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かたき討ち
俺は貧しい家庭に生まれた普通の子供だった。
いつも起きて仕事してご飯食べて眠る、ただそれだけの毎日。
それでも幸せだった。
そんな日々の中で、俺は、最悪の一日を迎える。
それは何の変哲もない日だった。
朝起きて仕事に出る。
異変が起きたのは家に帰った時だ。
いつもはするご飯のにおいがしない。
父と母のいつもの他愛ない雑談も聞こえてこない。
「おかしい」
思わず声に出た。
家に入ってみると思いもよらない光景が目の中に飛び込んできた。
父と母が死んでいたのだ。
驚き、近くによる。
「お父さん、お母さん」
返事はない。焦って何度も体を揺らす。それでも返事はない。
何度か繰り返すと冷静にもなった。俺は冷静だと村でも言われている。今回も正気を取り戻すのは早かった。だがそれは俺が、父と母の死を悲しんでいないのではない。
ただ少し現実的なだけだ。いったん落ち着いて村の者を呼びに行こう、そう思ってドアのほうに向かおうとすると後ろに視線を感じた。
次の瞬間!
「うっ」
そこで記憶は途切れた。