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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

異世界改革 8 着物デート


着物デート?


休日リヒトが着物を買いに行こうと誘ってくれた。

リヒトは前の婚約者に着物を贈っていたので、俺も欲しい、できればペアでというと

リヒトが嬉しそうに笑ってくれた。

場所は東国の店。着物も取り扱うことになったので、どうぞということらしい。

着いたものの、リヒトと俺は別々の部屋に案内された。

はて? 一緒に選びたかったのに言うと、

「着物を広げるのは場所をとるので、あえて別々にしました。

また初めて着られるものだと思いますので、わが社おすすめ商品を試着して下さい。

ペア仕様にしてますからね。」と言われた。

そこまで言われればしょうがないと部屋に。

最初は袴ですよ。と言われたので、あっ弓道で使う感じかな、

かっこいいじゃんと思って入ってみたところ 

見るからにウエストが高い。赤地に色とりどりの矢羽柄の着物にグリーンの袴。

・・・・・ペアってこういうこと? 今更だけど、転生者と隠している手前、女性もの?とは聞けない。

呆然とする俺に、女性陣があれよあれよという間に着付ける。

途中座ってと言われたので、反射で座ったけど、エクステで髪を伸ばし、

高めの位置でポニーテールに花飾り。

薄く白粉を塗られ、眉を描かれ、チークを入れ、紅を引かれた。

多分他にもいろいろされたと思うが、覚えていない。

姿見の鏡の前にどうぞと言われ見たところ、袴は綺麗だけど、

着ているのは化粧した俺だもんな。

傍から見て気持ち悪くないかなと思ったぐらい。

リヒトに変態って嫌われるのはいやだな。嫌われないかなと妙な乙女スイッチが入った。


ドアをそっと開けてみたら、そこに髪を後ろに緩く結った軍服姿のリヒトがいた。

あまりのキラキラに思わず「尊い。」と拝んだのは間違いではない。

あわあわしながら「すみません。この発光物、封印お願いします。

眩しくて瞼が開きません。」と言ったのも多分正解だ。

リヒトは口を手で覆ったまま、動けないでいた。

「気持ち悪くない?」と涙目で小さく聞いたら「うっ」としか返事をしてくれなかったけど。


店員の女性の方から、「宣伝を兼ねて、この周りを一周まわってきてください。

リヒト様は服装の産業を推進されているのでしょ。

担当者として責任を持って下さい。

この日傘も持って行ってくださいね。」とニコニコ顔で背中を押された。

しばらく、お互い動けなかった。服は店の中。鍵も閉められた。


「クルトを他の奴に見せたくないのだが、仕方ない」とリヒトは傘を広げた。

「へっ。俺、そんなに気持ちが悪い?」と聞くと

耳元で「すっごくかわいい。お持ち帰りしたいぐらい。」

ぐおぉぉ、なん力がぬけるぅ。ううう。この鬼殺しいや男殺しとヘロヘロになった俺を

「おっと」と言って腰を支え、添えてくれた。

「こっちの傘の中においで。」と俺を寄せ、一緒に歩きだした。


なんだ。なんだ。なんだ。顔があげられない。耳まで赤くなる。

いつものリヒトではない。いや俺もだ。

俺は顔を上げることができなくてぎくしゃくして歩いた。

多分、右腕と右足、左腕と左足が一緒に出ていたと思う。


一周が長かった。



店まで戻ると、「もう少し宣伝してください。次はもっと注目を浴びるようなモーションを起こしてください」と怒られた。

えっ ここで、どういうこと?と聞くと、

東国のことをよく知っている俺とリヒトに宣伝をしてほしいとのこと。

衣装4着用意してますので、それを着てまわってほしい。

これができたらペアの着物をプレゼントしますと言われたので、

ここまできたら仕方ないので了承した。

リヒトは知ってたみたいだけどね。




2着目の衣装は新選組のようなちょっと大き目な羽織と袴、二本差しの刀とたすき。これはリヒトも同じだった。

モーションか、どうしようと思って公園にさしかかったところ

ふと見ると剣術学校の学生が2人いたので、木剣を借りた。これでいける。


刀を置き、羽織を脱ぎ、長着の袖をたすき掛けにし、リヒトのたすきを借り頭に回した。

その場を開けてもらい、


深呼吸をして


さて、デモストレーションのお時間だ。

2本の木剣で剣舞を演じた。

時に小さく大きく二本の剣を振り回し、静かに型をつくり止める。一本の刀を上に突き出し、その後素早く防御。攻撃の型と、舞を繰り出す。鉢巻も動きに合わせて波のように動く。

終われば拍手とアンコール。


では、この次は私と

リヒトが前に出て角材を四方向に置き、抜刀 舞うような真剣切り。

俺のより大きい拍手。

ほんとどこまでチートだよ。

でもあの人俺の恋人って言いたくて仕方がない。


木剣を学生にお礼を言って返した。何故か握手と木剣にサインを求められたけど。

子どもたちが周りを囲んでハイタッチ。

人だかりができた。「その服なんて言う服。」「かっこいいよね。」「着心地はどう?」「ちょっと触らせて」等々皆の質問に答えたり、触らせてみたりと。

「先ほどの、着物姿もあなたたちでしょ。欲しいの。どの店で売ってるの」と店の場所を教えると、公園から、みんな向かって行った。

とりあえず、これで任務完了かな。



3着目の衣装は女性もの。落ち着いた女性が着る感じの着物。濃い藍色に縞の入った着物に白地のベースの博多帯。

ゆるいシニョンヘアにして、簪を付けた。

出てみると、小さな格子柄の大島ような着物に俺とお揃いの男帯のリヒトが手を広げ立っていた。

雰囲気が俺の祖父と似ている。

前世の俺の祖父はとても粋な人だった。いつ行っても今リヒトが着ているような着物姿で手を広げ、出向かてくれた。

俺の着物も台所で笑顔で迎えてくれた祖母の着物とどことなく似ている。

なぜだろう。懐かしいのもあるけど、前世のあの日にやたら帰りたい気持ちになり、目頭が熱くなった。

迷子になったのを自覚した気分というのが近いのかな。

リヒトもハンカチで俺の涙を拭いながら「前世を思い出した?」なんてわかったいるみたいだし。

周回するのに、リヒトの腕をとり、ゆっくり前世での話をしながら回った。

俺は小さいころから、父母より祖父母に憧れていた。

祖父母の家に行くといつも二人とも着物。今日みたいに帯がお揃いにしたり、半襟を合わせたりとか、祖父の帯と祖母の半襟の色見が一緒だったり、

どこか同じ色合いを持つものを着ていた二人が笑顔で迎えてくれた。

頑固で不器用だけど、祖母のことがものすごく大好きな祖父。そんな祖父のこと、困った人だよねと笑っていた祖母。気が付けばいつも寄り添っているような夫婦だった。


俺はね、リヒトとそんな夫婦のようになりたいんだ。いいかな?

とリヒトの目を見ていった。


リヒトは俺をそっと抱き寄せてくれた。





最後は、白無垢。外に出れば、黒紋付き袴のリヒトが立っていた。

もう自分の女装姿云々は気にならなかった。

リヒトの盛装みて、飛び出して、抱き着いて、キスをした。


周りから指笛、拍手と歓声。お店の人がライスシャワーをまいてくれていた。

 

ふと気が付くと、自分がしでかしたことに、恥ずかしさに、体が固まり、動けなくなった。

「どーしよう。やっちまった。動けない。」と言って、ちらっと見上げると

俺を抱きしめてしあわせそうに笑うリヒトがいた。




その後


剣術学校では新選組の衣装がはやり


何故か、プロポーズをするときは、羽織袴と白無垢で

がブームになったそうで、前世持ちの俺としては中々にシュールな風景をよく見ることになる。




まっ俺が悪いんですけど・・・



この後、使った着物は全部リヒトがお買い上げ、たぶん後日、クルトは着る羽目になるかと思います。

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