6 薬草採取
合宿はお化け大会だけではない。
合宿なので、午前中は剣道のお稽古をする。午後は夕食まで自由時間だ。
私はというと、山の中で薬草を採取をしていた。
私はこちらの世界に来てから前世の知識(薬剤師)を活かし、薬草を集め薬を作っている。
こちらの世界の治療方法としては、外科的な手術や薬による治療、スキルや魔術式によるヒーリング(回復)がある。
身体の強化方法としては、日頃の鍛錬はもちろんだが、一時的な強化薬や魔術による強化方法がある。
治療薬にはこのような種類がある。
・体力を補充する薬としてポーション、ハイポーション、エリクサーなど。
・怪我や解毒などの治療薬として、
キズナオール、ケガナオール、ホネナオール、ドクトレールなどがあり、それぞれ普通薬、中級薬、上級薬がある。
・魔力の補充薬として、エーテル、ハイエーテル、スゴイヨーデルがある。
・なお万能薬は、ナンデモオーケーサーがあるがとても高く、上の薬を組み合わせて使用するのが一般的だ。
これらは、薬草から抽出し精製するが、製薬会社によって効き目も強さも違ってくるので注意しなければならない。
また、魔物を倒すことで得られる魔核は、治療薬の材料に使われる。動物性魔物からは攻撃性の魔核、植物性魔物からは防御や治癒性の魔核がとれることが多い。
今回の合宿では、この森の中や幽霊屋敷の庭の以前温室だっただろう場所に、珍しい薬草や毒草が生えている。きのこも薬に使えることがあるが見分け方が難しい。もう少し慣れないとダメだ。きのこの毒はかなり致死的だからだ。
今日は、紅々李と日葵、蓮月が一緒だ。先生にはあまり遠くに行かないように注意されていたが、薬草採取に夢中になり少し山奥に来てしまった。でも迷わないように木に目印だけはつけている。
すると犬族の日葵が、何かを感じ取ったようだ。
――なにか、嫌なものが来る気配がすると――
数分すると、影のような魔物が風のように現れた。魔物学で習った「シャドウ」だ。いまは魔物を倒せるほどの実力もないし、森の明るい方に向かって逃げる。しかしシャドウは木と木の間をすり抜けるように追ってくる。
森の中は、細長い草やシダ植物が生い茂り、朽ちた木も倒れている。顔の周りをかすめる枝も逃げる足を遅くする。シャドウはそんな枝など気にしないかのように揺れながら追いかけてくる。明らかに相手の方が速い。
「アッ!」 相手に気を取られ、苔た木の根株に足をとられ転んでしまった。私の前に蓮月が立ち塞がり応戦する。シャドウが爪を立てて襲ってくる。
私は立ち上がり、皆、腰に差していた木刀を手に取る。
(薙刀や槍は持ち運びには向かないので、稽古場に置いてある)
「月光の矢!」 蓮月が叫ぶ。
蓮月が腕を挙げると、空中に光った矢が数本現れ、蓮月がシャドウに向かって手を振ると光の矢が飛んでいった。
――蓮月のスキル初めて見たな。かっこいい~
しかし、光る矢はシャドウを素通りした。
シャドウがそのまま襲ってくる。
「危ない!」 日葵が蓮月を突き飛ばした。
「キャッ!」 代わりに、日葵が切られた。
日葵の傷は深くはないが、腕から出血している。私は、薬草で作ったキズナオールを紅々李に手渡す。紅々李が日葵の手当てにまわり、私と蓮月が攻撃を仕掛けることにした。
私と蓮月は木刀を持ち、紅々李と日葵の前に立った。
シャドウのどす黒い目が光り襲ってくる。シャドウに木刀で斬りかかる。が、素通りした。
シャドウが翻って鋭い爪でさらに襲ってくる。蓮月が木刀で攻撃を滑らせ、なんとか回避する。
ガキッ! ……シャドウの爪が木に当たり、木の幹に鋭い爪痕が残されている。
よし。浄化の剣だ。私は浄化のイメージをし、刀の峯に口をつける。
紫紺の炎が燃え上がった。
シャドウが襲いかかって来たので、爪を掻い潜りながら切った。
……つもりだったが、また素通りした。――なぜ? 魔物は浄化できないのか?
シャドウは、黒い息を噴いた。浄化の剣で受ける。
だめか? ――切れた!―― ん? なぜ?
考えている余裕はない。よし、次は反射の剣だ。
反射のイメージをしながら、口づけをする。
!……オーー。ちょっとビックリ!
なんと紫紺と紅色の炎が蜷局を巻くように燃え上がっている。
こんなこともできるのかぁ!?
そう思っているところにシャドウが黒い息を噴いて襲いかかってくる。
「エイ!!」
紫紺と紅色の炎が燃え上がっている木刀で切ると、黒い息は跳ね返り、なんとシャドウは黒い息に巻き込まれるように収縮し消えた。
後には小さな魔石(魔核)が落ちていたので、拾っておいた。さっき目の奥で光っていたどす黒い魔石だ。初めて知人以外との戦いだったが、切り抜けたようだ。
紅々李も日葵をうまく手当してくれたみたいだ。(後で分かったことだが、キズナオールも少しは効いたみたいだが、実は紅々李は「ヒール」のスキルを持っており、こっそり傷の回復をしていた)
こんなエピソードがあったが、先生に怒られると思い4人の秘密にした。
温泉宿に帰る途中、父から念波が届いた。
「子供が生まれそうだ。すぐ戻ってこい!!」
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