休題『勇者の末裔(三部)』
『エンブリゲオン家』
・歴史
ヴァスシエルからユルヌの時代の間にあった、一時だけ世界が平和であり混乱の火種が育まれるという、緊張した時代に召喚された『転生者ヤムー』の一族。
ヤムーは魔法使いにおける最高峰の称号を得たり多くの遺産を残しているが、一部の者しかその名を記憶していない。
・風習
女神ではなく、外界にある『混沌の海』を介して奇跡的に転生した日本の少年だが、記憶喪失状態であり日本人だったこと以外には、個人を示す情報はほとんど失われた。
ただし、前世で獲得した学習能力の他知識はそのままであり、最も知恵のある魔法使いとして躍進を遂げていく。
勇者召喚――所謂、異世界と繋がる術理を完成させる。
雌雄一対による完全性と、異世界召喚時にどちらか一方に存在力が偏る過程を作ることで召喚の術式の成功率を確立した。
これが後にマコト等の勇者召喚に使われる。
尤も、勇者召喚の術式はあくまで研究の副産物。
主目的は、自らが異世界――故郷の地球へと帰還するための術式の構築だった。理論までは成立していたが、それを発動すれば二つが混じり合い、どちらか一方が消滅し、残った方にも多大な負債が作られると知って断念する。
以降は魔法使いとして活動し、創世神殿や各地の要所に異世界の存在を仄めかす証拠品を残す。
最後はその行為を危険視した『女神の使徒』たちによって殺害され、元の世界へと帰還する。
直系の血族たるエンブリゲオン家が辛うじて存続し、その知識を密かに脈々と受け継いでいる。
・能力
混沌の能力『知』によって、自動的に地球などの知識を読み込み、それを異世界の物へと変換して記憶に蓄える。
双方の世界を解釈し、変換して、形にする力でもある。
『朝霧家』
・歴史
ユルヌからマコトの間に召喚された勇者ミハルと縁があった血族。ユルヌの大戦からマコト時代の戦争までの不安定な時代を統括し、人類を保護する役割として召喚された。
最終的にその功績を認められて『女神の使徒』として迎え入れられそうになったミハルが混沌の獣と化して、世界の外側へ逃げた際に彼の記録が世界から失われることを危惧し、代々腐敗化せず残るミハルの遺体を管理している。
・風習
道具屋の名家だった朝霧は、ミハルの調停を補佐した。その後に待ち受けた『女神の使徒』襲撃と、ミハルの変化を世界で確認した唯一の人間がその後、混沌に魂を擲って怪物と化した彼が残す人間としての遺体を管理している。
これがある限り、ミハルはこの体を依り代に戻ることができるため、一族が後裔にもその管理を任せている。
・能力
特になし。




