2 ケープタウン②
野原から少し先に進むと、魔物ダンデライオンが出てきた。
ライオンのような容姿をしているが、顔の周りにある毛が黄色い花のようだ。
ライオンのように獰猛だがこれも植物性の魔物である。鋭い牙と爪を持ち、襲ってくる。ピンチになると黄色い毛を飛ばし、煙幕を張って逃げるようだ。
ダンデライオンは高く飛び上がり、前衛にいるクロと日葵を襲ってきたが、日葵が「雷!」を叩き込み、クロが短刀で難なく仕留めた。ダンデライオンの魔核とドロップアイテム「たんぽぽの牙」を手に入れた。
さらに進むと、魔物ケープハイラックスが無数に現れた。……とてもかわいい。目がクリッとしていて栗鼠に似ている。こちらを見て固まったようにじっとしている。あまり戦いたくなかったので、静かに通り過ぎた。
もう1kmは歩いただろうか、魔物カカオナッツの森に遭遇した。カカオナッツは木の魔物である。魔物図鑑によると、近くを通り過ぎる人に黒く甘い煙幕を張り、根で感じた人の気配に向けナッツを飛ばして攻撃してくる。
煙幕には人の感覚を惑わせる効果があるという。ナッツは高速回転して人や動物の身体を弾丸のように突き破って殺す。
そうして自分の栄養とするのだ。私は試しに天使の羽を皆に装着させた。
煙幕が張られると同時に、上へジャンプする。
人の気配がなくなったため、カカオナッツは動揺しているようだ。
石を落とすと、そこ目掛けてナッツが四方八方から飛んできた。
あの数を剣で受け止めるのは至難の業だろう。
――美夜の炎だと、また焼け野原になるし、あまり自然を壊したくないな。
何かいい方法はないだろうか?
瑠璃は水を操れるよな。もしかしたら水を吸収することもできるんだろうか? 瑠璃に聞いてみた。
「瑠璃。あの魔物から水を吸い取れるか?」
「ん~できるかな? やってみたことないけど、ちょっとやってみるね」
「枯水!」
と瑠璃が言って、手をカカオナッツに向けると、カカオナッツの木が枯れていった。 ―― お~すごい! ――
「瑠璃、こっち半分だけやっちゃって」
「OK。「枯水!」」
枯れた木の辺りに、我々は羽を使って降りてきた。
枯れた木は、足で蹴っただけで倒れていった。
残骸には魔物カカオナッツの魔核とドロップアイテム「ナッツチョコレート」が落ちていた。もうお昼も過ぎたし、帰る頃だ。お昼は、ナッツチョコレートとルイボス茶だ。
昼食というよりおやつタイムみたいな感じだが、チョコレートはけっこうカロリーが高いので栄養補給には調度いい。
ルイボス茶の香ばしい薫りと気品のある味がとても合っている。
少し上流階級の気分を味わったところで、帰る事にする。
帰りは楽だ。
うまい具合に風が街の方へ吹いていたので、その気流に乗り天使の羽で降りていく。登って探検するときは6時間もかかってしまったが、帰りは2時間で着いてしまった。
天使の羽も好評で、「鳥になったみたい」 とか 「街と人があんなに小さく見える」 とか飛びながら会話してきた。
クロは面白がって宙返りまでしていた。少し寂しそうに炎駒が隣で見ていたのが気になる。たまに美夜が炎駒の傍に行き、背に乗っていたから問題ないだろう。
美夜も優しいところがある。
天使の羽はまだ操作性に難があるので、改良する余地が多いと感じた。
羽を自分の意のままに動かせる魔術でもあればいいのだが……
一番先に改良する点があるとすれば、美夜が炎駒に乗った時に羽の一部が燃えてしまった点だ。
少なくとも美夜の羽は防火加工しないといけない。




