休題『魔獣図鑑(『凪』の胎窟)』(Ⅱ)
『サジェマナウノス』
黒い泥状の物体。
普段は沼となって一箇所に巣食うが、付近に命ある者の動く気配があると片っ端から沼に引き込んで食らう。一時的に捕食した者の色を真似た沼に変色するも、『何かに染まる』ことを嫌うので後に黒へと戻る。
起源は『凪』の胎窟、外魔獣である。
出現時期は百年ほど。
泥の内部にある心臓を突かなければ死なず、人里に降りれば全てを食らう。
語源
北の古代語:形を嫌うもの
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『キルヘンメイア』
二面四臂の小人。
大きな鼻と赤い瞳、体躯の半分を占める質量の膨らんだ指を十本有する一本足をしている。
起源は『凪』の胎窟の外魔獣。
出現時期は二〜三百年。
海の上を駆け、平生は海面に上がる魚などを見つけて捕食するが、ときおり大陸まで赴いて人を食らう。常人ならざる跳躍力を有し、雲上まで跳ね上がって姿を消すと、上空から高速で落下して人を踏みしだき、平坦な肉となったそれを好んで食べる。
雲上から地上まで一秒に満たない速さ。威力も物理的な蹴撃でありながら高度な魔力障壁すら蹴破る。
そのため、討伐の際には跳躍前に仕留めることが推奨されている。
語源
北の古代語:目を塞ぐ
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『ソナームトルト』
耳の無い巨大な白兎。
前歯が大きく突出し、本来な臀部であるそこから、もう一つの頭部が伸びている。
起源は『凪』の胎窟の外魔獣。
出現時期は四百年ほど。
人ではなく、人の築いた物――家や手作りの物――を積極的に破壊する。人には興味を示さないが、縁ある物を破壊された人の怒りや悲しみを魔力として変換して捕食する。
討伐は容易だが、体格の拡縮が自在。微細な粒子よりも小さくなれるため、発見は困難。
討伐方法は、大きな音。
手を叩く音でさえも萎縮してしまい、最悪は心臓を停止させる。
語源
北の古代語:『忌まれた音』
ここまでお付き合い頂き、誠に有り難うございます。
休題の『凪(最凶)』の魔獣集第二弾です。
戦うヤツとして嫌だな、という想像の塊です。特に二番目のキルヘンメイアは一撃必殺持ちなので、戦いにくい相手ですね。。




