1 北京出発
第3章 ヨーロッパ編
★主な登場人物 (年齢は剣神歴 5030年9月1日基準)
主人公
ショウ(立花 翔):2月13日生 15歳
スキル:魔断、Lip Magic
特徴:典型的な日本人、黒髪、作者の妄想により普通の顔立ちだがなぜかモテる。
瑠璃(立花 瑠璃):ショウの妹、8月28日生 10歳
スキル:水(ウンディーネの加護)
特徴:瑠璃色がかった黒髪、頭脳明晰、快活、身体は子供でも頭脳は大人。
美夜:1月11日生 龍人族 15歳
スキル:火、身体強化(種族特性)
特徴:紅色の長い髪で、白く眩い肌をしている美人。
常に水晶の数珠を腕にしている。
クロ(服部 九鷺):6月6日生 猫族 15歳
スキル:漆黒
特徴:肌は褐色で、黒のソパージュヘア。妖艶な雰囲気の美女
紅々李:10月10日生 人族 15歳
スキル:ヒール
特徴:濡鴉ぬれがらす色の髪にサファイアブルーの目をした美形だがお淑やかな人族。
碧衣:3月3日生 狐族 15歳
スキル:未来視、予知夢
特徴:碧い髪で、金色の大きな目の白い肌をした狐族。聡明で堅実
蓮月:9月13日生 兎族 15歳
スキル:月光の矢、聴覚がすごくいい(種族特性)
特徴:ピンクの髪で色がとても白い兎族。頭の上にある長い耳がかわいい。眼がルビー色でキラキラしている。
日葵:7月7日生 犬族 15歳
スキル:稲妻、嗅覚がすごくいい(種族特性)
特徴:銀色の髪で、ブロンドの眼の快活なおしゃべりの犬族。
胡桃:4月4日生 人族 20歳
スキル:身体強化
特徴:純朴な顔をした女性。中国で盗賊をしていた。
Eva Green:年齢不詳 山猫族
スキル:ないしょ
特徴:シルバーの髪に、深緑色の目をした西洋風の美人。
北京を離れ、ヨーロッパ方面に行くことにした。
美夜がもらった「炎駒」をどうしようか悩んでいた。蒸気新幹線に魔物(というより神獣だと思うが)を、乗せることはできない。
美夜に相談すると、「勝手に飛んでいくから大丈夫」と言われた。なんでも、本気を出すと蒸気新幹線より速いとのことで、お腹がすいたら適当なところで草を食べ、蒸気新幹線についてくるそうだ。
まずは、フランスに行くことにする。フランスは梅村先生が前世で過ごしたらしく、フランス語を丁寧に教えてくれたのでみんな普通に話せる。……と思う。
駅で蒸気新幹線を待っていると、胡桃たちが見送りに来た。胡桃たちは仲間のこともあり、もうしばらくここで修行するそうだ。見送りに来た胡桃たちとお別れの挨拶と握手をする。最後に胡桃が、
「私、何もあげられるものないけど、お礼です」 と私に抱きついてキスしてきた。
瑠璃たちが、軽蔑の眼差しで見ている。……不可抗力だから
頭の中に、胡桃色の炎が灯る。……ん? 胡桃の能力ってなんだろう?
「胡桃。またね。また会ったら、今度は魔物を一緒に倒そうか」
「うん。寂しくなるけど、またどこかで会えると思います。そんな気がします」
「オレもそう思うよ。ところで胡桃のスキルって聞いてもいい?」
「いいですよ。私のスキルは身体強化なんです。美夜さんの様にあんなに強くはなれませんが……」
「そっか。だから君らの中じゃ一番強いんだね。がんばってね。なんかあったら、ギルドを通して手紙でもよこして。じゃ、またね」と別れを告げる。
胡桃は、ヒューヒューと周りで騒がれている。
ギルドの手紙……この世界では、これが一番確実な連絡方法だ。親子間であれば念波でいいが、それができない場合、冒険者であればギルドを通す方が安全で確実に、どこにいても、通常の手紙より早く連絡できる。
ただ、ギルドの場合はギルドの窓口を訪れないと手紙を渡してくれない。ギルドの外にいる本人の手元までは届けてくれないのだ。
「まったく、油断も隙もないのにゃ」 とクロがペロッと頬を舐める。
「また、スキル増えてしまいましたね」 と碧衣が冷たい目で見てくる。
瑠璃には、背中をキーックと蹴られてしまった。
美夜は”別に~”みたいな感じだし、紅々李と蓮月、日葵は”もう諦めた”みたいな感じで見ている。
不可抗力だってば……でも、「身体強化」はすごいスキルだと思う。
胡桃たちから大きな旗を振った盛大な見送りを受け、蒸気新幹線に乗り込んだ。フランスまでは約8500km、途中何か所か駅を経由するので、時間にして約20時間かかる。
蒸気新幹線は、陸路を走るときは鉄橋の上かトンネルを走る。だいたいは鉄橋上なのだが、山の中のトンネルは場所によっては2時間以上もトンネルの中だ。
展望デッキが有り、食堂車もある。特別車両の料金は普通車両の2倍するのだが、椅子の背もたれが完全に倒れ、そのまま寝ることができる。寝るときには椅子全体をカプセル状にすることができ、空調、防音が施されている。空調は、列車が走る時の風を利用して、気化熱により列車内の温度を調整しているようだ。
残念ながら風呂はないが、蒸気で温めたお湯を使ったシャワー室がある。
近隣の都市への移動なら普通車両でも良いが、今回は20時間の旅だ。特別車両の8席を2席×4列の切符を購入した。80万円×8人で640万円もかかってしまったが、3食分の食事代も含まれており、身体を休める意味でもこちらの席がいいだろう。……北京でそれなりに稼いだしね。
直射日光が真上から列車に降り注ぐお昼の時間帯、展望デッキに行き、足浴しながら外のヒマラヤ山脈を皆で眺めた。特別車両に乗るとドリンクサービスもついてくるので、好きな飲み物を注文し景色を眺めながら飲む。残念ながら未成年なのでまだお酒は飲めないが、なかなかの至福の時である。
何といっても足浴がいい。足浴をしながら天然のオレンジを絞ったものにヒマラヤの氷を浮かべたジュースを飲む。周りには7人の美しい乙女がいる。(少しうるさいが)
これ以上の贅沢はあるだろうか?
トンネルに入ると2時間景色は見えなくなるので、席に戻り4席を回転させ対面席にし、おしゃべりタイムだ。トランプや花札などのゲームをして過ごす。
長いトンネルに入ると、飽きさせないために乗務員がオヤツを運んでくる。だいたいが前駅の都市の名産品だ。北京を出発したあとに出てきたのは、肉まん又は焼売だった。私はどちらも食べたかったので、隣の席にいるクロと半分ずつ食べた。
なお私の隣の席はくじで順番を決め、私が寝ている時以外は1時間交代となっているようだ。
席での会話は雑談が多かったが、イメージトレーニングも行った。通常のイメージトレーニングではない。私のスキル Lip Magic によりスキルを伝達するときには、イメージが大切だ。皆がスキルを発動するとき、どのようなイメージや感情をもつのか雑談も交えながら教えてもらった。そして、目を閉じイメージトレーニングをする。
簡単なスキルはその場でイメージし実践してみるのだ。つまりキスをする。
とはいっても、手の甲にだ。そして相手にスキルが伝達できたか確認する。
瑠璃の 「水」 や碧衣の 「未来視」 、紅々李の 「ヒール」 、胡桃の 「身体強化」 などを試していく。
美夜の 「火」 やクロの 「漆黒」 はここでは危ないので使用しない。
日葵の 「稲妻」 は先日実践済みだ。私の 「魔断」 や梅村先生の 「反射」 は実戦でないと分かりにくいので試さなかった。
この剣神世界らしく、列車内に剣の持ち込みは許可されているが、抜刀は禁止である。
たまに酔っ払った客が抜刀することがあるらしいが、乗務員や客(特別車両にはAやB級の冒険者がゴロゴロいる)が取り押さえ、次の駅でそのままの格好で放り出される。その客の荷物は迷惑料として全て没収される。こんなこともあり、暴れる客とかは滅多にないとのこと。
仮に冒険者が、列車内で暴れ被害が出ると、多大な被害額をギルド組織が支払い、ギルドが冒険者に請求するようになっている。払えなければ即廃業か高利子のローンを組まされる。
そろそろ読者も飽きてきたので、フランスに到着だ。
芸術の都のパリに到着した。




