15 修行の旅
我々が卒業するまで、後一年たらず。
主だった仲間が集まって、計画を立てることにした。
卒業後どうするか? 卒業までどのように過ごすかである。
今現在、ここにいるのは、瑠璃を除いて14~15歳で同じ世代の仲間だ。
紅葉した真っ赤なもみじの木の下に、美夜、クロ、碧衣、蓮月、日葵、紅々李、ショウ、瑠璃が集まっていた。
この剣神世界では、卒業後、一定の期間「修行の旅」に出るのが通例である。一定の期間とは、その者のレベルや種族によっても変わってくるが、通常3~5年だ。
「ねぇねぇ、どうする?」日葵が話のきっかけを作る。
「そうだにゃぁ。旅に行くのは決まりとして、みんなはどこ行くにゃ?」
「決まってない」
皆が口々にいう。皆の肩に緋く染まったもみじの葉が舞ってくる。
「それじゃ、ここにいるみんなで修行に行こうよ」 美夜が提案した。
「いいね」 碧衣たちが相槌を打ち、私も同意した。
「で、どこに行くにゃ?」
「とりあえず、大陸方面ということで、中国とかどうかな?」
チャイナ服の蓮月は中国に行ってみたいようだ。
「いいんじゃない。みんなで行けば、上級者が8人もいるんだし、大抵の魔物はなんとかなるよ」 と瑠璃も中国に行ってみたいようだ。
「どうせ魔物を倒すんだったら、みんなでチーム作ってギルドに入ろうよ」
日葵がギルド入会を提案する。ギルド日本支部は富士山の麓にある。
「いいね、いいね」 どんどん話が進んでいく。
「じゃ、来年の夏までに準備しとかないとね」
「旅をするのに必要なものって何かな?」 耳をピョコンとあげて蓮月が皆に聞く。
「まずはお金かな。できれば都市間は蒸気新幹線で移動したいよね」
私は当面準備するものについて考えてみた。
「魔物倒しながら資金を稼げばいいから、そんなにたくさんお金はいらないけど、最初の出費は覚悟しないといけないな。着替えもある程度必要かな。着替えは2、3着程度もっていけばいいと思う。不足したら魔物を倒して稼げばいい」
「一番大切なのは、防具と武器だね。なんてったって修行なんだから」
「分かった。みんなの武器はオレが作っておくよ」
「やったぁ。ショウの作った武器、欲しかったんだぁ」
美夜達が手を取り合って喜んでる。
「防具は、自分にあった防具をそれぞれ揃えといてね」 紅々李がいう。
「あたいは、これでいいにゃ」 とクロが胸元を広げて忍者服を見せる。
「クロは、軽装でいいよね~」 碧衣たちがうらやましそうに見てる。
「私は、盾も欲しいからなぁ。ちょっと重装備になっちゃう」 日葵はフフと笑いながらが腕こぶしを作った。
「食べ物はどうする?」 紅々李が口に指をあてて、聞いてきた。
「基本は現地で食べる。獣とか魔物とかも好き嫌いしないで食べる。いいね!」
そう美夜が言って、さらにみんなを見渡しながら、
「チームを作ることになったんだから、みんなのスキルを確認しておきたいんだけどいいかな?」
「分かった」 と皆が頷く。
最初にクロが教えてくれるようだ。
「わてのスキルは、みんな知ってると思うけど「漆黒」にゃ。敵の目くらましができるのにゃ。それから、もともとあるスキルだけど、目がいいにゃ。暗闇でも見えるし、遠視もできるにゃ」
「私は龍人族だから「身体強化」が生まれながらにある。5年くらい前に、「火」のスキルが使えるようになった。まだいろいろ練習中だけど、火を操ることができるみたいだ」 美夜が手からボッと火を出して見せる。
「私は大したことないけど、ヒールだよ。魔力量にもよるんだけど、たいていの怪我は治せるし、簡単な病気も治せる」 紅々李が照れながら話した。
「一番重要なスキルだよ! ヒーラーがいるといないでは、戦い方がまるっきり変わってくるし、ヒーラーがいると持続力が格段に長くなる」
美夜がそういうと、紅々李がうれしそうに微笑む。
「私のスキルは「矢」を放つことができるんだ。昼でも夜でも月があると威力が増すんだ。「月光の矢」って言ってる。あとこれはスキルっていうのかな? 耳がもともといいんだよね。かなり遠くの音が聞こえる。一度聞けば、何が動いているか直感でわかる」 蓮月が両耳を立てて遠くの音を聞いている。
「私のは「未来視」、数分先までの事を見ることができるんだ。たまに予知夢を見るわ」 と碧衣がいうと日葵が、
「数分先とかって、戦ってたら全部避けることできるじゃん。すごいね~」 と褒め称える。
「ある程度はね避けられるんだけど、レベルが全く違うとどんな風に避けても切られる場面が見えるんだ。だから無敵じゃないの」
「次は私ね」 と日葵が続ける。
「私のスキルは『稲妻』ピカーって稲妻を相手に当てるの。でも制御できないから、たまに私にも当たって痺れちゃうんだ。けっこう強力だよ。それから、私の場合犬族だからもともと鼻がすごくいいの。誰の匂いとかスグわかっちゃう」
そして瑠璃が
「私は『水』だよ。美夜さんと同じ感じかな。水を操れるの」
「ゲリラ豪雨!」 っていうとザァーっとすごい雨が降ってきた。
「って感じで、雨が降るんだ」
みんなずぶ濡れである。
「ホット」といって、美夜が暖かい火を出してくれた。
その火で透けたシャツを乾かしながら話を続ける。
(――とても目の保養になる――瑠璃よくやった)
最後に私だ。
「オレのスキルはあまり言いたくないんだけど……」
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