6 トラップ魔法
「なんかすごく暗いところ。その後、火に包まれて、雨が降って、ショウが動かなくなったの」
……碧衣の予知夢だ。とてもよく当たっている。
暗雲立ち篭め暗くなり、美夜が炎で森を焼き、瑠璃が雨を降らせた。
私は死ななかったが意識を失って倒れた。
本当に危なかった。皆がいなかったら死んでいただろう。
トラップ魔法って怖いな。
少し調べないといけない。このままだと、前に進めない。
ここは魔女の国だ。何らかの文献があるかもしれない。
ギルドの総合窓口に聞いてみた。
イギリスのギルド支部には、地下3階の研究室に図書館が併設されているそうだ。
その中に魔法に関する文献があるかもしれない。
ということで探しに行った。
魔法に関係する本がたくさんある。さすが魔女の国だ。
「魔法とスキル」
「魔法陣」
「魔術」
「手品と魔法の違い」
「禁じられた遊び」……これは違うか。
皆と協力して関係しそうな本を読んでいく。
日本では教わっていない魔法や魔法陣について詳しく書いてある。
「魔法陣」の本の中にトラップ魔法に関する記述があった。
1.トラップ魔法の種類
①落とし穴 魔法陣を踏むことで、奈落の底に落ちる。泥沼、針の山、登れない壁などがある。
②致死性の魔法 魔法陣に入ることで、心臓麻痺、呼吸困難、大怪我を起こす。
③天変地異 魔法陣に入ることで、地割れ、落雷、洪水、炎に巻き込まれる。
④その他 魔法陣により簡単な魔法(転ぶ、水をかぶる、頭にタライが落ちるなど)を起こす。
……私がかかったのは②だな。④くらいなら悪戯で済むけど、かなり危ない魔法だぞ。
2.トラップ魔法の方法
トラップは通常、地面に魔法陣を直接書くか、交点を結ぶことで発動する。
魔法陣が形成されたことで、その範囲内でのみ魔法が発動する。
*注意:なお、この魔法は、大変危険なため通常の冒険者は見ることはできません。S級の冒険者のみに開示されますので、必要な場合はギルド本部に申請してください。
……と記述されていた。確かに危ない魔法だ。
3.トラップ魔法の見破り方
魔方陣に入らないと通常は分からない。
しかし、何度か経験すると、直感でトラップがあるか分かるようになる。
なおトラップは、通常、人間が魔物除けに仕掛けることが多い。
魔物の場合は、人間並みの知識があり、相応の魔力がなければ仕掛けることができない。
……なんかいいかんげんだな。
でも確かにあの森に魔物の気配はなかった。
でもあんな危険なトラップ、魔物でなくても人間だって死んじゃうぞ。
よほど近寄って欲しくなかったとみえる。
もしかしたら何か隠していたのかも……まあもう近づかないけどね。
4.トラップ魔法の解除
トラップ魔法は解除することはできない。
トラップ魔法は一度、そのトラップ現象を起こさない限り、消えることはない。
ただし、トラップ現象を吸収または治療する方法はある。
吸収する方法は、『逆魔法陣』を作ること。
治療する方法は、高度な治癒魔法により回復することはあるが、死亡していれば効果はない。なお、トラップは通常地面を踏まないと発動しないため、空中を飛んでいけばトラップにかかることはない。
……逆魔法陣が文献に書いてある。全部で4つだ。
でもどうやって、使うんだろう。
あらかじめトラップがあることを分かっていないと、無駄なんじゃないのか?
もしかしたら、トラップに引っかからないようにするには、トラップ吸収用の魔法陣を防具に書いておけばいいのかも。
やってみる価値はあるな。メンバー全員の胸当に書いておこう。
私の『魔断』でもトラップを解除できるかもしれない。
トラップがありそうだったら、あらかじめ魔断でその場所を切る方法もあるかもしれないな。
この「魔法陣」の書には、トラップ魔法の他に、防御魔法陣や攻撃魔法陣、生活魔法陣についても記述があった。
★防御魔法陣は、日本でも習ったが、お札による結界や魔法陣を使って魔物や魔法から身を守る方法だ。
こちらではお札とは言わないみたいだし、魔法陣も円形が多く、日本のように文字によるものは少ない。
こちらの文字タイプも魔法陣の中に書き込み発動させるようだ。
ただどのタイプも物理攻撃には弱い。
*防御魔法陣は、魔法による攻撃を防げるが、剣による攻撃にはほとんど無効である。
★攻撃魔法陣
魔法陣を歌や詩を唱えながら空中に描き、炎や氷の矢などを発動させる。
時間はかかるが、威力はけた違いのようだ。
ただ、これも危険なため、S級にならないと実際の魔法陣は閲覧することはできない。
★生活魔法陣
生活に必要な水や火、風、土の創生を比較的小規模で発動させる魔法陣である。
こちらの科学でも十分に対応できるため、だいぶ使う人は少なくなったようだ。
私は逆魔法陣を書き写し(この世界にコピー機はない)、図書館を後にした。
後日トラップ吸収用の魔法陣を胸当に書いてあげたら、女性陣から
「なんかイヤラシイ魔法陣だね~ ちょうどおっぱいのところに描いてあるし~」
「魔方陣4つだから、表裏に2個ずつ描かないとダメだったし、我慢してね。
そのうち、違うプロテクターができたら、そっちに書き写すよ」
「アハハ冗談だよ。けっこういいマークだね。ショウが描いてくれたんだし、大事にするよ」と乙女たちになんとか受け入れてもらえたようだ。




