10 藍の温泉②
私たちは、ギルド会館の研究室に来ていた。研究室に来ると皆、白衣に着替える。
白衣といっても、女子はなぜかナースの格好だ。……私はうれしいが、実験するときは、薬師が着るような白衣だと思う。
まず、ケセランパサランの針に入っている粘液を調べる。粘液を水溶液に溶かし、鑑別スキルで見てみる。「強酸性の毒成分」と「細胞増殖成分」が入っていた。
針から粘液を全て収集し、この2つの成分を蒸留して分離した。
それぞれ別の瓶に入れてラベルをおく。
これらの成分はキズナオールやホネナオールに使えるかもしれないと直感的に思った。
以前行ったマウスによる実験を経て、「細胞増殖成分」は1000倍に薄めると傷薬になり、100倍に薄め飲ませると、骨折治療薬になることが分かった。
また、「強酸性の毒成分」は10000倍に薄めることで、殺菌消毒薬になり、1000倍に薄めると殺虫薬になった。
次に針の実験である。
針は今の状態だと、鋭く硬いが強く曲げても折れることはなく、手を離すとピンとすぐに戻る。温度を上げたり、下げてもその性質は変わらなかった。水道水をかけても柔らかくならない。
あの時の湖にヒントがあるような気がする。
確か、少し塩っぱかったな。もしかすると、塩分濃度で変化するかもしれないと、塩水につけてみると、溶けるように柔らかくなった。
塩水で揉むと塊になる。
その塊を塩水から取り出し、火で炙ると塩水が抜けて、強硬度の塊になった。
これで、防具が作れると確信した。
このままでは、まだプロテクターとして使えない。軽さが必要である。
そこで、ケセランパサランの魔核が出てくる。魔核を飛ばないように袋にいれ、破砕する。それをさきほどの塊と混ぜると、重さが0の防具の出来上がりだ。
78個の魔核と、針1000本を使い、メンバー8人のプロテクター用の塊を作った。これを持って、ギルド支部の鍛冶場に行く。
鍛冶場の一角を貸してもらい、それぞれのパーツを作っていく。
塊は薄くのばしても、強度は下がらず、刀でも切れなかった。
ただ、凹みはする。凹むが元に戻るのだ。
これが柔軟性を生み出し、運動性能を上げている。
さらにすごいのが、薄くのばすと半透明になるのだ。これは私にとってすごくモチベーションが上がる作業であった。
パーツを作るためには、しかたなくいろいろと接触しなければいけない。
我慢してやり続けた。鍛冶場のおやじから冷たい視線を浴びせられようとも、「あっ間違った!」といわれ、焼け石を投げつけられようとも、私は耐えた。
まあ、最初に練習替わりに私の防具を作っておいたのが幸いであった。
焼け石をぶつけられてもまったく熱くも痛くもなかった。いい実験になったとさえ思っている。このような苦難を乗り越え、メンバー全員の防具、プロテクターを完成させた。
やり遂げた達成感、この手に残る感触、協力してくれたメンバーに感謝である。この開発や制作にはじっくり時間をかけて行ったため、1ヶ月もかかってしまったが、メンバーの安全に変えられるものではない。
デザインはメンバーと相談しながら個々に合わせて作ったので、とてもいい出来だと思うが、想像におまかせする。
――●★☪――
この後、スペインバルセロナのサグラダ・ファミリア、
ドイツのシンデレラ城ことノイシュバンシュタイン城、
スウェーデンのガデット海峡などの魔窟を経て、
スイスギルド本部に至った。
この間約6ヶ月を経て・・・
4月を迎えたある日、
私たち「Lip Magic Generations」はスイスのギルド本部にやってきた。




