7 治療院にて
「意識が戻ってきてるぞ…!!」
誰かが安堵の声を漏らした。
「助かったか。そいつは良かった」
聞き覚えのある声がした。
「この方のお名前は…?」
「さあ。顔見知りつっても、こいつは一回店に来て一本の剣を買っていっただけだがな」
目が覚めて、真っ黒に閉じた視界が開く。
「武器屋の…おっちゃん?」
「おう。目が覚めたか」
俺は白いベッドで寝ていた。窓から向かいの壁に向かって突き刺さる日差しは、夕暮れ時の色だった。
左には剣を売りに行こうと思っていた武器屋の店主。右には薄い緑色の装束を纏う治療師の姿。二人が俺の顔を覗き込んでいる。
となると、もしかしなくてもここは治療院、だよな。
「あんま…思い出せねえな。確か俺、腕を凍らせて振り下ろして、力尽きて…」
「路地裏の方から凄え轟音がして、駆け付けてみりゃお前さんがぶっ倒れてた」
「もしかして、ここまでおっちゃんが運んだのか?」
「まあな」
「ありがとう。ほんと、どうお礼言ったら分かんねえけど、ありがとう」
「まあ、お前さんはウチの商品買っていったお客様だかんな。これからも贔屓にしろよ」
どうやら、俺は九死に一生を得たらしい。