4 パリそしてロンドンへ②
これを利用すれば、ゴブリンのような安い魔核から大量に「体力成分」を生産できるかもしれない。とりあえず、「魔力成分」と「体力成分」を抽出して、スライムゼリーでグミにしておこう。
今までのお高いハイポーションやエーテルより安くていいグミが作れる。
「精力成分」や「淫靡成分」も興味があるが、後回しだ。
これらの研究や抽出には一ヶ月を要した。
その間、乙女達には近隣で、これらの成分の元となる魔物を狩ってもらったり、実験を手伝ってもらった。マツポックリは砂浜に多く生息しており、エーゲ海の傍で多くの魔核や松脂を回収できた。
それを利用し、爆発成分からダイナマイトのようなグミを作ることができた。
壁などにグミを張り、美夜や私が離れたところから「火」でそのグミに点火させると爆発を起こし、壁に穴が開く。
探索ツールとして使えるかもしれない。もちろん、エーゲ海には私もついて行って、海水浴を楽しんできたのはいうまでもない。
だいぶ、乙女達も成長してきたことだけは報告しておく。
それから少しして、私たちはイギリスに行くことにした。
(2) ロンドン
イギリスは、魔女がたくさんいると聞く。魔女発祥の地だ。
我々乙女達もスキルを使うので、魔女と言えるのだが、魔女と魔物の違いは今のところよく分からない。
過去の文献から、魔女は女性だけを指すわけではなく、男性も含まれるそうだ。
確かに男性だから、魔男というと別の意味を想像してしまう。
箒に乗るだとか、鍔の広い帽子を被っているとか、杖をもっているだとか噂があるが、本当なのか見てみたい。
と思って、蒸気新幹線でイギリスに来たら魔女はゴロゴロいた。
薬を作る薬師はほとんどが魔女だそうだ。ということは、イギリスでなくても日本の薬師も魔女なわけだ。言い方の違いってことかな。
つまり、私も魔女の一種だ(薬師とは名乗っていないが)。
魔女か魔物の違いかは、正確には魔核をもっているかどうからしい。
どういった過程で魔核が出来上がるかも不明だ。魔核を持っている魔物が、子を産んだ場合、必ず魔核を持った魔物が生まれることまでは分かっている。
ただの動物や人間が魔核をそのまま飲み込んだ場合、魔物や魔核を持った魔女になることもあるようだ。(通常はそのまま排泄物として出るようだが)
ただ、魔核を粉砕し魔核としての性質を失わせたあと、その魔核の粉などを飲み込んでも魔物となることはない。
突然変異やある種の魔術で魔物になることもあるという。
魔物も千差万別だ。必ずしも悪い生き物とは限らない。
悪いかどうかは、こっち(魔物でないもの)が決めているだけなのだから、魔物からみたらはた迷惑なだけで、魔物から見た人間は、悪者に見えるだろう。
勝手な見方だが、人間から見ていい魔物もいる。
例えば神獣、白虎や朱雀などだ。
美夜に懐いている炎駒もいい魔物といえるだろう。
私の前前世の「九尾の狐」も魔物だったのだろうか?
九尾の狐は、良いことも悪いこともした。ただ、日本では祀り讃えられている。
場所によっても見方が変わってくる。
東洋において龍は神聖な生き物であるが、西洋では恐ろしい化け物であるとされる。
人間を害するから悪い魔物とは決められないだろう。それをいうのであれば、戦争を行う人間そのものが悪い魔物だ。
魔物より人間の方が醜い生き物かもしれない。要は中身なのだと思う。
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魔女ことショウ一行は、ロンドン支部にやってきた。
驚いたことに、買い物はスルーである。天変地異でも起こらなければいいが……
ロンドン支部は、ビッグ・ベンの下にあり、地下3階建ての構造になっている。
それ以外は他と支部と同じだ。まず、ショップで、地図と魔物図鑑を購入する。
今日は下調べをした。明日どこに行くか皆で決める。
我々は、魔物が集まりやすいというホグワーツの洞窟に行くことに決めたのだが……




