8 Grotta Indigo②
次は何か美味しいもの……いやいや、どんな怖い魔物が出てくるのか緊張しながら歩を進める。
すると、魔物「ピザマン」がドンブラコ、ドンブラコと流れてきた。
白い皮膚に、テカった玉ねぎのような頭をしている。
形はスライムに似ているだろうか。
魔物図鑑によると、こんな、のほほんとした体形だが、目の上にある魔核から「ピザニウム光線」を発射し、その相手をチーズのように発酵させてしまう恐ろしい相手だ。ピザマンが私を一番弱い敵と認識したのか、いきなりピザニウム光線を私目掛け放ってきた。
私は、反射スキルを付与していた刀で跳ね返す。私は反動で後ろに転がる。
後ろの日葵が私をお姫様抱っこする。……逆だろ。と、つっ込むところだがスルーする。
ピザマンは反射されたピザニウム光線を浴びると、チーズのように熟成していき、たまねぎ頭が割れ、ピザの形になっていく。
まんまピザだ。
美味しそうなので、即席の窯を作り、美夜が焼いてくれた。
皆で8等分して味わう。たとえ魔物とはいえ、殺生したらしっかり骨の髄まで残さず食べてあげなければ罰当たりだ。美味しそうだから言うのではない。
私は心を込めて食べてあげるのだ。一口食べる。
う……うまい!
さすが、イタリアの本場の味がする。トマトがアクセントになって、トロ~りとしたチーズがうまく絡み合っている。かなり大きいピザだったが、10口ほどで食べてしまった。いいデザートに巡り会えた。
もう少し、奥に行くと、鍾乳洞のある地底湖に突き当たった。
湖は、底の方が藍く輝いている。その光が鍾乳洞全体を淡く藍く瞬かせている。
この地底湖には何かありそうだったが、我々はすでに満足していた。
今日は深入りせず宿に帰ることにした。
――★★★――
宿に帰って、宿のおじさんに今日収穫した魔核を見せる。
おじさんは、本当に辿りつけたのか……みたいに、ビックリしていたが、魔核を見るとニンマリと微笑んだ。
スライム、シャドウ、マカロニパスタネット、カニグラタン、ピザマンの魔核だ。
おじさんが全て欲しそうな顔をしていたので、明日、明後日もあるので、30%と考え、全てあげることにした。
つまり明日以降は全て我々のものだ。我々は食べる方で満足していたこともある。上機嫌になっていたおじさんに、なぜあの場所を知っていたのか聞くと
「オレも昔は冒険者をやっていたんだ。これでもB級だったんだぜ。
でもそっからポイントを稼ぐのが厳しくなってな。会費も払えなくなって辞めたのさ」
……B級ともなると、会費高いからな
「その洞窟はおれが見つけた場所で、まだ誰にも教えちゃいないんだ。というか、しばらく行ってなかったから、場所がよく分かんなくなっちまった。いや~よく見つけたな」だそうだ。
確かに、今のジャングル状態だと、美夜の飛行能力でもなければ見つけるのは厳しいだろう。
この宿に泊まったのもなんかの巡りあわせかもしれない。
――☪★☪――
次の日も、慎重に洞窟の探索を行う。
昨日は洞窟の川に沿って歩いて行ったが、今日は洞窟の枝の部分を同じフォーメーションI+Iで探索した。
すると、暖かいお湯が出ている場所を見つけた。
……こ、これは温泉じゃないか!
私の鑑別スキルで見ると、単純塩泉だ。
海が近いため、地底にある塩水が温められて出てきたものだろう。すぐに皆で入りたかったが、今日は準備してきていないということで、明日入ることにした。
その温泉に行くための目印を付け、昨日の地底湖まで行く。
途中、魔物にはほとんど遭遇しなかった。会ったのは、スライムだけで襲っても来なかったので無視して先に進んできた。たぶん昨日入ってから間もなかったので、魔物もあまり増殖していないのだろう。
宿のおじさんはそれも知っていたのだと思う。
昨日はこの場所に来るまで、かなりかかったが、今日はその半分の時間だ。
魔物と戦わなかったこともあるが、一度探索した道は早い。
地底湖は、昨日と同じく底の方が藍くキラキラと輝いている。
瑠璃がモーゼのように、「水割!」と湖の水を二つに割る。
(けっして、ウイスキーの水割りを作ったわけではない。)
瑠璃が両腕を広げ、湖の真ん中にできた道を進む。
両脇には水が滝のようになって流れている。
これはこれで美しい光景だ。その光景に見惚れながら先に進むと、通常は水で塞がれているであろう穴があった。
その穴から強い藍い光が漏れている。その穴を光が射す方に進むとまた水の壁が両脇にできた地底湖に出た。
その先には陸地があった。その陸地に上がり、瑠璃が両腕を下げると、水は元に戻り、元の姿であろう湖になった。
陸地には、さっきの鍾乳洞の空間より広い鍾乳洞の大広間と言ったほうがいいだろうか、その大広間とともに神殿が現れた。




