9 海水浴と洞窟
(1) 海水浴
夏だ。海だ。涙の海水浴だぁ~~
苦節耐える事6年、やっと乙女の胸が膨らみ始める頃、海水浴に来ることができたぁー!
海水浴といっても、これも修行(けっして遊びではない!)の一環である。
この海水浴場の海岸線を歩いていくと洞窟がある。そこが魔窟だ。
でも、折角だし楽しまないとね。
今回は、中級レベルの生徒(クロ、蓮月、碧衣、紅々李、日葵、瑠璃、その他男子数名)と、引率として梅村先生と美夜が来ている。夏休みになり、例のごとく合宿するのだが、今年はいつもの幽霊屋敷ではなく、海での修行である。
去年から私も中級レベルになったので、海の合宿に参加したかったのだが、幽霊屋敷の手続きを済ませるため、泣く泣く幽霊屋敷の修行に臨時講師(一応中級レベルなので、剣術では先生である)として行ってきた。
毎年、地縛霊の面接をするのは面倒なので、浄化(お祓いのできる先生)と面接は寺子屋に委託することにしたのだ。
合宿先の温泉宿までは、江戸から九十九里浜まで馬車で移動した。九十九里は、見晴らし良く日本一海岸線が長い。波に乗っているサーファーも多い。
実は海には始めて来た。当然、妹もである。
格好よく泳いでみせたかったが、泳げない……いわゆる金槌というやつか。
そういうこともあり、海に入っても腰くらいまでである。女子たちとビーチボールをしたり、砂山を作って遊んだ。女子たちとビーチボールをするとどうしても胸に目がいってしまうが、梅村先生を除き揺れるようなものはない。
女子は梅村先生を恨めしそうに見ていたが、「そのうち私だって」……と握りこぶしを作っていた。男子たちとも、ついでに海で水を掛け合って遊ぶ。
泳ぎがうまいものがいて、海の中から足を引っ張られて少し溺れそうになった。――ああいう危険な遊びは止めてほしいものである――頭は濡れるし、格好悪いじゃないか(泣)……ま、いいけどね。楽しいし(笑)
妹とは、両手をとって泳ぎの練習である。まずは、バタ足から……自分は泳げなくていいのか?
そんなこんなで一通り遊んだあと、さぁ修行である。
(2) 洞窟
夏休みの合宿、1日目は海水浴を楽しんだが、2日目は魔窟の探索だ。
この魔窟も中級レベルの修行を行うこともあり、そんなに攻略レベルは高くない。とはいえ、レベルの低い弱い魔物は出る。深部に行くと少し強い魔物も出るそうだ。
今回は、5人グループで探索する。引率は美夜だ。
前衛は私とクロ、中衛は美夜、後衛は蓮月と瑠璃という構成にした。ただし、美夜は引率のため、極力手は出さず、様子を見るとのこと。
海水浴場から海岸線に沿って北上していき、岩礁を上り下りした先にその洞窟はあった。まだ昼間なのに、冷っとした感じがする。洞窟の入口から中に入る。
少し暗くなってきたところで、「バタバタバタッ」と音がする。
みんな身構え、各々真剣を持つ。寺子屋の稽古場とは違い、それぞれ親にもらった真剣を身につけている。
黒いコウモリが出てきた。――驚いたぁ
「みんな最初からそんなに緊張してると、長続きしないよ」
美夜は笑みを浮かべ余裕の表情だ。
「私は周りを注意してみるけど、前衛は前方だけ、後衛は後ろだけ注意してね」
しばらく奥に進むと、水晶が薄暗く点っている。魔窟兼訓練場だから多少明かりを入れているのだろう。
クロは生まれながらの種族の特性もあって夜目が利く。今日は黒い忍者姿をしている。
蓮月のうさぎの耳は音に敏感だ。これも種族特性だ。スキルとは少し違う。
蓮月が奥で岩が崩れる音に気づく。皆、刀を鞘から抜き、身構えながら更に奥に進む。
魔物が現れた! スライムだ……なんか、かわいい。
スライムは、身を揺らしながら襲ってくる。こんなかわいい魔物を傷つけていいのか迷うが、余計な雑念は振り払い、戦うことにする。
剣で切りつけたが、二つに別れたあと、また一つになる。クロも短剣でみじん切りにしたが、また元に戻った。
――意外と強いぞ。
美夜は後ろで微笑んでいる。
美夜がスライムに刀を向けて教えてくれる。
「魔物にはそれぞれ急所があるの。目であったり、首筋であったり、足首だったりね。スライムは透明になってるから分かり易いけど、スライムの中にある少し濃い玉が見えるかしら。それが急所よ」
教えてもらったとおりに、急所を狙ってみた。
スライムは、蒸発して魔核を残して消えていった。その破片を回収し袋に入れておく。スライムは植物性の魔物で傷薬の材料になる。
さらに奥に行くと、大小様々なスライムが数匹出てきた。美夜を除く4人で戦う。
互いに連携をとりつつ、的確に急所を狙っていく。
急所が分かってしまえば、スライムは楽に倒せた。
――◇●◇――
洞窟に入って2時間、約30匹程のスライムを退治したところで、今日は引き上げる。帰ってくるのに2時間、途中にもスライムが出現し、出口に戻るまでに約50匹程仕留めた。――かなり薬の材料も貯まったぞ。
スライムは、粘液質で切るたびに体液が飛ぶから身体がベトベトだ。
「早く帰って、温泉に入ろう。」
潮風に吹かれながら海岸線を歩き、温泉宿に戻った。
「フー疲れた~~」蓮月、瑠璃らもくたくただ。
確かに疲れた。他の組も無事みたいだ。
洞窟は3箇所あり、それぞれ別の入口に入って探索する。奥で繋がっているところもあるが、かなり奥に入らないと合流しない。それぞれ、魔物の種類が違うそうだ。
早速、温泉の洗い場でベトベトの粘液を洗い流した。
この粘液も何かに使えそうだ。どんな成分が入っているか調べてみよう。
温泉に入り、まったりする。
「温泉って気持ちいいな……ここは海が近いから、塩泉だな。若干硫黄も入ってるな」なんて、温泉の泉質を分析しながら入っていた。
例の如く、男子が入ってきて騒がしくなる。まぁ合宿だからしょうがない。
今日の魔物について情報交換しながら、温泉に入った。明日の修行はない。
ここの修行は1日おきに行われる。明日は自由時間。また海水浴だ。
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