異世界に来ました。
ようやく、プロローグ終わりです。
不定期投稿ですが、よろしくお願いします。
「どうやら、こちらの希望と一致した世界があったようね」
「は?いや…マジで?」
そこは青空が広がる外だった。
立っているのは、少し高い丘の上のようなところにいるらしく、
低いところに木造の家らしい建物がポツポツと見え、畑が広がっている。写真でしか見たことがない田舎のような光景があった。
「ようこそ、おいでくださいました」
呆然としていたところに、後ろからどこか艶かしい女性に声をかけられた。
ふと、気づけば自分が立っているのは、完全に外ではなく神社の境内のような場所で、振り向いてみると声をかけてきた女性も同じ板張りの床に立っていた。
「お一人かと思ってましたが…お連れ様もいらっしゃたのですね」
女性はちらっと俺の隣に手を握って立つ姫野さんをみてそう言った。
女性は巫女服のようなものを来ており、露出も少なく神職に就いているような雰囲気を持ちつつも、やはりどこか妖艶というか艶かしい印象を与える。
長い黒髪を腰の辺りまで伸ばしており、年の頃はおそらく20代、いっても30前半くらいだろう。
「…いささか戸惑っていらっしゃるようですが、神様へ祈りつかわさって来られたあなた様は救世主様で間違いなさそうですね」
「救世主!?」
「貴女の望みに答えたのは神様じゃなく私、また正確には望みに答えたわけではなく、そちらとこちらの希望が一致しただけ」
驚く僕を尻目に淡々と言葉を返す姫野さん。
心なしか、言葉が固くなってるような気がする。
「あらあらまあ、ただのお連れ様かと思いましたが、貴女様の方が、むしろ神の御使いということでしょうか」
「貴女の望みに答え、彼を連れて来たのは私。そういう意味では間違いじゃない」
何か全然ついて行けない。何この状況?
僕の想定では、当然異世界転移なんかできずちょっと不機嫌になる姫野さんを宥めすかし、一緒に帰ろうとか、気晴らしにどこか遊びに行こうとか頑張って誘ってみようと考えてただけなのに…マジでどうしてこうなった!?
「とりあえず、彼も困惑しているし、貴女の望みをこちらが正確に理解しているわけではない、どこかで落ち着いて話をすることを望む」
「そうですね、焦ってもしょうがありません。お茶でも用意しますので、どうぞこちらへ」
そう言って、彼女はこちらに背を向けると、ゆっくり歩きはじめた。
「ん」
まだ困惑している俺の手を姫野さんが引く。
「あ、あぁ」
僕はとりあえず、姫野さんに手を引かれながら、謎の女性の後に続いた。
そういや、まだ名前も聞いてない…