4 南アフリカ王国 ①
こちら(剣神世界)の世界の南アフリカは王が治める国だ。
どこで聞きつけたのか、その王国から使者が来て王様から招待された。
これまで、いろいろな国に行ったが招待など受けたことがない。B級ともなると違うのだろうか?
あまり国政には関わりたくないし、国対国の争いにも参加したいとは思わない。ただ、初めてということもあるし、いきなり壁を作るのも冒険者として活動がしにくくなるかもしれない。
使者の話では、普段着で構わないし、ご馳走も用意するからと言われお腹が空いていた乙女達は目がキラキラしている。……これは断れないな。
一度くらい王様という地位のものに会ってみるのも、経験だろうと思って使者に王様に謁見する旨を伝えた。
使者は深くお辞儀し、
「ありがとうございます。王様が大変心待ちにしております。夕刻、馬車を迎えによこしますので、その馬車に乗っておいでください」と言って去っていった。
この国は、数年前まで奴隷制度があり、貴族でないと店や食事、馬車の利用などいろいろ制約を受けていたそうだ。
数年前、現王が即位され奴隷制度や貴族階級も撤廃したそうだ。そのためか今でも元貴族からの不満や不平が多いという。ただ、これらが廃止させる寸前まで、多くの内戦やクーデターが頻発していたが、今の体制になってからは見違えたように平和になったという。
今のところ、不平、不満を言う元貴族がいても、表立って王様に文句を言ってくるものはいないそうだ。
夕刻になり、我慢してお昼も摂らずにいた乙女達は、目をギラギラさせながら豪奢な馬車に駆け込むように乗り込んだ。
乙女達は着飾っているが、私は普段着でいいと言われたので、Tシャツにジーパン、黒衣のコートだ。門兵がいる門を通り、王宮の庭に通される。
王宮の中庭の道の両脇には大理石や金属の彫像が林立し、宮殿を守るように大きな池があり、3つの橋を渡って、宮殿の玄関に到着した。
5分くらい壺や皿、ブロンズ像などの調度品で飾られた回廊を通り、謁見室なのか長いテーブルのある部屋に通された。
その部屋の奥の扉の前にも兵がいて、その兵が扉を開けると王様が待ちかねたように立っていた。
---!? あれっ? どっかであったような気がする!
「ショウ! 俺だ。覚えているか?」
---あっ、生まれる前、天界であった丁髷の殿様だ!
「あのカエルだった殿様ですね!」
「そうだ。ショウという名の日本人の冒険者が来ているって聞いてな。ピンと来たんだ。そっちにいるのは、クロじゃないか」
「ひさしぶりだにゃん」
「久しぶり。というかこの世界では生まれて初めましてだな。ガハハハハ」 と豪快に笑っている。
「さ、せっかくだ。食べながら話そうじゃないか」 といって皆をテーブルに付かせると、料理がどんどん運ばれてきた。
皆はお腹が空いていたのか、運ばれてきた料理を作法とか関係なしにがっついている。
「生まれたら、日本ではなく南アフリカでな。最初は言葉もわからんから魂消たわ」
「まあ救いといえば、王家に生まれたことじゃな」
我々は日本語で話しているので、周りの兵士には内容は分からないようだ。
「殿様というのも変だし、今の名前はなんていうんだ?」
「あっ、自己紹介がまだだったな。日本で殿様をしてたときは、ノブナガと名乗っていたんだが、南アフリカでその名前は少し違和感があるからな。ノブと名乗っておる」
「ノブでいい。様とかいらんからな」
「ノブナガって、信長か? すごいな。まぁ昔のことだし。…‥ノブよろしく頼むよ」 と気軽に挨拶する。
……向こうの世界のことはクロ以外は分からない。あまり仰々しくしないほうがいいだろう。
――▽△▽――
ノブが生まれてからのことを簡単に話してくれた。
生まれてから、王としての学問、帝王学、戦争学、政治、国策、裁縫、料理などを習ったが、前世での知識もあるし、裁縫、料理以外はあまり役に立たなかったこと。政情が不安定で、内乱やクーデターが頻発していたこと。
父親が病死し、10歳で即位したこと。
即位後、前世での経験を活かし、有能な部下を昇進させ、内乱を鎮圧したこと。クーデターを起こしそうな張本人を抱き込み大臣にしたこと。
などを教えてもらった。
「クーデターでは、前にそれで死んでいるからな。慣れておる。アハハハ」
――いや、慣れるもんじゃないし。
「儂も、焼け死ぬのは勘弁じゃ。その前になぜクーデターが起きるか考えれば、解決も簡単だからな。張本人に聞くのが一番だ。それで奴隷も貴族もなくした」
言うのは簡単だが、実行するのは難しいだろう。
今の南アフリカを見れば、ノブの手腕がいかに優れていたか分かるというものだ。ついでにアトランティスについて知っているか聞いてみた。
「よく極秘事項を知ってるな。さすがショウだ。B級の冒険者になればアトランティスに行けるみたいじゃな」
私の前前世での娘が囚われていること。助けるためにはアトランティスのエルフの長老に会わなければいけないこと。などを話した。
少しずつ読者も増えてきているようです。
今日はおまけして、もう一話正午に追加します。
良かったら、★ください。




