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レインスクレイパー   作者: 布切れ宵月
2/3

#2 雨音と遊戯

「おーおー、こりゃ見事だ。あともうちょいじゃねぇか。」


麻薬取引及び一施設を不法に占拠。それらの活動を鎮圧、排除。それが今回ハクロ達に与えられた依頼。


今回は依頼主との仲介としてハクロたちの知り合いでもあるソウコウがオペレーション(賑やかしとも言う)を行っていた。


「もちろんだョ!ハクロがこんなとこで手こずるわけないョ!ハクロつぎ左!アンノウン2!」


「民間人いる?さっきまで全部敵だった。」


「万が一だョ、ちゃんと敵か他か認識しなきゃダメだョ。」


「了解。」


闇に紛れながら確実に敵を無力化する。ハクロにとって隠密潜入は十八番ではあるが純粋な人間相手は随分と久しい。


人型の物体を斬ることに対し何ら躊躇とは彼女に今更ある訳では無いが、少なからず、表情には出ないくらいの不安があった。


『心を持つ者は、何か五感以上のものを察知する。例えば、、、』


「誰かいるのか!?」


『未来?』



これまで一切の音を立てず無力化していたが、相手が気づいてしまった。


カンというやつなのだろうか、ハクロの気配を感じ取りそこに向かって銃を向ける。が、


「遅いよ。」


その次には銃を向けた腕、そして頭、最後には鳩尾。それぞれに鋭い銀線が一瞬で切り裂いた。


「なんだ!?」


それに気づいた近くの敵もハクロに対して発砲する。


「はぁ、、」


ハクロは素早く身を落とす。ただしゃがむような動作のそれは、相手からしたら文字通り落ちたように見えただろう。


「?!」



弾丸を避ける、その動きを次には相手へ突進する前傾姿勢に変え、相手の腰に瞬時に近づく。


左手でマガジンを外し右手でボルトをはじき飛ばす、以前ソウコウに見せられたどこかの国の特殊部隊の真似事だ。


あっけに取られた敵をそのまま投げ飛ばし、銃を奪い、そして銃床にて相手を気絶させた。


「こちらハクロ。この階層もクリア。後どのくらい?」


「それで最後だョ。なんか呆気なかったかな?」


「終わりなら、それでいい。」


「っと失礼。ハクロ、お疲れ様。今回の仕事は100程度だと言っただろ?だいたいそんな位が妥当だろうよ。さっき送ってもらった資料によると懸念してたカンパニーの増援などはないと判断できる。つまり、正真正銘お仕事完了って訳だ。」


数時間前、ハクロがソウコウ、ショショにこんな情報を見つけたとひとつの写真を送った。


『15.07 我々はストーキから脱退した。あいつら、特に雇い主のあいつには相容れない。いちいちめんどくさい。案外同志は多いようで声掛けたら100人くらいは集まった。』



「なんというか、そんな完全に終わりと言うには信用にかけるただのメモだと思うんだョ。」


「そんときはそんとき。まぁ、仮に嘘だとしてもそれは俺の方で対処する話だ。今回はこれで依頼完了、でいいだろ?」


「凄く引っかかるけどわかったョ。ハクロ、帰ってくるんだョ」


「了解。」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

15.08.2080

03:30a.m.


早朝。昨日から徹夜でゲームをしていた2人。最近流行りのVRオンラインゲームをやっていたがデスペナルティの影響でログアウト兼休憩をしている。


「ポイ、ポイ、ポイ」


そんな中ハクロはひたすら銃弾の弾頭を外していた。

ハンマーみたいな形の道具に実包をはめては床に叩いて弾頭を外し、火薬を抜いて金属製の瓶に詰める。


「ほへー、手際がいいのね。ところでその銃弾はどこから持ってきたのョ?」


「この前、ソーコーから受けた依頼の時。」


「敵からパクってきたのかョ。」


「うん。火薬あると便利。」


カチャ、コンっ!サァ


カチャ、コンっ!サァ


時間とともに空の薬莢と弾頭が転がっていく。


ある程度、というかほとんどの弾薬を分解したところで「休憩」とハクロはグロドリを飲み始めた。


「それにしても、こんな湿気った所で火薬なんて使えるのかョ?すごく謎。」


「第5類は水の中でも燃える。」


「は、はぁ?」


「ダイナマイト、導火線に火が着けば絶対に爆発する。海に投げれば魚も採れる。」


「さ、さいですか。で?これで何するんだョ?」


「着火剤?」


するとハクロはアーマーの手袋部分だけ装着し瓶の中から人差し指で火薬を数粒掬いしっかりと蓋をしめて、親指と擦り、弾いた。

『ジッ!』


ごくごく少量の火薬であったが小さく火花が散った。


「もっと量を増やせば、敵ももやせる。」


「ヒェッ…」



数時間後


「どれ、飯にしますかね。」


「わーい」


依頼もあれ以降特に入らずただひたすらにダラダラとゲームをする毎日。

1回ごとの報酬が大きいので贅沢さえしなければ月一の仕事でも食べては行ける。


若干1名食事を取らず飲料だけで生きている異常児がいるが。


「グロドリは飯じゃねぇョ。いい加減固形物を食え。」

「うわぁい、、、」


別にショショ、彼女の料理が下手な訳では無い。

それ自体はソウコウや他の知り合いもこぞってウマいと言うくらいにはよくできている。


が、奴の中毒度合いはそれ以上だった。


「食、え。」

「だめ、のど、通らない。固形物、断固拒否。」


ここ数年エナジードリンクのみで生きているのに体調に異常を示さない、


「ほんと何なんだョ?不思議でならんわ。」

「これこそ至高。これで勝つる。」

「人として大負けだョ。」


カシュ

不服そうな顔をしながらもエナジードリンクをあおるハクロとベーコンエッグトースト、サラダを食べる


食事中これといって話す話題がないのでついさっきまでしていたゲームから気になったことをショショが話し出す


「てか、意外と言うかなんというか。ゲームでは案外弱いのね。びっくりしたョ」

「やる気が出ない。」


「どういうことだョ?」

「、、、雨が降らないから。」

「は?」


要領を得ない回答にショショは首を傾げる。


そんな彼女を後目にゴロンと寝転び天井を見つめながらハクロは長話を始めた。


「雨が降らない。それだけ。雨音は心の癒し。雨音は大衆の調和。雨音は絶対的な照準となる。」


「どんなに心が乱れていても雨が降れば、雨音を聞けば心は癒える。雨は誰にでも等しく同じ音を与え、人々に全く同じリズムを刻ませる。呼吸のタイミングを同一にし、動くテンポを均一にする。雨はどんな状況でも人の無意識を支配する。だから人の動く先を読める。雨音を聞くは未来を詠むこと也。」


珍しく長々と語るハクロとその内容に関心するショショ。


「ほへぇ、、、じゃあ何か?雨の降るフィールドなら無敵と?そういうのかョ?」

「みんな、同じ雨音なら。」


「そしたら飯食べたら行ってみるョ!」

「了解。」


この後、ゲーム中にて雨を降らせる魔法を習得したハクロは無類の強さを誇る超プレイヤーとなったとかならなかったとか。


月初と月末という脅威の遅さ。

プロット作り込まないってこんなに恐ろしいのかと。

見切り発車はやっぱダメだね☆


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