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第八十三話 護衛者

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「一〇〇億ガルドのお宝人形か、こりゃあええもんゲットしたな。主人はフィナンシェになってしもたようやし、クライン殿を言いくるめてこいつはワイらの物にしとくか」


 ラビィさんは、俺の前で剣を携えて佇む魔導金属人形の身体をペタペタと触りながら値踏みをしていた。


「ダメですよ。事前の取り決めだとこの遺跡の物はクラインさんの主であるアイギス様の物だって取り決めてたじゃないですか。勝手に懐に入れるのはマズいですよ」


「フィナンシェ君の言う通りね。さすがに一〇〇億ガルドの価値がある物を懐に入れるにはマズいわよ。相手はこの土地の領主なんだし」


「お前らはお人よし過ぎや。王様に疎まれてこんな僻地に流された王弟アイギスが一〇〇億近い価値のある魔導金属人形なんぞ売り出したら、速攻で首と胴体が離れるわ!」


 契約通り王弟殿下であるアイギス様に魔導金属人形を渡そうとした俺へ、ラビィさんが半ば怒ったように太ももをぺちぺちと叩いてきた。


「え? 渡したらマズいんですか?」


「あったり前やろが! 王様がなんで王弟をこんな僻地に飛ばしたのか思い出せ」


 確か王様に子供ができて、それまで後継者だったアイギス様のことが邪魔になって――。


 人里のない山ばかりの貧乏な場所を領地として与えたとか言っていたな。


 クラインさんもアイギス様はもうかなり貧乏で困窮してるって言ってたし。


 後継者候補から、急にそんな貧乏な領地を押し付けられて餓死させられそうなアイギス様に一〇〇億ガルド以上の大金が入れば……。



「あ、叛乱の資金になりかねないって話ですか」


「そういうこっちゃ。大金が王様のいらん猜疑を呼び寄せるっちゅーはなしや。だから、これはワイらが預かった方がええと思うぞ」


「とりあえず、事情を説明したうえでクラインさんとは要相談としておきますか」


「そうやな。まだ、遺跡には他に掘り出し物もあるかもしれんし。小金になるものの方が目立たずに換金できるやろ」


 金属人形の値踏みを終えたラビィさんが、壊れて地面に転がっている方の人形の方へ歩き、壊れた箇所を検分していた。


「こっちのは直せるんか?」


「やってみる?」


 話を聞いていたラディナさんが、壊れて地面に倒れていた金属人形に解体スキルを発動させていた。


 ラビィさんに視線で促されたので、再構成スキルを発動させてみる。



 ん? 破損した魔導金属人形と表示されてる。


 倒してしまうと☆のランクが下がるみたいだな。



 表示されているレア度が☆☆から☆に変化していたため、品質を上げて再構成してみることにした。



 ―――――――――――

 リサイクルスキル

  LV:38

  経験値:2348/4740

  対象物:☆破損した魔導金属人形(分解品)

 

 >破損した魔導金属人形(普通):100%

 >破損した魔導金属人形(中品質):100%

 >破損した魔導金属人形(高品質):100%

 >破損した魔導金属人形(最高品質):77%

 >破損した魔導金属人形(伝説品質):67%

 ―――――――――――


 >破損した魔導金属人形に再構成に成功しました。


 >破損した魔導金属人形(高品質)


  資産価値:二〇〇〇万ガルド



 再構成が終わると、壊れた箇所が修復されたが、先ほどの金属人形とは違い、地面に倒れたまま動かないでいた。



「倒しちゃうと動かなくなっちゃうみたいですね。倒した時に何かが壊れるんでしょうか? レア度も下がっているみたいですし」


「ピカピカにはなったけど、動かんちゅーことか。まぁ、でもこれはこれで需要は多いから売れやすくなるやろ。お持ち帰り決定や。まだ捜索するところも残っとるが今日の戦果これくらいにしとくか」


 再構成でピカピカになった金属人形を突いていたラビィさんが、探索の切り上げを提案してきた。


 遺跡に潜って結構な時間が経っている気もするし、そろそろ引き上げ時だろうな。


 ラディナさんの矢筒に残ってる矢もだいぶ少なくなったみたいだし。


 今日はこれ以上、こんなのが出てきたら怪我だけで済まなそうだ。


「フィナンシェ君、こっちのも解体したからよろしくー」


「はーい。すぐに行きます」


 もう一体倒していた金属人形を解体したラディナさんから呼ばれ、再構成し終える。


「さて、二体を持ち帰るのか。ちょっと重いかもな……」


 倒して再構成した金属人形は壊れているため、自分では動かず重い金属の塊でしかない。


 俺がそんな金属人形を持ち上げようとすると、護衛として付き従っていた人形が代わりに担ぎ上げてくれいた。


「君が持って行ってくれるの?」


 人形がコクリと頷いていた。


 俺を主人として認識し、色々と手助けをしてくれるらしい。


「その子はフィナンシェ君の部下になったみたいだし、あとで名前付けてあげないとね。コレットちゃんたちにも紹介してあげないと」


「そいつは割と固いし、早いし、強い。けど、フィナンシェは無駄に固くてよー切れる剣があるし護衛はいらんやろから、コレットとヒナの護衛にちょうどよさそうや」


 ラビィさんも二体の金属人形を担いだまま、普通に歩くのを見て目を細めていた。


 彼をコレットのたちの護衛か。


 コレットもヒナちゃんも戦闘力には不安があるし、ラビィさんの言うことも一理あるか。


 俺は遺跡の出口へ向かう間、ずっとこちらを守るように荷物を抱え先頭をあるく金属人形を見て色々と考えていた。

少し不定期更新化してましたが、月曜更新は頑張りたいと思います。

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