5 襟裳岬
翌朝、堀に囲まれた五稜郭を残し、なぜか焼け野原になった函館を後にし、襟裳に飛ぶ。
空から見ると焼け野原には魔核がキラキラと輝いて落ちていた。
まだ魔物が残っていたのだろう。
誰が魔物を倒したのか分からないが、魔物を一掃できたので人が戻ってくれば再建できると思う。
がんばってほしい。
襟裳まで海の上を飛んで、約30分で着いた。
襟裳岬には春のためか何もなく、ただ掘っ立て小屋が1つあるだけだった。
その傍に降りてきた。
すると、間もなくその小屋から、20匹ほどの魔物「ほたてん」が出てきた。
大きな貝殻に腕と足が生えている。
人を飲み込もうかというほど大きな口を開け、その中には香ばしい醤油の匂いのする帆立の身を覗かせていた。
もう何も言うまい。
皆、片手に刀を持つ。 ……朝食はまだ食べていない。
「ほたてん」は甘塩っぱい熱い液体を飛ばして攻撃してきた。
地面にその液体が落ちると、ジューという美味しそうな音を立て、岩肌が溶けていく。
その液体の攻撃を掻い潜り、長い得物を持っている、紅々李、日葵、蓮月が中の身をこそぎ落とす。
中の身がなくなった「ほたてん」はその場に倒れ、真珠色の魔核とドロップアイテム「ホタテの貝柱」になった。
それを見て出ていたのが、魔物「雲丹」だ。
「くもたん」は紫色の刺を体中に張り巡らせている。
高速回転しながら我々を襲ってきた。
「危ない!」
誰かが「くもたん」に串刺しにされている。
「くもたん」に串刺しにされたのは、まだ生き残っていた「ほたてん」だった。
「ほたてん」は痺れているようで、
「なまら痛てー。わやーなにすっど」
と言って、倒れ、魔核になっていく。
「ほたてん」に刺さって動けなくなっている「くもたん」を美夜たちが、くもたんの針を刀の峰で叩き折っていく。
丸裸にされた「くもたん」の正中線に止めの槍を入れると、パカッと綺麗に4つに割れ中の身を曝け出した。
その「くもたん」の黄色の身の真ん中には黄色い魔核が残っていた。
そして我々が掘っ立て小屋の戸を開け中に入ると、そこには洞窟の入口があった。
――不思議だと思った。
あの小さな小屋にこれだけの魔物がいるとは思えなかったからだ。
洞窟に入っていくと、「くもたん」の残党がいたが、難なくドロップアイテムの雲丹にしていく。
奥にはどっかで見たことがある魔物「タイ魔王」、いや「襟裳タイマス」がいた。
襟裳タイマスは、カニグラタンを美味しそうに食べていた。
我々のお腹が鳴る。……紅々李が恥ずかしそうにしているのがかわいい。
それを聞いた「襟裳タイマス」はお前らにやるもんかとばかりに、カニグラタンを隠す。
それを見て(お腹が減って)憤慨した美夜が、
「豪炎!」
と言って襟裳タイマスを丸焼きにしてしまった。……あっ、もう遅いな。
鯛の鍋は諦めるしかないようだ。
結局、襟裳タイマスの必殺技は見ることもなく、退治してしまった。
朝食に、帆立焼きと帆立の味噌汁、雲丹のぶっかけご飯を食べた。
*味噌汁とご飯、どっから出てきたぁとか思わないように。
こういうこともあろうかと、ハンゴーセットと調味料は持ち歩いている。キャンプ必需品だ。
締めのデザートは、タイ焼きだ。
鍋にはできなかったがタイ焼きで我慢した。
その後、ハクビに移動魔法陣を作らせ、魔核やドロップアイテムを魔法陣に運び込む。
日葵が魔力を通し、ギルド札幌支店にそれらを移動させた。
ただ、真珠色の魔核だけはメンバーに「後で指輪にして欲しい」といわれ、取っておいた。(後日、真珠の指輪にして皆に作ってあげた)
ひとまず、札幌に飛んで戻ってくる。
ここで1週間休息をとり、次に出てくるであろう魔物の下調べを行い計画を立てる。
5月30日 次は道東に行くことにした。
北海道弁講座です。
「なまら痛てー。わやーなにすっど」
北海道弁で、「すごく痛い、ひどい目にあったなぁ。何するんだお前」という意味になると思います。たぶん。
(作者は道産子ではないので、間違っていたら教えてね)




