートーンが護衛してくれたから、何も起こるはずもない。
美夜と瑠璃を怖がって、船員が遠巻きにしていたが
最初に話しかけてきた船員が
「おめーらのパーティーっておかしいんじゃねぇのか? なんで、あの海神ポセイドーンがいんのよ?」
って聞かれたが、まぁ確かに普通ではないと思う。
でも、ポセイドーンは仲間じゃないぞ。
『瑠璃の子分みたいなもんだな』
って言ったら、もっとおかしく思われるんだろうなと思って黙っていた。
無事着いたので、アトランティスに上陸する。
ポセイドーンとトリートーンとはここでお別れだ。
手を振ってお礼を言ってお別れした。




