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第五十五話 食糧確保

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 ん? 羽根?


 ラディナさんの解体スキルが発動した瞬間、彫像の中から赤い羽根が一枚落ちてきた。


 思わず落ちてきた羽根を俺は手に取る。


 すると、頭の中に声が響いた。


 >解放:☆☆☆大霊鳥の加護を得ました。


 ――――――――――――――――


 スキルステータス


 パッシブスキル:☆成功率上昇37% ☆☆成功率上昇27% ☆道具系成功率上昇15% ☆武具系成功率上昇15% 


 アクティブスキル:☆廃品合成 ☆装備強化 ☆合成付与 ☆☆☆大霊鳥の加護



 んん? 大霊鳥の加護って何? 特に何も変化はないけども……。


 赤い羽根は淡い光を発すると、俺の手の中から消えていった。


「フィナンシェ君、どうしたの? 何かあった? 早くリサイクルスキルを発動させてくれないと彫像が消えちゃうわ」


 手にしていた赤い羽根が消えて茫然としていたため、ラディナさんが解体スキルの保持効果が切れると伝えてきていた。


 どうやら、ラディナさんには赤い羽根があったのが見えなかったみたいだ。


 さっきの羽根……なんだったんだろうか……。


 でも、今はこの神殿の大事な彫像を綺麗にしないと。


 俺は消えた赤い羽根のことは一旦置いて、目の前の彫像を再構成することにした。


「あ、すみません。すぐにリサイクルスキルを発動させます」


 ―――――――――――

 リサイクルスキル

  LV:38

  経験値:1193/4740

  対象物:☆彫像(分解品)


 >彫像(普通):100%

 >彫像(中品質):100%

 >彫像(高品質):100%

 >彫像(最高品質):77%

 >彫像(伝説品質):67%

 ―――――――――――


 >彫像(高品質)に再構成に成功しました。


 >彫像(高品質)


  資産価値:一〇〇万ガルド

 

 再構成された火の霊鳥の彫像は外のと同じく赤い塗装がされ、大きな翼を広げて飛び立つ間近の姿をしていた。


「やっぱり綺麗になったわねー。この神殿、元々はかなり豪華な神殿だったんじゃないかな。年月による劣化でかなり傷んでたけど」


 再構成を終えた神殿は、綺麗な壁画や立派な彫像が据えられているため、かなり豪華な施設となっていた。


「こんなに立派な神殿を建ててたなら、霊鳥はこの街でかなり敬愛されて大事にされていたみたいですね。それが、今は逆に霊鳥のおかげで苦しんでるとは皮肉ですかね」


「フィナンシェ君、霊鳥に罪はないわよ。罪があるとすれば、領主が息子の死を受け入れず、へんな魔術師たちのいいなりになってるのが悪いのよ」


「そういえば、そうですね。ご領主様も街の現状に目を向けてくれるといいんですが……」


 ここに来るまでに見てきた街の惨状を思い出したら、ご領主様の目が覚めてこの街が少しでも暮らしやすくなってくれるといいんだけどな。


 神殿の壁に描かれた壁画を見ながら、俺はふとそのような思いにとらわれていた。


「フィナンシェお兄ちゃん! ラディナお姉ちゃん! ちょっと困ったことが起きたんだけど、外にきてもらっていい!」


 ラディナさんと二人で新しくなった神殿の礼拝所を見ていると、慌ててドアを開けたコレットによって呼ばれた。


 困ったことが起きた? 確かエミリアさんやアリアンさんたちと協力して炊き出しの準備してたはず。


 何が起きたんだろうか……。


「すぐに行くよ。ラディナさん、行こうか」


「うん、そうね。困ってるみたいだし、急ごうか」


 焦った様子を見せるコレットに、俺たち二人は慌てて神殿の外に出た。


 外に出ると、炊き出しの炊煙に引き寄せられた街の住民たちが器を持って大行列を作り出していた。


 えっと……人数多すぎない……


 荷馬車にあった食材は多くても二〇~三〇人分しかなかったはず……自分たちの分を提供したとしても……あれだけの数は……。


 ざっと見て炊き出しにならんだ人の数は百人を超えていた。


「な、なんでこんなにならんでるのさ!?」


「す、すみません。フィナンシェ様たちからいただいた食料をもとに炊き出し準備してたのですが、予想以上に人が集まってしまいまして……」


 アリアンさんが申し訳なさそうに頭を下げていた。


「街の連中はとんでもなく腹を空かせとったちゅーわけや。ちょっと飯の匂いをさせただけでこれだけ集まってくるんやからな」


 ラビィさんが炊き出しを待ち望んでいる街の人を見て呆れ顔をしていた。


「この分だと、炊き出しが少ないとさっきの街での時のように暴動みたいな状況になるかもしれませんわね」


 エミリアさんもならんでいる街の人の数を見て、顔を曇らせていた。


「フィナンシェお兄ちゃん……どうしよう……みんなにご飯食べさせてあげられないよ」


 コレットも自分たちが作った炊き出しの量が、ならんでいる人が超えていると分かって青い顔をしていた。


 ならんでる人たちご飯がもらえないってなると怒るだろうな……絶対怒るよな。


 俺もゴミ拾いしてた時は、街からの炊き出しをありがたくもらってた身だし、何とかしたいけど……。


 そんな風に行列を見ていた俺の袖を誰かが引っ張る。


 振り向くと、袖を引いたのはラディナさんだった。


『フィナンシェ君、ちょっと試したいことがあるんだけど手伝ってくれるかしら?』


 炊き出しにならんでいる人に聞こえないように小声で俺に協力を要請していた。


 ラディナさんに袖を引かれるまま、神殿の裏側にやってくる。


「ラディナさん、試したいことってなに?」


「実はあたしとフィナンシェ君の力でこれを再構成したらどうなるのかなって思って」


 ラディナさんが俺に差し出したのは、炊き出しの際に出た野菜の皮や干し肉の切れ端、パンの切れ端などであった。


 控えめに言って食べるには値しないモノであった。


「クズを再構成してもクズのままなんじゃないですか……」


「でも、今までこういったのを再構成したことないし、やってみて損はないと思うんだ。もしかしたら、元の野菜や肉に戻るかもしれないし」


「野菜くずやクズ肉、パンくずから元のものが再構成できれば、それこそ、とんでもない力だと思うんですけども」


「だから試してみようって話。さぁ、解体したからリサイクルしてみて」


 淡い光に包まれた野菜くずのひとつをラディナさんが差し出してきた。


 いくら俺の力がモノを再構成するとはいえ、切れ端や皮から元のモノが再構成されるなんて……ことが。


 ―――――――――――

 リサイクルスキル

  LV:38

  経験値:1194/4740

  対象物:☆にんじん(分解品)


 >にんじん(普通):100%

 >にんじん(中品質):100%

 >にんじん(高品質):100%

 >にんじん(最高品質):77%

 >にんじん(伝説品質):67%

 ―――――――――――


 スキルはキチンと発動されていた。


 このまま高品質で再構成すると元の野菜に戻るなんてことは――


 >にんじん(高品質)に再構成に成功しました。


 >にんじん(高品質)


  資産価値:一〇〇ガルド


 戻ってるぅー! ちゃんともとのにんじんに戻ってますけど!?


 再構成の光がおさまると、俺の手にはもとの形に戻ったにんじんが握られていた。


 皮しかなかったのに、それ以外の部分はどうやって再構成したんだろうか……これって、食べられるのか……いちおう、人に出す前に自分で確かめないと。


 手に握っているにんじんをその場でほおばってみた。


「え!? ちょっと!? フィナンシェ君、いきなり食べて大丈夫?」


 高品質化したにんじんは甘みが強く、生で食べても美味しすぎた。


 生のにんじんはちょっと嫌いだったけど、これなら生でもいけるな。


 ラディナさんが心配そうに俺の方を見ていたので、大丈夫なことを示した。


「大丈夫、すごい美味しいですから。いやでも、あんな皮から再構成できるとかって、俺のスキルはトンデモないですよね」


「つまり、皮を再構成すると元のにんじんに戻るということは、細切れにした野菜や肉の切れ端、パンくずとかを再構成したら数が増やせるわよ」


「ああ!? そ、そうですね!! そうすれば、あの行列の人たちの分も確保できますね」


「そうそう、これで問題解決できるはずよ。ジャンジャン、再構成しましょう。あの人たちが腹がはちきれるくらい食べればちょっとは落ち着くと思うしね」


 それから俺たちは再構成してできた野菜や干し肉、パンを再度細かくして、大量の食糧を作り出すことに成功していた。


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