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第三十八話 三億ガルドの金策

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「あ、あの!! ラビィさん、三億ガルドを三日で稼ぐ方法ってないですかね!


「ブッホッ!!!! さ、三億ガルドやって!! しかも、三日って!? なんでそんな大金が必要になったんや!! ちゃんと説明せい」


「あらー、これはけっこうな大金ね。意外とフィナンシェちゃんもお金遣いが荒いのね」


 宿に戻った俺たちは、部屋でお酒を飲んでいたラビィさんが口から酒を吹き出していた。


 さすがに急に三億ガルドのお金作る方法無いですかって聞いたのがまずかったかな。


 気持ちが先走って、二人に事情を説明するの忘れてた。


「フィナンシェ君、お、落ち着いて! いきなり三億ガルドって言ってもラビィたちが混乱するだけだから、ちゃんと説明してあげないと訳が分からないわ」


「そ、そうでした。あの実は俺……奴隷を買いまして――」


「ど、奴隷やって!! な、なにを買っとるんやぁ! しかも、三億ガルドもするってどえらい奴隷やな! どっかの姫さんか!」


「あらー、フィナンシェ君の隅に置けないわねぇ。ラディナちゃんというものが居ながら奴隷を買うなんて――」


 な、なんか盛大に勘違いされてる気がする。


 俺はラディナさん一筋ですから。


「違います。市場で奴隷市が立ってまして、そこにいた奴隷たちを俺が全員買うという約束を取り付けました。三億ガルドはその代金ですから」


「はぁ!? 奴隷市の奴隷を全員買ったやと!? 何考えとんねん!!」


「あらー、フィナンシェちゃんは随分と派手なお金の使い方をするわね。明日には街中の話題になっちゃいそうなネタだわ。『謎のお金持ち坊ちゃん、奴隷を全部買う!!』って噂話が飛び交うでしょうね」


「何やっとんねん……フィナンシェ……」


 エミリアさんはケラケラと笑い、ラビィさんは頭を抱えて悶えていた。


 えっと、もしかして俺の行動ってめちゃくちゃ目立つこととかでした?


 とんでもなく世間知らずな行動だったとかだったら、結構恥ずかしいことになっているかも。

 

 いやでもあの時は、助けるために、ああするしかなかったし……。


「ラ、ラビィさん、三億ガルドとかどうやったら三日で用立てられますかね……」


「そんなもん、三日で三億ガルドを現金で集めるなんてこと……相当な大商人……アメデアで手広く商売してる大船主でもない限り無理やぞ。もう少し期間があれば、フィナンシェの能力をフル稼働させて金は作れると思うんやが……」


 さすがのラビィさんも、三日で三億ガルドの現金を用立てるのは無理って話かぁ。


 大商人とか大船主に伝手なんてないし、本当にどうしよう。


「あらー、船長さんだったらこの前助けたグインちゃんがいるじゃないのー。あの子に大船主さんを紹介してもらえば?」


「あ!? グインさん!! そう言えば、アメデアに来たら顔見せてねって言ってたわね。もしかしたら伝手があるかも」


「ああ、この前の座礁した船の船長かぁ、もしかしたら伝手はあるかもしれんなぁ」


 そう言えば、グイン船長さんがそんなこと言ってた気がする。


 アメデアに来たら顔出してくれとも言われてたし……一度会って頼んでみるのもありか。


 もしかしたら、伝手を得られるかもしれないし。


「じゃあ、今からまた港に行ってグインさんを探してきます――」


 俺が外に出ようとドアに手をかけた時にノックがされた。


「誰や? ここは『奇跡の冒険者』が借りとる部屋やぞ」


「俺だ、俺。グインだよ。フィナンシェ殿が市場の奴隷市でセリにかけられる奴隷を全部買い取るって話を聞いて慌てて宿を探してきたんだ!!」


 扉の向こうには探し人のグイン船長さんが来ているみたいだ。


「グイン船長さん、ちょうど今からお会いしに行こうと思ってたところでした」


 俺はすぐにドアを開けると、グイン船長さんを部屋へ招き入れた。


「フィナンシェ殿、とんでもないことになりましたな……俺も噂話を聞いてたまげましたよ。奴隷市の奴隷全部を総額三億ガルドで買うなんて前代未聞ですって!」


 で、ですよねー。


 やっぱとんでもなく世間知らずな行為ってやつでしたよね……。


 田舎者の世間知らずってことは自覚してたんですけど、どうしても人を物のように扱う連中に納得がいかなかったんだよな。


「えーっと、そういうことになりまして……」


「実は街の連中もフィナンシェ殿の義侠心に感心してましてねぇ」


「い、いえ。俺はあの奴隷市で売れるのを待ってた人を助けたいだけで……」


「それがすごいって話ですよ。みんな、あの奴隷市の連中を毛嫌いしてるんですが、あいつらは衛兵に金を掴ませて、このオステンド王国では禁止されている奴隷をアメデアの街で堂々と売り捌いている。それだけでも毛嫌いされてるのに、衛兵とつるんで邪魔する連中を次々に排除することまで始めてて、うちのオーナーも街の住人もかなり怒り心頭でね。そこへ、フィナンシェ殿のあの宣言だから、奴隷市を嫌ってた街中の住人がもろ手を挙げての喝さいを贈っているって話ですよ」


 グイン船長が俺の手を握って熱っぽく語っていた。


 そ、そんな大した考えもなくしたことなんで、勘違いされまくってませんか!!


「そ、そ、そそんな大したことはしてないですから。そ、それに金策ができないと……また、奴隷市は立ちますし……」


「それですよ! それ! だから、俺は急いで商談に来たんです!! 実はあの時もらったあの真っ白な塩を見たうちのオーナーが、是非大量に取引したいと言ってまして……その、奴隷の買い取り費用である三億ガルドの金策だが、もしかしたらできるかもしれないんだ」


「塩で三億ガルドか!? 相当な量の取引になるやろ!!」


 確かに塩は海水さえあればいくらでも作り出せるから、取引量が膨大でも作り出せないことはないか。


 でも、塩なんてそんなに売れる物なのかな……。


 俺は半信半疑でグイン船長さんの話を聞いていた。


「ああ、普通の塩ならな。だが、あの塩は実に品質がいい。船でオステンド王国以外の国に運べば二倍でも三倍でも売れるって、うちのオーナーでアメデア一番の大船主であるロリー・バートが判断したそうで……フィナンシェ殿との会見を望んでいます」


「ほぉ、グイン船長のオーナーは西の交易大商人と言われとるロリー・バート殿やったんか。その人物なら三億ガルドの即金取引も余裕でやれるはずや。なんせ巨万の富を蓄えとるっちゅー話やからな」


 ラビィさんはグイン船長さんのオーナーの名前を知っている様子だった。


 さすが、色々な大陸を渡り歩いてきたベテラン冒険者だけのことはあるなぁ。


 俺の知らないことも色々と知っている。


「フィナンシェ、これはええチャンスでもあるでぇ。冒険者として西の交易大商人ロリー・バート殿と面識を得るのは三億ガルド以上に価値のあることや! ワイですら、何度か面会を求めたがまだ一度も会っておらへんからなぁ」


「そ、そんなすごい人なんです? そのロリー・バート殿って?」


「ああ、大きな魔物討伐や未開の地への冒険行なんかは、大きな金主がいないと中々計画できへんからなぁ。そういう金を出してくれるのが西の大陸だとロリー・バート殿が一番だってことや。彼と親密になっておけば色々とこの周辺で冒険者もやりやすくなるってことや」


 トップの冒険者パーティーの人たちは、大金持ちの人からお金を借りて冒険とか討伐をしてるのか。


 そういえば、フィガロの家もかなりのお金持ちだったから、色んな冒険者を雇って冒険者パーティーのリーダーとかしてたのかもな。


 冒険者をするのもやっぱりお金がかかるんだぁ。


「まぁ、ラビィちゃんがロリー・バートちゃんと会えなかったのは、色々と後ろめたいことしでかしてたのがバレたからだけどねぇ」


「エミリア、ワイはいつも正々堂々と一点の曇りなくまっとうな商売をしてきとるわい! アレはロリー・バート殿がワイの噂を鵜呑みしおったのが悪いんや!」


「あらー、そうだったわね。ラビィちゃんはいつもニコニコ、クリーン商売ですものねぇ」


「むぐうう、そうや。ワイは叩いてもホコリも出ないピュアピュア商売をしてきとるんや。うぐうう」


 まだ何か言いたげなラビィさんが、定位置であるエミリアさんの胸に納められていた。


 ラビィさんがピュアピュアなのかの判断は据え置くとして、今はグインさんの提案にのって、オーナーのロリー・バートさんに会った方が良さそうな気がする。


「グイン船長さん! 俺、すぐにロリー・バート殿と会見します。案内をお願いしてもよろしいでしょうか!」


「よっし、任せてくれ!」


 こうして、俺たちは宿を出てアメデアの街にあるロリー・バートさんの邸宅へ向かい、彼との会見をすることにした。


本日で今年の更新は終了させてもらいます。


明年は元日から更新予定をしておりますので、お時間ある方は読んで頂ければ幸いです。


今年も読者の皆様には大変にお世話になりました。


それではよいお年をお迎えください。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 能力や、各キャラクターにはそれぞれ魅力があります、まだこれから色々な能力や、主人公の新しいスキルなどに期待できます。 [気になる点] 基本的な設定が良いだけに、物語が読み進めていくうちにチ…
[一言] ん、んー? お金の価値を主人公学ぶべきでは、周りも教えようよ… 裏の人間に金を渡すってことはそれだけ力をつけさせるってことなんだけどなぁ。要するに加担というか。 ついでにいえば主人公も商品と…
[一言] 面白いと思って見てきたけど、主人公馬鹿すぎて読む気失せてきた。
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