3 小樽
札幌から南の方で、魔核マスターがいるのは小樽と函館、襟裳らしい。
まずは札幌から近いところで小樽に向かう。
15分近くで小樽まで飛んできた。
小樽近くまできたところで、毛無山に降り立つ。
毛無山の草木たちに蓮月が「この辺で悪いマスター見ませんでしたか?」と聞くと、草木たちが
「あっちの海岸線、小樽運河の辺りにいるみたいだよ」と蓮月に教えてくれた。
早速小樽運河の方に歩いていくと、ここには城壁はあったが、すでに壊されているようであまり人気がない。
たぶん、ここにいた住民は札幌の方に逃げていったのだろう。
運河沿いに歩いていくと、運河倉庫の近くで酒盛りをしている集団を見つけた。
たぶん小樽マス(小樽にいるので、「小樽の魔核マスター」を略して小樽マスということにした)と魔物だろう。
近くまで行くと、魔物が
「なんだ。お前ら……ん? けっこういかす姉ちゃんだな。こっち来てお酌しろ」と言ってきた。
美夜が 「どけ!」 と、ど突く。
少し、ど突いただけなのに、ピョーンと飛んでいき、小樽マスにぶつかった。
「なんだお前らやる気か!」
小樽マスがドスを聞かせた声で脅してくる。
「適当に相手してやんな」と小樽マスは座ってお酒を飲んでいる。
魔物が次々襲ってくる。
まず最初に来たのは、タラバキングとケガニンだ。
とても美味し……もとい、強そうな敵に喉を鳴らす。流石、北海道だ。
ハクビが
「この敵もできるだけ魔法を使わないで……」
皆、全部言わなくても分かっているとばかりに、抜刀し刀や槍で応戦する。
タラバキングやケガニンは長いハサミや泡ぶく魔術で攻撃してくるが、「泡ぶく」は、碧衣が「颪!」で蹴散らしてしまう。
後ろにいた魔物が滑って転んで怪我している。
ケガニンは戦ってもいないのに、包帯をぐるぐる巻いている。
紅々李は薙刀で、蓮月が蛇腹刀で、
タラバキングやケガニンの武器と思われる長いハサミの根元の関節に
ねじ込むように刀を入れ、落としていく。
さらに泡を出している口に刀や槍で突くと急所なのか動かなくなった。
後ろの魔物は、泡で滑って、転んで、を繰り返していたが、
タラバキングとケガニンが倒れると泡は消えてなくなり、
後ろの魔物 「なまらぁ」 が襲ってきた!
流石に、小樽マスも立ち上がり、一緒に攻撃してくる。
ハクビが
「この魔物たちは食べられないので、遠慮なくやっちゃってください」という。
クロたちが不敵な笑みを浮かべ、襲いかかる。
――どっちが悪者か疑いたくなる。
小樽マスたちは、少し怯んでいるようだ。
クロが「ワルキューレ!」と言って、前奏曲をかけると、相手の足元が爆発していく。
魔物の「なまらぁ」たちは戸惑い、
ショウが「碧衣、鎌鼬を見舞ってやれ」といって、
碧衣が 「鎌鼬!」 を発生させると、
魔物は次々鎌鼬に切られ、
「なまら痛てぇ」と言って魔核に変わっていった。
残るは小樽マスのみ。
小樽マスは逃げようとしてるが、サッと美夜とクロが行く手を阻む。
小樽マスは振り向き、一番弱そうに見える瑠璃を目掛けて、魔法を使ってきた。
「おたるワインシャワー!」
この液を浴びると赤く染まり、酩酊状態になり歩けなくなってしまうらしい。
でもタンニンが含まれているので、お肌にはいいらしい。
だがしかし、瑠璃は未成年だ。お酒は未成年は飲んではいけない。
「 瑠璃! 危ない! 」……「瑠璃、蟒蛇だ!」
瑠璃が 「蟒蛇!」 と叫ぶと、
白い大きな蛇が現れ、小樽マスとワインシャワーをそのまま飲み込んでしまった。
蟒蛇が「ペッ」っと吐き出すと、魔核と大量のワインボトルが飛び出してきた。
「おたるワインシャワー」と小樽マスは浄化され、ワインボトルとなったらしい。
◆■◇■◇
ちょうどお昼時だったので、
小樽マスが使っていた宴席を拝借し、
タラバ蟹や毛ガニ、蟹グラタンをつまみに、ワインを1本開けて飲んでみた。
「なまらうめー」と皆口々に言っている。
フルーティーで濃厚な風味だ。
とても美味しい。カニによく合う気がする。
ほどよくお腹を満たしたところで、魔核とドロップアイテム(タラバ蟹、毛蟹、小樽ワインなど)を札幌支店へハクビに送ってもらう。
ハクビが呪文を唱えると、3分ほどで地面に移動魔法陣が現れ、その上に戦利品を載せていく。
私が魔法陣に魔力を込めると、スッと魔法陣とともに戦利品が消えてなくなった。
ハクビに聞くと、呪文を唱えるだけでは魔力は消費しないらしい。
魔力は魔法陣に魔力を通した時に消費されるようだ。
◇◇◆◇◇
一度札幌に戻り、一泊する。
魔法陣で戻っても良かったが、近いので飛んで帰ってきた。




