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第三十二話 魔法剣

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 パッシブスキルの方は確認できたし、次は合成付与ってアクティブスキルを確認しとこう。


 なんか色々ととんでもない成長してきてるけど、どういったスキルなのかくらい把握しておいた方がいいっぽい。


 合成付与だけどこれはどうやったら発動するんだろうか……。


 などと考えていると、懐のポーチにしまっておいた魔結晶(中)が光っているのが見えた。


 もしかして、合成と同じように解体すればスキルが選択できるかも。


「ラディナさん、これ解体してもらって」


「これって一個残してた魔結晶だよね?」


「うん、ちょっと別の使い方ができそうな気もするんで頼みます」


 ───────────────────

 >魔結晶の解体を検知しました。

 >魔結晶を合成しますか?

 >合成付与しますか?

 >【リサイクル】スキルの経験値にしますか?

 ───────────────────


 やっぱり、合成付与が出てきたぞ。


 ───────────────────

 >合成付与が選択されました。

 >付与する物を選択してください。

 ───────────────────

 

 付与する物か……この伝説級の鉄の剣にしてみるか。


 >付与する物が選択されました。

 >右手:鉄の剣(伝説品質) 左手:魔結晶(中)

 >属性魔法を選択してください。


 属性魔法ってなんだろう?


 魔法って俺は使えないから、エミリアさんに聞いてみるか。


「エミリアさん、ちょっと聞きたいんですが、属性魔法って何ですか? 付与に必要だって指摘されてるんですけど?」


「属性魔法? 付与に? ああ、こういうことですわ」


 そう言ったエミリアさんが、広げた手のひらに小さな火の玉を宿していた。


 >火属性を検知しました。

 >合成付与を開始します。


「え? なんで急に火が大きくなるんです? わたくしの魔法が暴走なんてするわけがっ!」


 エミリアさんが手に浮かべていた火の玉が急に大きく燃え上がると、俺の目の前に飛んできた。


 そして、鉄の剣と魔結晶を飲み込むと、まぶしい光を発していた。


 >鉄の剣(伝説品質)へ炎属性付与に成功しました。


 >【炎】鉄の剣(伝説品質)

 

 攻撃力:+100 火属性付与


 魔力残量:1000


 資産価値:一〇〇〇万ガルド


 これって……剣の刃に炎が揺らめいているけど魔法付与された剣ってことかな。


 魔法の剣で流通してる品物があると聞いたことはあるけど、これって強くなっているのかな。


 それにしても一〇〇〇万ガルドって価値はすごいや……これ一本で一財産できちゃうよ。


「えーっと、火属性攻撃付与された伝説級の鉄の剣って需要ありますかね? 魔力残量とかってのが1000くらいですけど」


 すると、馬車が大きく横に揺れた。


「ちょっとラビィ、危ないでしょ! ちゃんと運転してよ!」


「す、すまん! フィナンシェが何をやっても驚かんと決めとったが、属性付与能力まで開花したとかありえへんやろ……」


 ラビィさんが、エミリアさんの膝からずり落ちそうになるとかって、またとんでもない品物ってことかな?


「魔法剣化って……わたくしも属性付与魔術師の子は知ってるけど……あれって色々と何日も儀式をして武具に属性を与えるって聞いてるけど……それに大量の魔結晶を消耗して魔力を充填するから超高額な武器に。その分、属性攻撃がのるから威力はとんでもないけど」


「魔力残量1000言うたら、腕利きの属性付与魔術師に大金を払ってようやっとできる武器やしな……ほんま、ありえへんわぁ」


「えっと、結構サクッとできちゃいました……けど。まずいですかね……あと魔法剣ってどう使えばいいんです?」


「普通に振るえば、刃の触れた敵に炎属性のダメージを追加で与えるわよ」


 そのまま攻撃すればいいのか……。


 刃から吹き上がる炎は熱くもないし、燃えもしないけど、敵に触れると熱を発するのかもな。


 それにしても、どうやら俺の持っている剣はさらにとんでもない剣に進化したらしい。


「止まれ! 止まれ! 近くで座礁した船が魔物に襲われてるぞ! どうするヨーム? 助けるか!」


 俺ができ上がった魔法剣に見惚れていると、前方の荷馬車から怒声が聞こえてきた。


「フィナンシェ君、船に蟹の魔物が群がっているのが見えるわ。船員はまだ抗戦してるみたいだけど……数が」


 ラディナさんの隣に立ち、荷馬車から外を見る。


 蟹の魔物……確かに大群だ……こっちには気付いてないみたいだけど……。


 船員たちも長くはもちそうにない感じが。


「フィナンシェ! ワイらの依頼はこの定期輸送隊の護衛やっちゅーことを忘れるなよ。けど、リーダーはお前や、判断は任せる。ちなみにエミリア一人おれば定期輸送隊は無傷で守れるちゅーことは教えといたるわ」


「あらー、なんならあの蟹を全部茹でてあげてもいいですわよ」


 さすがSランク冒険者の二人はこの事態を見ても慌ててない。


 エミリアさんが定期輸送隊を守れるなら、俺があの船の手助けに行っても大丈夫だよな。


「じゃあ! エミリアさん、ラビィさん定期輸送隊の護衛をヨロシクお願いします! ラディナさんもここで待ってて! 俺はあの船を助けてきます!」


「はいはい、フィナンシェちゃん、頑張ってねー。危なかったらお姉さんに助けを呼ぶのよー」


「フィナンシェー! 蟹は今のお前の装備ならよほど急所に入らない限り、ダメージはないやろうし、横から回り込めば楽やぞー。頑張れやー」


「フィナンシェ君……私も行く! 後ろから弓で援護する。こう見えても村では狩りもしてたから。だから、お願い……足手まといにはならないから」


 自衛用にと渡しておいた木の弓を手に取ったラディナさんが付いてこようとした。


 危ないかもしれないからラビィさんたちと一緒に馬車に居て欲しいんだけど……この顔は絶対に付いてくるよね。


 ラディナさんは緊張した顔で俺の手を握っていた。


 絶対に俺一人では行かせないつもりらしい。


 ……後ろから援護だけしてもらうだけなら……危なくなったら先に逃げてもらえるだろうし。


「……分かりました。俺が前で敵を集めますから、ラディナさんは後ろから援護してください。あと、戦闘になったら俺の指示には従ってくださいね。絶対に」


「うん! 絶対に従うわ。ありがとう……フィナンシェ君」


「じゃあ、ラビィさんたち護衛を頼みます!」


「おぅ、任せとけ。こっちはいいようにやっといてやるわ」


「ラディナちゃん、フィナンシェちゃん、頑張ってー!」


 俺たちは荷馬車から駆けだすと、途中で会った定期輸送隊のリーダーであるヨームに船を助けることと、定期輸送隊の護衛はエミリアさんが引き続き行うことを伝え、船に向かった。



 浜辺まで降りると、船員たちが俺たちの姿に気が付いた。


「おい、小僧とお嬢ちゃん! 近づくな! この船はもうハサミ蟹に囲まれちまっている。お前も巻き込まれるぞ! オレ達のことはもういい! 逃げろ!」


「大丈夫! 援護します! ラディナさんはこの岩場から隠れて狙撃して!俺は前に出ます!」


「うん、フィナンシェ君に魔物が集まらないように援護射撃をするわ。背中はあたしに任せて」


「分かりました! 俺の背中はラディナさんに預けます」


 俺は船員の静止を振り切り、炎属性が付与された剣を手にして、ハサミ蟹の大群に挑んでいった。


 その間も援護のためにラディナさんが放った矢がハサミ蟹の背中に突き立つと、痛みを感じたハサミ蟹が大きなハサミを振り上げ、威嚇を始めていた。


 ラディナさんの弓と矢を高品質化をしておいてよかった。


 普通品質の弓矢じゃ弾かれたかもな。


 それにしても、ラディナさんの弓の腕は本職の猟師顔負けの正確さだ。


 狙いも速さも結構な腕前だ。


「フィナンシェ君、一部がそっちに向かったわ」


「見えてます。こっちのは俺が片付けられるはず」


 俺の姿を視認したハサミ蟹が船の攻撃をやめてゾロゾロと向かってきていた。


 ラビィさんがハサミ蟹は横に回れば楽勝だって言ってたよな。


 つまり、前面に立ってあのでっかいハサミの攻撃を受けなきゃ、そう怖い相手でもないってことだな。


 手にした剣と盾を握り直すと、砂地の浜辺に足を取られないように気を付けながら素早く移動する。


 ギャアギャア!


 こちらに気付いたハサミ蟹が青いハサミで襲おうと身体の向きを変え始めた。


 遅い! これならいける!


 ハサミ蟹が身体の向きを変える前に剣で甲羅を突き刺す。


 途端にハサミ蟹の身体から炎が吹き出し燃え上がり絶命していた。


「おぉお! ハサミ蟹が一撃で……しかも炎の魔法が付与された剣を持っているのか! お前さん、ただの小僧じゃないな! あっちのお嬢ちゃんも結構な弓の腕だぞ!」


「魔物は俺たちが一気に片付けますから、皆さんはコレを飲んでください」


 回復ポーションの入ったポーチごと船員の方へ向けて投げた。


 品質を上げたポーションだから、大体の傷は癒えるはずだよね。


「回復ポーションか。すまねぇ、恩に着る!」


 船員がポーチを受け取ったのを見届けると、こちらに向かってきたハサミ蟹に再び挑むことにした。


 ハサミ蟹の動きはびっくりするほどの速さはない、これなら何体来たってそんなに恐ろしい相手じゃないぞ。


 前面に入ろうとするハサミ蟹に対し、回り込み、横から突き刺すだけの簡単な仕事を次々とこなすと、浜辺には剣と弓で倒されたハサミ蟹が煙を上げて魔結晶となっていた。


 その様子を見ていた船員たちが船から浜辺に降りてきていた。


「……すげえ……二人であの大群のハサミ蟹を倒すなんて……。それにこの回復ポーションもやたらと効果が高いんだが……あんたいったい何者だよ」


「ミノーツの冒険者で『奇跡の冒険者』ってパーティーのリーダーをしてるフィナンシェって言います」


「あたしはラディナって言うの。どうやら、みんな助かったみたいね?」


「ああ、あんたらがくれた回復ポーションが効きすぎて、元気になり過ぎたやつもいるが、全員無事だ」


 どうやら見たところ、みんなの傷は癒えてるみたいだ。


 高品質にしておいた回復ポーションが役に立ってよかった。


「だが、夜間に岩場を見落として船はこのざまだ……しかも、座礁した場所がハサミ蟹の住処だったとか、やっちまったぜ……出資者たちにどやされちまう」


 確かに座礁した船の横っ腹にハサミ蟹が開けた大きな穴とか開いてるし……。


 こういった破損品とかって、ラディナさんと俺の力で直せるのかな……。


 俺は目の前の破損した船が、自身のリサイクルスキルで直せるのかが気になってしまった。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 成る程 船を直してレシピ獲得からの廃材で自分達の船作成だな [一言] 高品質の船造れば蟹に襲われても穴が空くことは無さそう
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