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第四十一話 大量塩作り

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 俺たちはグインさんを連れて港の外れにある砂浜に来ていた。


 港の外れにある砂浜は岩場も多く、街からはちょうど視界が隠れる場所にあった。


 手伝いを申し出て一緒に来てくれたグインさんにも俺たちの力のことは話しておかないと。


「あ、あの。これから見せることについてはロリー・バートさん以外には口外しないでおいてくれますか?」


「ああ、分った。口外はしない。うちのオーナーがアレだけ入れ込んでるフィナンシェ殿の秘密を喋れば、俺の首が飛びそうだからな」


「ええ!? そ、そんな大事に!?」


「冗談だ。うちのオーナーは金と仕事には厳しいが、それ以外は優しい雇い主だぞ」


 グイン船長さんが大口を開けて笑っている。


 西の交易大商人とまで呼ばれるようになった人だから、仕事に厳しい人なのは分かるけど、俺に三億ガルドをタダでくれようとしたりしてるから優しい一面もやっぱあるんだろうな。


 厳しいだけじゃお客さんも従業員もついてこないだろうし。


「まぁ、あたしのフィナンシェ君のことを最大限厚遇するって言った人だからね。かなり人を見る目はあると思うわよ」 


 そ、そういうものなのかなぁ。


 俺はちょっと人と違うスキルが使える、本当にタダの世間知らずな冒険者に過ぎないんだけど……。


 もっと人としても成長して立派な冒険者にならないとな。


「フィナンシェ殿、それじゃあ早速仕事に入ってくれるか? それとここにある分以外の木箱は、今部下に連絡して集めさせているから少し時間をくれ」


 荷馬車に積み込んできた木箱は一〇〇箱しかないし、一五〇〇〇箱ってなるとすぐに持って来れないよね。


「ありがとうございます! グインさん! じゃあ、今から俺たちのスキルを発動させるから。ラディナさんお願いします!」


「任せておいて、よいっしょっと」


 袖をたくし上げると、ラディナさんは手袋を外し、海水を解体し始めていた。


「はぁ? スキル? 超絶技術力の副産物じゃなかったのか!?」


「いや違います。ラディナさんの解体スキルで解体された物を俺がリサイクルスキルで再構成できるんです。ちなみにリサイクルスキルって複合スキルみたいで色々なスキル性能も合わせ持ってて。ほら、こうやって合成もできるんですよ」


 俺はラディナさんが解体し廃品化した海水を両手に持ち、グイン船長さんの前で高品質の塩に合成してみせた。


「はいぃいいい?」


 目の前で廃品合成を見たグイン船長さんの目が見開いて固まっていた。


 や、やっぱりそういう反応になるよね……。


 ほぼ無限にある海水から、高品質な塩を手で掴むだけで作り出すとか普通じゃないし。


「というのが俺の能力の一部です。なので、色々と口外されると結構困るんでよろしくお願いします」


「……レアスキル持ちってことか……しかし、まぁ、よくもこんなデタラメな力を持つスキルが存在したものだ……。それにラディナ嬢の持つスキルもトンデモない力だな」


「ええ、手袋してない時にあたしの手に触れたら、グインさんも解体しちゃうから気を付けてね」


「解体……ってことは、俺はバラバラにされちまうってことか……。こりゃあ、ラディナ嬢には逆らわない方が身のためらしい」


「あたしはフィナンシェ君をいじめたり、困らせない限りそんなことしないから大丈夫よ」


 ラディナさんの顔はニッコリと笑っているけど、その目は真剣そのものだった。


「ラディナさんにそういうことは絶対にさせないですし、しちゃダメですよ」


「大丈夫、俺はフィナンシェ殿の味方だ」


「なら問題ないわよ。ほら、グインさんもじゃんじゃん木箱を持ってきてね」


「おう、任せろ」


 俺は完成し、抱え込んでいた塩をグインさんが並べてくれた木箱に流し込んでいく。


 塩は一回の廃品合成でかなり大量に生成されて一箱分になるな。


 これをあと14999回やるのか……。


「おっし、頑張るぞ!! ラディナさんは疲れたらちゃんと申告してくださいね。その、海の水で濡れますし足とか手とか濡れますし。グイン船長さんの部下の人たちがきたら火を起こしてもらいましょう」


「もうフィナンシェ君は心配性ね。あたしは田舎育ちだから結構頑丈なのよ。……でも、ありがとね。もし、しんどかった時は遠慮なくフィナンシェ君の好意に甘えさせてもらうわね」


 そう言うとラディナさんは再び海水の解体を始めていた。


 それから俺たちは次々に海水を塩へと合成していくが、さすがに一五〇〇〇箱の塩を合成させるのは時間がかかっていた。


 けれど取引をしてくださいと持ち掛けた以上、指定された個数は納めないとロリー・バートさんに失礼だと思い夜を徹して合成を続ける。


 ようやく半分ほどの塩を合成して、俺のスキルLV31から34にまで上昇していたが、新たなスキルは解放されずにいる。


 そして、またLVがあがっていた。


 ────────────────────

 >【リサイクル】スキルがLVアップしました。

 >LV34→35

 >解放:☆の成功率1%上昇

 >解放:☆☆の成功率1%上昇

 >解放:合成数量指定スキル

 ────────────────────


 スキルステータス


 パッシブスキル:☆成功率上昇34% ☆☆成功率上昇24% ☆道具系成功率上昇15% ☆武具系成功率上昇15%


 アクティブスキル:☆廃品合成 ☆装備強化 ☆合成付与 合成数量指定


 ――――――――――――――――――――


 合成数量指定スキルが解放されたようだけども……これって一気に合成できるようになるスキルってことかな?


 俺は解放されたスキルを発動させてみた。


 すると、声が脳内に響いてきた。


 >合成数量指定スキルが発動されました。


 >合成品の指定をお願いします。


 周囲の廃品化された海水が紫の光を帯び始めたので、それに触れる。


 >右手:海水 左手:海水


 >廃品合成可能品がセットされました。


 >この二つを廃品合成しますか?


 ―――――――――――

 リサイクルスキル

  LV:35

  経験値:0/3480

  対象物:☆塩(分解品)


 >塩(普通):100%

 >塩(中品質):100%

 >塩(高品質):100%

 >塩(最高品質):74%

 >塩(伝説品質):64%

 ―――――――――――


 高品質で合成了承っと。


 いつもならここで合成が始まるのだが、次の問いかけがあった。


 >数量を選択してください。


 どこまでできるかわからないから、最大数という返答を思い浮かべる。


 >数量99個が設定されました合成を開始します。


 すると紫に色に光っていた廃品化した海水が一か所に集まり始め、俺の足元を照らすように大きな円となって頭上に浮かんでいた。


「フィ、フィナンシェ君!! 危ない!!」


 眩い光と同時に、突然ラディナさんが俺を突き飛ばした。


 俺はラディナさんに押し倒される格好で砂浜に倒れ込んでいった。


 直後、俺がさっきいた場所に大量の塩が砂浜に落下していた。


 た、大量の塩がっ!! 99個分の合成が一気に行われたということか!


 あ、危ない……あんな大量の塩だと埋もれちゃってたよ。


 目の前には俺の背丈と同じ高さに積もった塩の山ができあがっていた。


「ふぅ、ラディナさん、ありがとう助かったよ」


「急に違う色で光ったから、また、覚えたスキルをすぐに使ったんだなって直感したの。そしたら、アレが見えたから身体が勝手に動いてた」


「おいっ!! すごい音がしがた大丈夫か――って、お邪魔様だったか?」


 音に気付いて駆け寄ってきたグイン船長さんが、俺たちの格好を見て視線を逸らしていた。


 完全にラディナさんに押し倒された格好なので、慌ててグイン船長さんの勘違いを訂正した。


「ち、違いますから! これは助けてもらっただけですから! ですよね! ラディナさん」


「そ、そうね。そうよ。ほら、塩がたくさんできたから早く木箱に詰めないと」


 ラディナさんが先に立ちあがると、俺を引っ張り上げてくれた。


「そ、そうですよ。グイン船長さんも手伝ってください」


「お、おぅ」


 その後、合成数量指定スキルを使用し99個ずつ塩を合成するのが可能になったため、作業が一気に進み始め、夜が明ける頃には一五〇〇〇箱の塩を合成することができていた。


 ちなみに数量指定して一気に合成しても経験値は個数分入ると判明したので、俺のリサイクルスキルはLV38まで上がっていた。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 『出現位置はちゃんと変えられました』位は欲しいかもしれない。
[良い点] 一時はどうなることかと思いましたが、 収まるところに収まった感じですね。 [気になる点] 主人公のトンデモ行動にいつもヒヤヒヤします。 でも、これがこの作品の持ち味なのかな。 [一言] …
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