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第五十話 魔法剣再び

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「それにしても、フィナンシェ殿たちは忙しいですな……ミノーツに戻ってきたと思ったら二日後にはガーデンヒルズに行くと言って戻ってこられるし」


 グイン船長さんが操舵輪を手にしながら話しかけてきた。


 俺もゆっくりと装備を整えつつ、ミノーツの街で休息するつもりだったんだけど。


 頼みのアレックさんの工房でのオーダーメイド装備が作れない事態に陥ってたんだよね。


「アレックさんの工房で専用装備を作ってもらうため、火炎岩というのを手に入れるために行くんですけどね。けして、霊鳥を見に行くとかじゃないですから」


「ああ、そう言えばそんな話を他の方がしてましたね。でも、とってもありがたい霊鳥って話らしいですよ。俺も船乗りとして各地を巡ってますが、霊鳥の炎を浴びると長生きできるとか、羽根で患部を擦るとたちまち病気が治るとか、最近では霊鳥の排泄物で痩せられるとか言って高価な粉末薬が高値で取引されてるとか聞いてますよ」


 卵だけでなく、羽根やフンまでが高価な売り物とされてるのか。


 それってどれも効果があるのか怪しいもののような気がするけど。


 それだけ、みんな病気や健康に気を付けてるって裏返しなのかな。


 でも、排泄物の粉末は嫌だなぁ……。


「そうなんですか……卵は高価で取引されてるって聞いてましたけど、霊鳥に関しては色々な物が高く売られてるんですね」


「それだけありがたがる人が多いってことですな。火を司る霊鳥を神として崇める国もあるくらいですし」


「へぇー、神様かー。確かに不老長寿の力を与えられるなら神様扱いされてもおかしくないですしね」


「まぁ、本当にその力があるかどうか分かりませんがね。迷信かもしれませんし」


 グイン船長さんも俺と同じく、霊鳥の力には懐疑的な様子だった。


 船乗りは火を嫌うって自身でも言い切ってた人だから、火を司るという霊鳥が嫌いなのかもしれない。


 その代わりと言ってなんだけど、海の神様ともいうべき霊亀にはかなりの敬意を払って毎晩のお祈りを欠かしてないことを知っている。


「フィナンシェお兄ちゃん、みんなが呼んでるよ」


 グイン船長さんと話し込んでいた俺を呼んだのはコレットだった。


 そう言えば、まだ品質を上げてない装備があったのと、船に来るまでに買った中古の鉄の剣と狩った魔物から手に入れたクズ魔結晶を使って魔法剣を作るって話をしてたな。


「おや、コレット嬢が呼んでる様子。早く行ってあげてください。航路はしっかりと俺たちが見てるんで安心してくれていいですよ」


「すみません。じゃあ、お言葉に甘えて船室に戻らせてもらいますね」


 俺はグイン船長さんと話を終えると、コレットに続いて船室の方へ降りていった。




 近海用の小型帆船であるラグランジュ号は、小型とはいえ船室は三つほどあり、客人である俺たちはその中で一番大きな場所を提供してもらっているのだ。


 それでも五人が手足を伸ばしてゆったりとできるほどの空間はない。


 そんな船室ではあるが、外で直射日光や海風に当たるよりは休息できる場所になっている。


「おぅ、フィナンシェ戻ってきたか。外はどうやった?」


「問題ないですよ。グイン船長さんがしっかりと操舵して順調です」


「そうか、ミノーツからガーデンヒルズへの航路はあまり船が利用せん海域だって言っていたからな。海図もあまり整備されとらんやろうし、座礁の危険は高いかもしれんでな。まぁ、座礁しても沈まん限りフィナンシェたちが速攻で直せるから安心ちゃあ、安心だが」


 ラビィさんが言う通り、河川こそあるものの内陸のミノーツとガーデンヒルズを行き交うのは基本陸路で海路はあまり利用されてなかった。


「そんなことよりも、フィナンシェ君のリサイクルスキルの成功率を上げてた幸運の腕輪よ。腕輪。あれの品質を上げて成功率の更なる上昇をさせるって方が大事だと思うの」


「そう言えばそんな話をしてましたね。アメデアではドタバタしてて忘れてましたよ。アレの品質を上げれば伝説品質にチャレンジしても失敗は少ないはず」


 俺自身、幸運の腕輪のこと自体を失念していたが、新しく魔法剣を作ろうって話をしてた時、ラディナさんが幸運の腕輪のことを思い出してくれていた。


 本当なら真っ先に品質を上げておくべき物だったけど、忙しくて忘れてたな。


「そやったな。そっちを先にやらなアカンかった。それから、新しい魔法剣一本こしらえるとしよか」


「フィナンシェ君、腕輪貸して」


 ラディナさんが俺から幸運の腕輪を受け取ると解体を始める。


 廃品となった幸運の腕輪を受け取るとリサイクルスキルを発動させた。


 ―――――――――――

 リサイクルスキル

  LV:38

  経験値:1102/4740

  対象物:☆幸運の腕輪(分解品)


 >幸運の腕輪(普通):100%

 >幸運の腕輪(中品質):100%

 >幸運の腕輪(高品質):100%

 >幸運の腕輪(最高品質):77%

 >幸運の腕輪(伝説品質):67%

 ―――――――――――


 >幸運の腕輪(高品質)に再構成に成功しました。


 >幸運の腕輪(高品質)


  装備効果:スキル成功率10%増加

 

  資産価値:五〇〇〇万ガルド


 これで、どの再構成でも5%の成功率アップが加算されるようになった。


 パッシブ補正がかかる武具と道具に関しては最高品質で82%、伝説品質で72%の成功率まで上昇してる。


 これなら失敗する数も減るだろうし、予備品が容易に手に入るものなら挑戦してもいい確率になってきてるはずだ。


 そして、相変わらずこの手のレア装備は品質があがると価値がとんでもない額に跳ね上がっているよな。


 五〇〇〇万ガルドって……。


 ☆一つでこれくらいまで価値があがるってことは、☆二つとかで高品質なレア装備とかっていったいいくらになるんだろうか。


「成功したようやな。これで、鉄の剣の伝説品質も量産できそうな確率になってきとるやろ。いちおう、アレック殿のところで十本ほどただの鉄の剣を買ってきたから足りると思うが」


「はい、成功率も七割超えてきたのでできるはずです。成功した剣は強化に使わずに持ち歩いた方がいいかも。また、無くすかもしれませんし」


「お前なぁ……魔法剣にすりゃあ一〇〇〇万ガルドする品物をポンポン無くされたら、この国には伝説の剣が溢れかえるようになるで」


 ラビィさんが呆れたような顔をしているが、俺としても二本目は無くす気もないし、しっかりと管理するつもりであった。


 やたらと切れ味伝説の剣がそこいらに転がっていたら、それはそれで大問題だしね。


「ラビィもケチ臭いこと言わなくてもいいじゃないの」


「ケチとかいう問題じゃないんやで。魔法剣となったアレは色んな意味で危険物やっちゅー話しや。変なやつの手に渡って悪用されると困るから気を付けいってことやぞ」


「そうですね。ラビィさんの言う通りだと思います。今後はしっかりと管理するようにします」


 そして、その後鉄の剣は一〇本中、六本が伝説品質で成功し、クズの魔結晶から作った魔結晶(中)を二つ合成した。


 こうして新たな魔法剣を作る準備は出来上がり、あとは合成付与で魔法効果を与えてもらうだけになった。 


「さて、フィナンシェちゃん。ご依頼の属性は光と闇で良かったわね?」


「はい、とりあえずその二属性の剣があれば、魔法生物とか属性持ちの魔物もほとんどのやつがダメージ入るようになるみたいですし」


「光を帯びた剣と闇の霧を発する剣ね。これは、フィナンシェちゃんが有名になると吟遊詩人がこぞって歌にするでしょうね。わたくしも伝説の剣を作るのに協力した魔術師として名を歴史に留めるかしらね」


 えっと、それは喜ぶべきことだろうか。


 俺みたいな平凡な冒険者が吟遊詩人に歌われるようになるなんてことはないと思うんだけど。


「エミリアさんの言う通りね。フィナンシェ君ならきっと吟遊詩人がこぞって歌いたがる武勲もあげそうだし」


 ラディナさんも期待を込めた目で俺を見ても何も出ませんよ。


 駆け出しは駆け出しらしくお使い依頼を淡々とこなすだけですから。


 俺は魔結晶と合成品を手にすると、合成付与が発動していた。


 >付与する物が選択されました。

 >右手:鉄の剣(伝説品質) 左手:魔結晶(中)

 >属性魔法を選択してください。


「エミリアさん、まずは光の魔法からお願いします」


「はいはい。光属性ね」


 全属性魔法が使えるスキルを持ったエミリアさんが、指先に眩しい光球を発生させると、俺のリサイクルスキルが反応していた。


 >光属性を検知しました。


 >合成付与を開始します。


 エミリアさんの光球が俺の手にした剣に吸収されていくと眩しい光を発していた。


 >【光】鉄の剣(伝説品質)

 

 攻撃力:+100 光属性付与


 魔力残量:1000


 資産価値:二〇〇〇万ガルド


 光がおさまると、剣の刀身が光った魔法剣が完成していた。


 勝手に光ってくれるから、洞窟探検とかある時は重宝しそうな剣になったぞ。


 それに光属性の方が、価値が高くなっていた。


「あれ? もしかして光属性の方が価値が高いですか?」


「光属性も闇属性も魔法剣なんて滅多にお目にかかれない品物ですからね。その分、価値も高いはずですわよ」


「へぇ、そうなんですね。もしかして、あんまり見せびらかさない方がいいですかね?」


「冒険者の中でも魔法剣のコレクターは多いですわね。トラブル避けるためにもあんまり簡単に抜かない方が無難だとおもう」


 やっぱりそうなりますよね。


 鞘から抜かなければ普通の鉄の剣にも見えると思うし、戦闘以外では抜かないようにしとこう。


 その後、闇属性を付与した魔法剣も完成し、もともと装備として考えていた二属性の魔法剣を手に入れることはできた。


 刀身から光を発する光剣と、同じく刀身から黒い霧を吐き出す闇剣といった二振りの魔法剣となっていた。


 試しに両手に装備してみたら、ラディナさんが『かっこいい』とやたらと褒めてくれてけど、実戦では扱い切れなさそうなので片手剣と盾のスタイルで戦うことに決めている。


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