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第五十四話 神殿の再建

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「あ、あの実はバイスさんたちや、アリアンさんにご相談したいことがあるんですけど……」


「ん? 相談ですか?」


「なんの相談だい?」


「はい、実は一夜の宿を借りるお代として神殿の修繕や炊き出しの食料を援助させて欲しいのですが、その代わり何が起きても口外しないと約束して頂きたいのです」


 俺はリサイクルスキルの力を使って、建物の修繕を行うつもりなので、力のことを吹聴されると色々と困った事態が多々発生する。


 そんな事態を回避するためバイスさんやその仲間の人たち、それにアリアンさんには力のことを口外しない約束を取り付けたかった。


「……フィナンシェさんが口外するなと言うなら、雇われ者のオレたちは絶対に口外しない。冒険者は雇い主との信頼関係が大事だからな。フィナンシェさんも同じ冒険者だからその辺は分かってくれてるだろう?」


 バイスさんたちは、口外しないことを確約してくれていた。


 確かに依頼された内容をベラベラと喋る冒険者は、あまりいい仕事を回してもらえないって、ギルドマスターのフランさんも言ってたっけな。


 依頼内容は漏らさないって冒険者の不文律をバイスさんたちは守ってくれるらしい。


「わたしも神様へのご寄進内容を他者に漏らすことはいたしません。ご寄進は神様への感謝の印。そのお気持ちを喧伝するつもりは毛頭ございません」


 アリアンさんも寄進する物に対して、口外はしないと誓ってくれていた。


 神殿の責任者の一人であるアリアンさんに許可を頂けたのはありがたい。


「バイスさん、アリアンさん、口外しないことをお約束していただきありがとうございます。ちょっと不思議なことが起きると思いますが、その件は修繕が終わりしだい、ちゃんとご説明させてもらいますのでお待ちください」


「は、はぁ? 不思議なことですか……神殿も街もこのような事態ですし、わたしは大抵のことにはもう驚きもしないと思いますが……」


「オレも冒険者として色々と関わってきてるから、そうそう驚くこともないと思うぞ」


 二人とも驚かないと言ってるけど、俺のトンデモスキルの力を見て驚かない人はいまだ見たことがないんだよね。


 さて、口外しないと確約もとれたし、かなりの年月を過ぎた神殿を新しく再構成してピカピカの新築にすれば、今後この神殿に寝泊まりする人にも快適になるだろうな。


 よし、ラディナさんと一緒に神殿の建て直しから始めるとしよう。


「ラディナさん、神殿の修繕をしたいのでお手伝いしてもらっていいですか?」


 コレットやエミリアさんと一緒に荷馬車から食料を降ろしていたラディナさんが駆け寄ってきた。


「まずはこの神殿を綺麗にして、密告や高い税によって絶望している街の人たちの心に信仰によって希望を与えられる場所にしようってことね。さすが、フィナンシェ君だわ。考えることが壮大でかっこいい」


 え……えっと、全然そんなこと考えてもいなかったかも……とか言いにくい。


 それでもラディナさんが言った通り、街の人が安心してホッとできる場所は作ってあげたい。


 今のガーデンヒルズは、色々と大変なことが発生し過ぎてて人が人らしく生活できてない気がする。


「そんな大げさに考えてわけじゃないですけど、まずは安心できる場所を作ってあげたいとは思ってますけどね」


「安心できる場所。ああ、なるほど、確かにこの街は生き辛いと感じている人が多いだろうしね。神殿にくればホッとできるという場所にしたいのね。うん、それは大事だと思う。じゃあ、まずは神殿の解体をしていくね。再構成はよろしく」


 やる気十分のラディナさんが革製の手袋を外すと、神殿の解体を始めていた。


 さて、神殿の再構成を頑張らないと。


 俺もラディナさんが解体した神殿の外壁を再構成するため、淡い光に包まれている外壁に触れた。


 ―――――――――――

 リサイクルスキル

  LV:38

  経験値:1168/4740

  対象物:☆石材外壁(分解品)


 >石材外壁(普通):100%

 >石材外壁(中品質):100%

 >石材外壁(高品質):100%

 >石材外壁(最高品質):77%

 >石材外壁(伝説品質):67%

 ―――――――――――


 高品質化して綺麗で丈夫な神殿を目指そうかな。


 高品質で再構成っと。


 >石材外壁(高品質)に再構成に成功しました。


 >石材外壁(高品質)


  資産価値:一〇万ガルド

 

  合成レシピ:モルタル×石材


 再構成を終えた石材外壁は、それまでの風雨にさらされて黒ずんでいた様子を一変させ、できた当初の真っ白さを取り戻していた。


「なっ! 何が起きてるんだ!」


「くすんで黒ずんでる神殿の外壁が真っ白になってますが……何が起きて!?」


「あー、あれはフィナンシェとラディナの特技でな。リサイクルスキルちゅーって、どんな物でも再構成させる力を持つスキルなんや。武具や道具、建物、果ては生物まで再構成させられるトンデモスキルやで。しかも、再構成する際、元々の品質から更に上の品質へすることもできるんや。神殿の外壁が驚くほど白いのは品質が上がった効果やろ」


 神殿の修繕を始めた俺たちの背後でラビィさんが、俺たちのスキルについてバイスさんたちやアリアンさんに説明してくれていた。


 大抵のことには驚かないと言っていたが、やっぱり俺のスキルを見て驚いているよね。


 すみません、なんかすみません。


 トンデモスキルを使っててすみません。


「そういう力を持った奴なんで、口外せんといたってな。こんな力を持っとるとか大勢の人に知られたら争奪戦が繰り広げられて大変なことになるっちゅーわけや。そやから口外せんといてなー。よろしく頼むで」


「は、はぁ。確かにこんなすごい力を持ってたらそうなりますよね……フィナンシェさん、すげえ……」


「神殿が真っ白になっていく……フィナンシェ様たちは霊鳥様がこの街を再生させるために寄越された人なのかもしれませんね」


 神殿を再構成している間、背後ではスキルの力を見て驚く声が絶え間なく聞こえてきていた。


 修繕は外壁や屋根、ガラス、ドア、外に掲げられている火の霊鳥の彫像と終わり、外見は初めに見た時とは違い真っ白に眩しい立派な構えの神殿と、その頂上には真っ赤な火の霊鳥の彫像が鎮座していた。


「外側は終わったんで、今度は中を綺麗にしていきますね」


「神殿ってこんなに綺麗だったんだな……子供の時でもかなり古かったが……」


「火の霊鳥様の彫像も元は赤い塗装がされていたんですね。わたしも知りませんでした。これが元々の神殿の姿に近いとは……改めて立派な神殿でしたんですね。ああ、でも司祭様になんと言えば……」


「神の奇跡とか言うしかないんじゃないか……コレだけのことが起きてたら……」


 綺麗になった神殿の外見をバイスさんやアリアンさんがポカンとした顔で見ていた。


 その横を俺たちは通り抜けて、今度は神殿の中に入っていく。


 神殿の中は礼拝所と旅の人が身体を休める大部屋、神官たちの個室が三つ、あとは厨房があるだけの簡単な造りになっていた。


 ただ、中は荒れ果てており、礼拝所の天井や壁に描かれた絵はボロボロになって剥がれ落ちていたり、椅子やベッドもかなり傷んでいた。


 すぐに修繕に取りかかった俺たちは、傷んだベッドや椅子などの内装品を直し、天井や壁の絵も再構成し終えていた。


「綺麗で素敵な絵ね。火の霊鳥が人に火の扱いを教えたことを伝えてるのかしら、それに霊鳥の子供が肩に止まっている人の顔ってフィナンシェ君に似てない?」


 ラディナさんが指差す先には、霊鳥の子供らしき鳥を肩に乗せた青年が描かれている。


 その青年の顔が俺に似ているとラディナさんが言っていた。


 そんなに似てるかな? 髪の色や瞳の色は俺と同じだけども。


「似てます? 俺はあんなに凛々しい顔してないと思うんですけど」


「そう? フィナンシェ君は結構凛々しい顔してるわよ。特に人を助けようとしてる時は。無意識なんだろうけど、いつもフィナンシェ君の顔を見てるあたしが言うんだから間違いないわ」


 ラディナさんにジッと見つめられて、身体が火照るのを感じる。


 ラディナさんって、いつも俺の顔を見てるのか……それは、油断できないぞ。


 気を抜いた顔をして、嫌われたくないし。


 俺はラディナさんに見られていることを意識して、顔をキリリと引き締めた。


「似てるかどうかはまた今度にして、後はあの彫像を再構成することにしますか」


「うんうん、その表情。あたしは好きよ。さて、じゃあ彫像も解体するね」


 にこりと笑いながらラディナさんが礼拝所の奥に鎮座していた火の霊鳥の彫像を解体していた。


 ラディナさんが彫像に触れ、解体スキルが発動する。


 彫像が淡い光に包まれると、中から一枚の赤い羽根がヒラヒラと落ちてきた。


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